スポーツドリンクの選び方を薬剤師が解説!
運動しているときや食事が摂れないとき、水分補給をしたいときなどに飲むスポーツドリンク。薬局やドラッグストアに行くと、さまざまな種類のスポーツドリンクが並んでいます。
あまりに種類が多いので、「どれを選んだらいいの?」「商品によって何が違うの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、スポーツドリンクに含まれている成分を見ながら選び方を詳しく解説します。
スポーツドリンクとは?
スポーツドリンクとは、運動や食事量の減少などによって失われた水分を補給するための飲み物です。日本スポーツ協会では、塩分が0.1~0.2%、糖分が4~8%含まれたスポーツドリンクが推奨されています。
糖類や電解質、アミノ酸などが含まれています。汗には水分以外に電解質も含まれているため、水分のみを摂取しても体の渇きを完全にうるおすことはできません。水分を摂ると、のどの渇きはおさまりますが、理想的な水分補給はできていないのです。
スポーツドリンクには水分のほかに汗と一緒に失われやすい電解質が含まれているため、きちんとした水分補給ができます。
スポーツドリンクの成分・組成
スポーツドリンクのメインとなる成分は、電解質とブドウ糖の2つです。これらに加えて、メーカーによってはビタミンやアミノ酸、乳酸菌などが独自に配合されています。
電解質
電解質とは、水に溶けると電気を帯びる性質がある物質のことです。汗にはNaCl(塩分)が含まれています。NaClは水に溶けると、ナトリウムイオン(Na+)とクロールイオン(Cl-)という、電気を帯びる物質にわかれることが特徴です。
スポーツドリンクには、汗で失われやすいナトリウムやクロールなどの電解質が体に吸収されやすい濃度で配合されています。
ブドウ糖
ブドウ糖は、効率よくナトリウムを吸収するために必要な成分です。ナトリウムとブドウ糖を同時に摂取することで、水分の吸収が効率よく行われることがわかっています。
その他
スポーツドリンクの種類によっては、ビタミンやアミノ酸、乳酸菌などが配合されていることもあります。水分の吸収率には影響しませんが、水分と同時にビタミンや乳酸菌を補給できたり、運動時の持久力の向上を目指したりできることが特徴です。
スポーツドリンクはどんなときに必要?目的は?
スポーツドリンクは、次のようなときに役立ちます。
• 運動中、運動後の水分補給
• 発熱時や下痢、嘔吐があるときの水分補給
• 熱中症の予防
お水だけでは補えない電解質を補給できるため、汗をかきやすい場面や体調不良で水分不足になりやすいときに便利です。
また、熱中症の予防にも使えます。子どもや高齢者は体温の調節機能が十分でなく熱中症になりやすいため、こまめに水分補給を行いましょう。
厚生労働省は、熱中症を予防するためには「のどの渇きを感じる前にスポーツドリンクなどで水分補給すること」を推奨しています。
スポーツドリンクの選び方
スポーツドリンクは、基本的に自分が好みのものを選んでもらって構いません。「この商品は効果があるけど、こっちの商品は効果がない」ということは基本的にないので、飲みやすい味のものを選びましょう。
そのほか、カロリーや成分にも着目すると、自分に合ったスポーツドリンクを選びやすくなります。
カロリーで選ぶ
カロリーは商品によって大きく違います。たとえばポカリスエットは100mlあたり25kcalですが、なかには0kcalの商品もあるのです。
体重管理のために運動をしている方、カロリーの摂取量を気にしている方は低カロリーのスポーツドリンクを選びましょう。
タイプで選ぶ
ペットボトルに入った液体タイプのもの以外に、ゼリーや粉末タイプの商品も販売されています。嚥下機能が弱っている方やおやつ感覚で水分補給をしたい方はゼリータイプが向いているでしょう。
外出先で水道水からスポーツドリンクを作りたい方、災害用に備蓄しておきたい方は粉末タイプが便利です。
成分で選ぶ
食事が摂れずビタミン不足が気になる方はビタミンCやビタミンB6などが配合されたもの、疲労回復したい方はクエン酸、運動を効率よく行いたい方はアミノ酸が配合されたスポーツドリンクが向いています。
おすすめのスポーツドリンク
では、おすすめのスポーツドリンクを見ていきましょう。それぞれの成分や特徴を紹介しているので、参考にしながら自分に合うものを見つけてみてください。
ポカリスエット
スポーツドリンクのなかでは、カロリーが高めです。甘みもやや強めでしょう。知名度が高いため、どこのドラッグストアでもだいたい販売されています。スポーツドリンクといえばポカリスエットという方も多いのではないでしょうか。
成分量(100mlあたり) | |
タイプ | 液体 |
カロリー | 25kcal |
食塩相当量 | 0.12g |
その他の成分 | なし |
アクエリアス ゼロ
ゴクゴク飲みやすい、カロリーゼロのスポーツドリンクです。燃焼系のアミノ酸として知られるL-カルニチンも配合されています。すっきりした味わいなので、甘い飲み物が苦手な方でも飲みやすいでしょう。
成分量(100mlあたり) | |
タイプ | 液体 |
カロリー | 0kcal |
食塩相当量 | 0.1g |
その他の成分 | L-カルニチン |
ポカリスエットゼリー
ゼリータイプのスポーツドリンクです。「運動するときに水分を摂るとお腹がタポタポしてコンディションが落ちる」という方でも、ゼリータイプなら気兼ねなく水分補給ができます。
成分量(1袋180glあたり) | |
タイプ | ゼリー |
カロリー | 55kcal |
食塩相当量 | 0.24g |
その他の成分 | なし |
「アミノバイタル」BCAAチャージウォーター
粉末タイプのスポーツドリンクです。運動パフォーマンスをサポートしてくれるロイシンやイソロイシンなどのアミノ酸のほか、ビタミンも配合されています。スポーツを楽しみながら水分補給も行いたい方向けの商品です。
成分量(1本7gあたり) | |
タイプ | 粉末 |
カロリー | 24kcal |
食塩相当量 | 0.6g |
その他の成分 | ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、 ロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニン、 グルタミン |
スポーツドリンクと経口補水液の違いは?
経口補水液は、スポーツドリンクよりも効率的に電解質の吸収ができるように作られています。また、スポーツドリンクほど甘みもありません。
熱中症になった後や、すでに脱水症状が出ている場合は吸収率のよい経口補水液がおすすめです。ただし、経口補水液は塩分濃度が高いため、日頃の水分補給として常用するのにはあまり向いていません。
まとめ
スポーツドリンクは、汗をたくさんかくときや食事がなかなか摂れないときの水分補給に適している飲料です。汗で失われやすい電解質、電解質の吸収を高めるブドウ糖が配合されています。
アミノ酸やビタミンなどが配合されているか、カロリーはどれくらいかなどを参考にして飲みやすいスポーツドリンクを見つけてみてください。
〈参考資料〉
・日本スポーツ協会 P7
・熱中症を防ぎましょう | 厚生労働省
・ポカリスエット基本情報|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬