薬剤師が解説!温湿布の使い方とおすすめの市販薬
急に腰、膝の痛みが出てしまった。温かくなる湿布があるって聞いたけど、ホッカイロと違うのかな。
病院でもらっている湿布薬を使っているけど、病院の予約日前になくなってしまった。
湿布は冷たい物だけでなく、温湿布もあるのはご存じでしょうか。温湿布といっても、腰などに貼ると温かく感じますが、実際は温度が上がっているわけではありません。ホッカイロと違い、湿布に含まれる成分により温かく感じるだけなのです。
この記事では
温湿布仕組みってどうなっている?
温湿布、冷湿布の違いは?
市販で購入できる湿布と病院の湿布は違いがあるの?
市販で購入できる温湿布はどんな製品があるの?
などの疑問を解決できる内容になっています。ぜひ最後まで読んで自分にあった温湿布を選べるようになってくださいね。
温湿布の仕組みと、冷湿布との違いは?
温湿布とは、ホッカイロのように湿布自体が発熱しているわけではありません。あくまでも湿布に含まれる成分により「温かく」感じているだけです。
たまに、服の上から温湿布を使用してしまう方がいらっしゃいます。残念ながら服の上からでは、薬としての効能や温感自体も感じられません。直接痛みがある場所に貼る必要があるので注意してくださいね。
温湿布と冷湿布の違いも、温感成分か冷感成分の違いだけで、冷感も実際に温度を下げているわけではありません。
冷感成分として使用されているのは「l-メントール」という成分です。l-メントールは冷感成分として、またハッカの香りとしても有名です。特徴的なすっきりした香りは皆さんも想像できるのではないでしょうか。湿布としての独特な香りもl-メントールが関係しています。
温感成分としてはどのような物が温湿布に含まれているのでしょうか?
温湿布に配合されている温感成分は?
温湿布に含まれる温感成分として使用される成分は4つあります。
・トウガラシ
・カプサイシン
・ノニル酸ワニリルアミド
・ノナン酸バニリルアミド
トウガラシは、食用としても辛み成分としても有名なナス科のトウガラシの果実です。トウガラシに含まれる「カプサイシン」は、単独で使用することもあります。カプサイシンと似ている物質としてノニル酸ワニリルアミド、ノナン酸バニリルアミドがあります。
温感成分は、肌に付着することで肌に存在する熱刺激受容体を刺激することで温感を得られます。また、温感以外にも血管を広げて血行を促す作用が期待できる成分です。
注意したいのは、この熱刺激受容体は熱だけでなく痛みを感じてしまうことがあります。人によっては温感以外にもヒリヒリするような刺激を強く感じてしまう方もいるため、温湿布を使用する際には注意してください。
温湿布、冷湿布どちらを使ったらいいか迷ったときは、好みで選んでもいいと言われています。ですが、温湿布を選ぶ上で避けた方がいい場合があります。温湿布は血行を促進する効果が期待できるため、打ち身などで腫れがひどい症状には避けた方がいいでしょう。
より詳しく貼り方の注意点を解説します。
温湿布の貼り方の注意点を3つ解説
温湿布の成分であるトウガラシやカプサイシンが皮膚を刺激することで温感、血行を促す作用、刺激によってヒリヒリする場合があることはお話ししました。 |
具体的に貼り方の注意点を3つ解説します。
● 肌への刺激が強いと感じたらすぐに剥がす
● お風呂に入る30分前には剥がして入浴準備
● 皮膚のかぶれがないかをチェック
肌への刺激が強いと感じたらすぐに剥がす
成分の配合量はそれぞれの市販薬によって違います。はじめて使用する温湿布では、温感成分の刺激が強すぎる場合があります。使用しはじめてヒリヒリ刺激が強い等の刺激を感じたら、我慢せずにすぐに剥がして、使用を中止してくださいね。
お風呂に入る30分前には剥がして入浴準備
温湿布を剥がした直後は、肌にまだ刺激が残っている状態です。刺激が残っている状態でお風呂に入ってしまうと、より強い刺激を感じてしまいます。入浴前の30分を目安に湿布を剥がすことで、入浴時の肌への負担を和らげられるので意識してくださいね。
また、入浴後に温湿布を貼るときにも注意が必要です。しっかり汗が引いた状態で使用することで、肌への刺激を和らげられます。
皮膚のかぶれがないかチェック
温湿布も人によっては合わないという方もいます。消炎鎮痛成分、温感成分が合わずにかぶれを起こしてしまうことがあるのです。使用中は肌の状態をしっかり観察してくださいね。
病院で処方される温湿布と市販薬の違いは?
市販で購入できる温湿布と病院で処方される湿布薬は同じ成分が使用されている物も多く、同等の効果が期待できます。現在、病院で一回の処方でうけとれる湿布薬は、63枚までと決められています。次の受診までに普段使っている湿布が足りなくなってしまったときには、薬局やドラッグストアで購入するのもいいでしょう。
ただし、市販薬において主成分は同じでも、主成分の量、温感成分の違いがあります。普段使用している湿布薬を薬剤師、登録販売者に伝えて、相談した上で購入してくださいね。
市販薬でおすすめの温湿布を紹介
薬局、ドラッグストアで購入できるおすすめの温湿布を紹介します。炎症を抑え、痛みを鎮めてくれる成分の処方せん医薬品名も記載しています。普段使用している薬に近い市販薬はどれなのか参考にしてみてください。
インドメタシン
処方せん医薬品:ラクティオンパップ
おすすめ市販薬:バンテリンコーワパットEXホット(興和株式会社)
温感成分としてトウガラシエキスを配合した温湿布で、興和独自開発の「TIAAS(R)製剤」を採用しています。テープ剤とパップ剤の特徴を兼ね備えた「高い付着性」と「優しい貼り心地」が特徴です。
おすすめ市販薬:サロンパスEX温感(久光製薬)
温感成分はトウガラシエキスを配合しており、インドメタシンとしても3.5%と比較的多い配合量です。サロンパスEX温感は、テープ剤です。しっかりした貼り付き、関節でも剥がれにくい特徴を持っています。
ロキソプロフェンナトリウム水和物
処方せん医薬品:ロキソプロフェンナトリウムテープ100mg「タイホウ」、ロキソプロフェンNaテープ100mg「三友」
おすすめの市販薬:ロイヒ膏ロキソプロフェン大判(ニチバン株式会社)
ロキソプロフェンを8.1%配合し、温感成分としてノニル酸ワニリルアミドを配合しています。現在、市販薬でロキソプロフェンを配合した製剤としては、ロイヒ膏ロキソプロフェン大判のみです(2022年1月現在)。普段からロキソプロフェンナトリウムの温湿布を使用している方がチェックしてみてください。
フェルビナク
処方せん医薬品:フェルビナクパップ70mg「タイホウ」
おすすめの市販薬:フェイタス5.0温感(久光製薬)
温感成分としてノニル酸ワニリルアミドを配合している製品です。鎮痛成分であるフェルビナク以外にもビタミンEを配合し、貼った場所の血行を促進する効果が期待できます。
ジクロフェナクナトリウム
処方せん医薬品:処方せん医薬品では温感なし
おすすめ市販薬:フェイタスZαジクサス 温感(久光製薬)
フェイタス5.0温感と同じノニル酸ワニリルアミドを温感成分として配合しています。使用期限が3年と比較的長い製品です。使用頻度が少ない方にもおすすめできる製品です。
温湿布が使えない方へのおすすめ市販薬
注意点でも紹介した湿布でかぶれてしまう方などへおすすめできる消炎鎮痛薬を紹介します。湿布を使用するとかぶれてしまって使えない、塗るタイプの温感消炎鎮痛剤がないかと気になっている方は必見です。
ロイヒクリーム フェルビ(ニチバン株式会社)
鎮痛成分としてはフェルビナクを配合し、温感成分はノニル酸ワニリルアミドを配合しています。特徴的な容器で、手を汚さずに使用でき、外出先でもサッと使用できるのが特徴です。
まとめ
今回は消炎鎮痛湿布薬の中でも「温湿布」について解説しました。
温湿布は温感成分も重要な成分となっています。自分に合った湿布薬を把握しておくことで、いざというときに薬局・ドラッグストアで迷わず購入もでき、安心して使用できます。自分に合った温感成分を見つけるためにも今回の記事を参考にしてみてくださいね。
最後に、急な腰痛や膝の痛みなどで温湿布を使用される方もいらっしゃると思います。温湿布を使用していても、症状が良くならない、ひどくなる、痛み以外にも熱をもっている場合はきちんと医師の診断を受けてくださいね。
<参考資料>
・バンテリンコーワパットEXホット
・サロンパスEX温感
・ロイヒ膏ロキソプロフェン大判
・フェイタス5.0温感
・フェイタスZαジクサス 温感
・ロイヒクリーム フェルビ