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更新日:2022/12/01
湿布の種類について?パップ、テープの違いは?薬剤師が解説!

湿布薬には、大きくわけてパップ剤とテープ剤の2種類があります。湿布薬を効果的に使うためにも、それぞれの特徴を知っておきましょう。どちらを選ぶかで痛みの治り具合に影響が出る可能性もあります。今回は、パップ剤テープ剤の違いや、それぞれの商品について詳しく解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

湿布とは?

湿布とは、打ち身や捻挫、腰痛や関節痛などに使用される貼り薬のことです。パップ剤やテープ剤のように形状に種類があるほか、冷感タイプや温感タイプなど使い心地にも違いがあります。使われている成分も、ジクロフェナクやフェルビナク、ロキソプロフェンやインドメタシンなどさまざまです。

急性の痛みには冷感タイプ、慢性の痛みには温感タイプを使用することが一般的ですが、基本的には貼って気持ちよいと感じるほうを選んでもらって問題ありません。配合成分に関しては、痛みや炎症の強さによって選ぶのがおすすめです。

湿布の種類

湿布薬にはいろいろな種類がありますが、今回はパップ剤とテープ剤の違いについて詳しく見ていきましょう。同じ成分が配合されている湿布薬でも、パップ剤かテープ剤かで使い心地が大きく変わります。

パップ剤

パップ剤は、水分を多く含む湿布薬です。ぷにぷにと柔らかい触り心地の膏体があり、貼るとひんやり冷たい感触があります。年齢層が高い方では、湿布といえばパップ剤を想像される方が多いようです。

テープ剤(プラスター剤)

テープ剤は、水分を含んでおらず薄いシート状になっています。ほとんどの商品は肌色になっているので、貼ってもあまり目立ちません。高齢の方と比べて若い方は、比較的テープ剤のほうを好む傾向にあるようです。

パップ剤の特徴や商品

では、パップ剤には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。

パップ剤の特徴

パップ剤は水分を多く含んでいるため、貼ったときに冷感を得られます。そのため、患部が腫れていたり冷たい湿布のほうが好みだったりする方はパップ剤を選ぶとよいでしょう。テープ剤と比べてかぶれにくいことも特徴です。

ただし、粘着力はあまり高くありません。肘や膝など曲げ伸ばしをよくする部分に貼ると、すぐに剥がれてしまう可能性があります。パップ剤の商品の多くは、商品名が「◯◯シップ」となっているので参考にしてみてください。また、「冷感」と書かれているものの多くはパップ剤です。

パップ剤の代表的な商品

市販薬にはさまざまな種類のパップ剤があります。ここでは、とくに代表的な3つの商品をご紹介しましょう。

 

ロキソニンSパップ

鎮痛効果の高いロキソプロフェン水和物が主成分の湿布薬です。1日に1回貼るだけで鎮痛効果が持続するため、貼り直しが必要ありません。冷感タイプになっており、貼るとスーッと心地よい冷たさを実感できます。蒸れたりかぶれたりしやすい方はロキソニンSテープではなく、こちらのロキソニンSパップを選ぶとよいでしょう。

フェイタスシップ

フェイタスシップは、フェルビナクが主成分として配合された湿布薬です。鎮痛効果が高いため、痛みや炎症が強い方に向いています。パップ剤なので、しっかりと冷感効果があることが特徴です。

ハリックス55EX冷感A

商品名のとおり、冷感効果がある湿布薬です。鎮痛効果のあるサリチル酸グリコールと、抗炎症効果のあるグリチルレチン酸が配合されています。鎮痛効果があまり高い成分ではありませんが、比較的安く購入できるのが特徴でしょう。

テープ(プラスター)剤の特徴や商品

テープ剤は、パップ剤のように冷感効果はありません。そのため患部の腫れがなく、熱がこもっていない方に向いている剤形です。

テープ剤の特徴

テープ剤は患部への密着力が高いため、肘や膝など曲げ伸ばしをよくする部位に貼っても剥がれにくくなっています。薄くて伸縮性があり、あまり目立ちません。そのため、剥がれにくい湿布薬をお探しの方や貼ったときの違和感が少ない湿布薬が好みの方に向いています。

ただし、水分をほとんど含まないため、冷感効果はほとんどありません。患部を冷やして痛みを取りたい方は、テープ剤ではなくパップ剤を選びましょう。テープ剤の商品の多くは、「◯◯テープ」や「プラスター」と記載されているので参考にしてみてください。

テープ剤の代表的な商品

テープ剤にもさまざまな種類の商品があります。ここでは、市販でもとくに人気が高い3つの商品について見ていきましょう。

 

ロキソニンSテープ

主成分としてロキソプロフェンナトリウム水和物が配合された湿布薬です。テープ剤になっており、患部にしっかり密着して速やかに痛みを取り除きます。ロキソニンSテープのほか、サイズが大きめになっているロキソニンSテープLもあるので、患部に合わせてサイズを選ぶとよいでしょう。

オムニードFBプラスターα

フェルビナクが主成分の湿布薬です。血行をよくするトコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)も配合されています。枚数が多く値段も安めのため、鎮痛効果がそこそこ高く、量がたくさん欲しい方に向いているでしょう。肌色タイプなので貼っても目立ちません。

サロンパス

サロンパスはサリチル酸メチルが主成分の湿布薬です。このほか、血行をよくする働きのあるビタミンE酢酸エステルも配合されています。従来のサロンパスAeと比べて貼り心地がしなやかになっていることが特徴です。安くて大量に入っているため手に取りやすい商品ですが、湿布薬特有の香りがするため、においが気になる方にはあまり向いていません。

パップ剤とテープ剤のメリット・デメリット・おすすめ貼付部位

パップ剤とテープ剤のメリット、デメリット、おすすめ貼付部位を表にまとめました。パップ剤、テープ剤のどちらを選んだらよいか迷っている方は、下記の表を参考に選んでみてください。

剤形 メリット デメリット おすすめ貼付部位
パップ剤 ・貼ったときに冷感を得られる
・テープ剤に比べて、かぶれにくい
剝がれやすい ・腫れている部位
・熱を持っている部位
テープ剤 ・密着力が高く、剝がれにくい
・薄くて伸縮性があり、目立ちにくい
冷感効果は、ほぼ無い ・肘や膝など曲げ伸ばしをよくする部位

温感はパップ剤とテープ剤の両方ある!

冷感タイプの湿布薬にはパップ剤しかありません。しかし、温感タイプの湿布薬にはパップ剤とテープ剤の両方があります。どちらも効果に大きな違いはありません。剥がれにくいものがよい方はテープ剤、肌に優しいものがよい方はパップ剤を選んでみてください。

一般に慢性的な痛みには温感シップが適しているといわれていますが、温感でも冷感でもとくに大きな差はないと考えられています。お風呂に入ると痛みがやわらぐ方、温めたほうが気持ちよいと感じる方は温感シップを選ぶとよいでしょう。厳密な使い分けはないため、お好みで選んでいただいて構いません。

まとめ

パップ剤は水分を多く含むもの、テープ剤は伸縮性があるものを指します。パップ剤のほうが患部を冷やす効果に優れているため、冷やしながら痛みを取りたい方はパップ剤がおすすめです。剥がれにくく貼ってもあまり目立たないものがよい方はテープ剤を選んでみてください。

冷感タイプにはパップ剤しか基本的にありませんが、温感タイプにはパップ剤とテープ剤の両方があります。温感の場合はどちらを選んでも効果に大きな差はないため、使いやすいほうを選びましょう。