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お薬コラム
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更新日:2022/05/01

糖尿病や慢性腎臓病の早期対応で注目の尿検査薬!市販で購入可能な製品もご紹介

健康診断や体の不調で受診した際など、病院で尿検査を受ける機会は多いですよね。
尿検査はさまざまな体の不調を確認したり、病気の発見に繋がる検査であり、特に糖尿病や慢性腎臓病(CKD)に対して重要な検査であると言われています。
実は、自宅でもできる尿検査薬があることをご存知でしょうか。
今回は市販で購入できる尿検査薬の役割と種類についてご説明させていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

尿検査薬とは?

尿検査薬は、尿試験紙とも呼ばれ、尿の中に含まれる糖やたんぱく質などの成分に反応し、その濃度に応じて判定が出るように作られた試薬です。
病院で行う尿検査では、コップに尿を採取し、看護師さんなどが検査するようになっていますが、自宅で行う尿検査薬は、直接試験紙にかけて検査することも可能です。

何がわかるの?

現在日本において、市販薬として販売することが認められている尿検査薬の項目は「尿糖」「尿たんぱく」のみです。
また、薬剤師からの対面販売という条件があれば「尿潜血」の項目がある製品も購入することができます。
病院で行う尿検査はこの他「ケトン体」「ビリルビン」「ウロビリノーゲン」「亜硝酸塩」「pH」「白血球」などの項目も必要に応じて一緒に検査することができますが、市販では購入できません。
各項目でそれぞれ何が分かるのかを見ていきたいと思います。

<尿糖>
血糖値が高くなり、腎臓での処理が追いつかなくなると、尿に糖が排出されます。
糖尿病や甲状腺機能の疾患により陽性になる可能性がありますが、妊娠中の女性や高齢の方でも尿糖が出やすいです。
その他、ストレス・疲労により尿糖が出やすくなるとも言われています。

<尿たんぱく>
腎臓の病気や全身性の病気の影響など、何かしらの要因により腎機能が低下していると、腎臓で処理しきれなかったたんぱくが尿に混じって出てきます。
なお、腎機能に問題はなくても、激しい運動の後や生理前後、ストレスが要因でたんぱくが検出されることがあります。

<尿潜血>
目には見えなくても尿に血が混じっていることがあります。
陽性であれば、腎臓・膀胱・尿道など、尿の通り道に炎症や結石が生じている可能性などが示唆されます。

どうして自宅での尿検査が必要なの?

それでは、病院でも行われる尿検査がどうして自宅でも必要なのでしょうか。
それは自身の健康管理、また病気の早期発見や重症化予防のためです。
特に尿糖は糖尿病、尿たんぱくは慢性腎臓病(CKD)に対して有用な検査項目であると言われています。
その理由を、よくある質問にお答えする形で、詳しく説明させていただきます。

<尿糖が出たら糖尿病?血糖値はどう違うの?>
文字が一緒なので勘違いされることもありますが、実は尿糖イコール糖尿病ではありません。
糖尿病の診断自体は血液検査における血糖値を用いて行われます。
それでは血糖値と尿糖はどのような関係があるのでしょうか。
健康な人であれば、血糖値が160~180mg/dlを超えると、尿中に糖が排出されてくると言われています。
食後2時間血糖値が140mg/dlを超えると糖尿病予備軍、200mg/dlで糖尿病と診断されるため、尿糖が出ている場合は糖尿病である可能性を考慮して、血液検査を行う必要があるのです。
ただ、糖尿病以外に腎臓の機能低下や、甲状腺機能の疾患などでも尿糖が陽性になることもあるため、一概に尿糖が出たからといって糖尿病であるとは言い切れません。
あくまでも尿糖は糖尿病の目安ではありますが、陽性反応が出た、あるいは悪化していく場合は何かしらの不調サインとみなして、医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。

<尿たんぱくが出たら腎機能が弱ってるって具体的にどういうこと?>
腎臓は血液中の老廃物を除去する役割を担っています。
その機能が低下すると、体内に老廃物が蓄積していき、水分や電解質のバランスが崩れていきます。
浮腫や血圧の異常などが現れ、重症になると透析がないと生命を維持することが難しくなってしまいます。
腎臓病には、腎臓自体の病気や、全身性の病気の影響で腎臓が弱っている状態、生まれつき腎臓に異常がある病気など、さまざまな種類が含まれています。
最近では慢性に進行する腎障害をまとめて慢性腎臓病(CKD)と呼ぶようになっており、高血圧や糖尿病の人は特にリスクが高く、日本人の約8人に1人がかかっていると言われています。
CKDは自覚症状がなかなか出ないため、気づいた時には重症化していることも多いですが、尿たんぱくの出現などで比較的簡単に見つけることができるため、早期発見・早期治療に繋げることが重要です。

市販で購入できる尿検査薬ウリエースシリーズについて

日本で承認を受けている市販の尿検査薬は、テルモ製のウリエースシリーズのみです。(令和4年4月現在)
使い方はどの種類であっても同じで、コップに入れた尿に試験紙を浸すか、直接尿を1秒以上かけた後、ボトルに書いてある色調表と比べて判定します。
使用後はそのまま便器に流せるため、ゴミ処理の手間はかかりません。

<ウリエースシリーズにはどんな種類があるの?>

現在ウリエースシリーズには以下の製品があります。
名前は似ていますが、それぞれ検査可能な項目が異なるため、注意が必要です。

商品名 判定できる項目 分類 購入できる場所
新ウリエースBT 尿糖・尿たんぱく 第2類医薬品 調剤薬局
ドラッグストア
インターネット
新ウリエースGa 尿糖
マイウリエースT 尿たんぱく
ウリエースKc 尿糖・尿たんぱく
・尿潜血
体外診断用
医薬品
調剤薬局・
調剤併設型ドラッグストアにて
薬剤師から対面で購入

<どこで購入できる?>

新ウリエースBT新ウリエースGaマイウリエースT第2類医薬品にあたり、調剤薬局やドラッグストア以外にインターネットでも購入することができます。
しかし、尿潜血も判定することができるウリエースKcは、他のものと違い、体外診断用医薬品に分類され、薬剤師から対面で購入する必要があります。
販売においては医療用医薬品の販売許可が必要であるため、調剤薬局か調剤併設型ドラッグストアに限られます。
購入に当たっては、取り扱いがあるか、事前に電話などで確認すると良いでしょう。

まとめ

自宅でも手軽に行える尿検査薬についてご説明させていただきました。
尿検査は医療機関でもよく行われるものであり、簡易であるにも関わらず、体の不調をしっかり捉えることができる検査です。
市販の尿検査薬で判定できるものは「尿糖」「尿たんぱく」「尿潜血」と限られてはいますが、糖尿病や慢性腎臓病の発見・コントロールに対してとても重要な項目となっています。
尿検査で不調のサインを見逃さず、速やかな医療機関の受診を行うことで、ご自身の健康を守っていきたいですね。