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更新日:2025/01/30

「葛根湯」と「麻黄湯」、どっちが合う?症状別の使い分けを解説!

風邪の初期に使われる漢方薬として有名な「葛根湯」と「麻黄湯」。

 

どちらも寒気を伴う風邪に用いられますが、選び方を間違えると効果が十分に得られないこともあります。

 

●葛根湯が向いている人: 首や肩のこりがある、軽い寒気を感じる、体力が普通の人

●麻黄湯が向いている人: 強い悪寒がある、関節が痛む、高熱が出ている

 

この記事では、それぞれの特徴や効果的な飲み方をわかりやすく解説していきます。

 

薬剤師ライター クロロボ
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第1章: 「葛根湯」と「麻黄湯」どっちを選ぶ?違いを徹底比較

風邪を引いたとき、「とりあえず葛根湯!」 と思っている人は多いかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

実は、風邪の症状によっては 葛根湯よりも麻黄湯のほうが効果的 な場合があります。

選び方を間違えると、症状が悪化することも…。

そこで今回は、葛根湯と麻黄湯の違いを徹底比較し、「どっちを選ぶべきか?」 をスッキリ解説していきます!

まずは症状を見極めよう!「寒気」と「痛み」に注目

葛根湯と麻黄湯は、どちらも 風邪の初期 に使われる漢方薬ですが、適応する症状が異なります。

 

葛根湯が合うのはこんなとき

・軽い寒気がある

・肩や首がこわばり、筋肉の張りを感じる

・関節の痛みはそれほどない

・汗をかいていない、または少しだけ汗ばんでいる

葛根湯は、筋肉の緊張をほぐしながら体を温める 作用があります。

「寒気がして、肩や首がガチガチにこわばる」ような風邪に適しています。

葛根湯

 

麻黄湯が合うのはこんなとき

・強い悪寒があり、布団にくるまっても震えが止まらない

・関節が痛く、体全体がギシギシする感じ

・高熱があるが、まだ汗をかいていない

麻黄湯は 体を芯から温め、発汗を促す ことで症状を改善します。

特に、インフルエンザの初期 にも使われることがある漢方です。

麻黄湯

寒気と悪寒って、似ているけど違うんだ!今まで深く考えずに葛根湯を飲んでたかも…!

なぜこの違いがあるの?配合成分をチェック!

葛根湯と麻黄湯の違いを知るには、成分の働きを理解するのが近道です。

葛根湯の主な成分

・葛根(かっこん) → 筋肉のこわばりをほぐし、血行を促進
・麻黄(まおう) → 軽い発汗作用で体を温める
・桂皮(けいひ) → 体を温め、血行を促す

葛根湯は、「風邪の初期+筋肉のこわばり」 に効果的

「肩や首がバキバキに凝る風邪」にぴったりです。

 

麻黄湯の主な成分

・麻黄(まおう) → 強力な発汗作用、解熱作用
・桂皮(けいひ) → 体を芯から温める
・杏仁(きょうにん) → 気道を広げて咳を鎮める

麻黄湯は 「悪寒が強く、汗が出ていない状態」 に特に有効です。

強力な発汗作用で 関節の痛みを和らげ、熱を外に逃がす 効果があります。

漢方って穏やかに効くイメージだったけど、麻黄湯はかなり攻めた処方なのね!

「発汗しているか?」が大事な判断ポイント

風邪のときに「今、自分が汗をかいているか?」を意識することはとても重要です。

・まだ汗をかいていない → 葛根湯または麻黄湯が選択肢になる

・すでに汗をかいている → 麻黄湯は避ける

どちらの漢方も、基本的には「まだ汗をかいていない」状態で飲むのが前提です。

しかし、葛根湯は発汗を促す作用が比較的穏やかなのに対し、麻黄湯は強力な発汗作用を持っています。

そのため、すでに汗をかいている状態で麻黄湯を飲むと、過度な発汗が起こり、体力の消耗につながる可能性があります。

一方で、葛根湯は「発汗が始まりかけた風邪の初期」に適しており、汗をかきすぎる心配は少ないです。

汗をかく前に葛根湯を飲めば、体を温めながら発汗を促し、風邪の進行を抑えるのに役立ちます。

ただし、すでに汗が出ているときには、どちらの漢方も適さないため、他の治療法を考える必要があります。

 

葛根湯と麻黄湯はどちらも「風邪の初期」に使われる漢方薬ですが、症状によって選び方が異なります。

・寒気やこわばりがあるなら → 葛根湯
・悪寒が強く、関節痛があるなら → 麻黄湯
・すでに汗をかいているなら → どちらも避ける

この違いをしっかり覚えておくことで、より適切な漢方選びができます。

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第2章: 症状別!「葛根湯」と「麻黄湯」どちらを選ぶ?

風邪のひき始めに漢方を使おうと思っても、「葛根湯と麻黄湯、どっちが合っているの?」と迷うことはありませんか?

選び方を間違えると、期待した効果が得られなかったり、逆に症状が悪化してしまうこともあります。

今回は、「症状別にどちらを選ぶべきか?」がすぐにわかるチェックリストを用意しました。

さらに、間違った選び方をしたときのリスクや、よくある疑問にも答えていきます。

自分に合った漢方がわかるセルフチェックリスト

まずは、今の症状をチェックしてみましょう。

あなたの状態に当てはまる項目が多いほうが、適している漢方になります。

 

葛根湯が向いている症状

軽い寒気があるが、布団に入れば耐えられる

肩や首のこわばり、筋肉の張りがある

発熱があるが、関節の痛みはそこまでひどくない

喉の痛みや鼻水も気になる

汗をかいていない、またはほんの少し汗ばむ程度

「なんとなくゾクゾクする」「肩こりがひどくなった」そんな風邪の初期には葛根湯が適しています。

体を温め、筋肉の緊張をほぐして症状を和らげる効果があります。

 

麻黄湯が向いている症状

強い悪寒があり、布団にくるまってもガタガタ震える

関節や筋肉がギシギシ痛む

高熱があるが、まだ汗をかいていない

ゾクゾクとした震えが止まらない

風邪のひき始めなのにインフルエンザのような症状がある

「体の芯から冷えてガタガタ震える」「関節が痛くて動けない」そんなときは麻黄湯が適しています。

体を温め、強力な発汗作用で熱を発散させるのが特徴です。

風邪の初手、葛根湯?いや、麻黄湯?あなたの選択で未来が変わる…!

間違った選び方をするとどうなる?

「とりあえず風邪には葛根湯」と思い込んでいる人も多いですが、

選び方を間違えると、余計にツライ思いをすることになります。

ここでは、よくある間違いとその影響を紹介します。

 

軽い寒気なのに麻黄湯を飲んでしまった場合

・体が温まりすぎて、汗をかきすぎて体力を消耗する
・麻黄湯の発汗作用が強すぎるため、軽い風邪のときに飲むと必要以上に汗をかいてしまい、体がだるくなることがある

漢方は症状に合わせて選ぶことが重要です。

軽い寒気なら葛根湯のほうが穏やかに温めてくれます。

 

強い悪寒なのに葛根湯を飲んでしまった場合

・体が十分に温まらず、熱がこもって悪化する
・葛根湯は温める力が穏やかなので、強い悪寒や高熱には向いていない
・インフルエンザのような症状では効果が足りず、かえって悪化することもある

強い悪寒があるときは麻黄湯が適しています。

葛根湯では温める力が足りないことがあるので注意が必要です。

軽い風邪なのに汗ダラダラ…コレ、漢方の選び方ミスったかも?

「この症状にはどっち?」よくある疑問に回答

漢方を選ぶときに迷いやすいポイントについて、具体的にお答えします。

 

Q1. 熱はあるが、すでに汗をかいている場合は?

A. どちらも向かない可能性がある

葛根湯も麻黄湯も「まだ汗をかいていない状態」で飲むのが適しています。

すでに汗をかいている場合は、体を温める漢方よりも水分補給と休息が大事です。

 

Q2. 風邪をひくと喉が痛くなる場合、葛根湯と麻黄湯のどちらが適しているか?

A. 葛根湯が向いている

葛根湯は、風邪の初期で喉の痛みや鼻水があるときに使いやすい漢方です。

一方、麻黄湯は発汗作用が強く、喉の痛みには特化していません。

 

Q3. 高熱があるが、インフルエンザか風邪かわからない場合は?

A. 強い悪寒や関節痛があるなら、麻黄湯が有効なこともある

麻黄湯はインフルエンザの初期に処方されることがあり、悪寒や関節の痛みを和らげるのに適しています。

ただし、高熱が続く場合はすぐに医療機関を受診することが重要です。

 

どちらを選ぶか迷ったときは、「寒気の強さ」と「発汗の有無」を基準に考えると、より適した漢方を選びやすくなります。

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第3章: 「麻黄湯」はインフルエンザ(初期)にも使える!正しい服用法

風邪の漢方薬というイメージが強い「麻黄湯」ですが、実はインフルエンザ(初期)にも使われることがあるのをご存じでしょうか?

ツムラの添付文書にも記載されている通り、麻黄湯は発熱・悪寒・関節痛が強いインフルエンザの初期症状に適応します。

ただし、正しい使い方をしないと効果が十分に発揮されないため、服用のポイントを押さえておきましょう。

ツムラの添付文書にも記載!インフルエンザ初期に有効

麻黄湯の効果は、風邪のひき始めだけではなく、インフルエンザの初期症状にも適応されています。

実際に、ツムラの「麻黄湯エキス顆粒(医療用)」の添付文書には、以下のように記載があります。

効能・効果

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:

感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難

風邪との違いは、症状の激しさ。

インフルエンザの場合、悪寒が強く、関節痛や高熱を伴うのが特徴です。

このような状態のときに、麻黄湯は体を温めて発汗を促し、ウイルスを排除する力を助ける働きをします。

インフルエンザに漢方って意外だよね!でも昔から使われていたってことみたいだね。

服用のポイント:「4時間ごとに服用」がカギ!(※医療用の話)

通常、漢方薬は「1日3回」が基本ですが、医療用の麻黄湯は特別な飲み方をすることがあります。

これは、約1800年前の古典「傷寒論」にも記載されている方法です。

 

医療用麻黄湯の服用法(※市販薬には適用されない)

・通常は1日3回の服用

・インフルエンザの初期は「4時間ごと」に服用するケースもある

・「傷寒論」には「2日分を1日で服用」との記載もある

ただし、この方法は医師の指導のもとで行われるものであり、市販の麻黄湯には適用されない

市販薬の麻黄湯を飲む場合は、必ず添付文書に記載されている「1日3回」の用法を守ることが重要

4時間ごとに飲むなんて、かなりしっかり効かせる方法だよね!

抗ウイルス薬と併用できる?解熱剤との使い方も解説

「麻黄湯ってタミフルや解熱剤と一緒に飲んでいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

結論として、抗ウイルス薬(タミフルなど)とは併用可能です。

 

抗ウイルス薬(タミフルなど)との併用

麻黄湯は抗ウイルス薬と併用できる。お互いの作用を邪魔しない

漢方薬と西洋薬を組み合わせて使うことで、より総合的な治療が可能

 

解熱剤(アセトアミノフェンなど)との併用

解熱剤はできれば半日待つのがベター

麻黄湯の効果は「発汗を促すこと」であり、解熱剤をすぐに飲むと発汗のタイミングが分かりにくくなるため注意

ただし、高熱でつらい場合は無理せず解熱剤を使用する

特に、インフルエンザ脳症のリスクがある子どもは、アスピリンやジクロフェナクを含む解熱剤を避ける必要がある。

(※解熱剤を選ぶときは「アセトアミノフェン」がおすすめ)

インフルエンザに適した解熱鎮痛薬をお探しの方、こちらのコラムも参考にしてください。

インフルエンザの予防にも漢方が役立つ!

「風邪やインフルエンザの予防に漢方は使えないの?」と思う方もいるかもしれませんが、予防のための漢方もある

体力が低下している人は「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」がおすすめ

・免疫を整え、風邪やインフルエンザにかかりにくい体づくりをサポート

・「疲れやすい」「風邪をひきやすい」人に特に向いている

補中益気湯は、疲れやすい人や体力が落ちている人の免疫力を底上げする働きがあるため、普段から体調管理をしたい方にぴったり

麻黄湯とは違い、日常的に飲んでも問題ないため、予防として取り入れやすい。

「インフルエンザ=西洋薬」と思われがちですが、麻黄湯を上手に活用することで、より効果的に対処できる可能性がある

自分の症状に合った使い方を知って、賢く風邪・インフルエンザ対策をしていきましょう。

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第4章: 市販で買える?「葛根湯」「麻黄湯」の選び方と注意点

「葛根湯」や「麻黄湯」は市販でも手に入りますが、実は 製品ごとに成分量や処方の違い があります。

「どれを選べばいいの?」と迷わないために、市販漢方の選び方や注意点を詳しく解説します。

ドラッグストアとネット通販、どこで買うべき?

漢方薬はドラッグストアネット通販のどちらでも買えますが、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

 

ドラッグストア vs ネット通販 比較表

ドラッグストア vs ネット通販 比較表 ドラッグストア ネット通販 メリット "・すぐ買える ・相談できる ・実物を確認できる" "・安く買える ・種類が多い ・自宅に届く" デメリット "・価格が高め ・品揃えが少ない ・在庫切れの可能性" "・届くのが遅い ・相談できない ・偽物に注意"

すぐ欲しいならドラッグストア、安く買うならネット通販!

風邪をひいたときはドラッグストア、備えておきたいならネット通販を活用するのが◎。

状況に合わせて使い分けましょう。

市販の漢方薬は「満量処方」かどうかを確認しよう!

市販の葛根湯や麻黄湯には 「満量処方」「成分量を調整した処方」 があります。

同じ商品名でも エキス量が異なる ため、購入前にしっかりチェックしましょう。

 

満量処方とは?

満量処方とは、医療用(病院で処方されるもの)と同じ成分量 を含んでいる漢方薬のことです。

例えば、ツムラの医療用葛根湯は 1日3.75gのエキス を含みますが、市販のものでは 2/3量や1/2量 の製品もあります。

 

満量処方かどうかを見分ける方法

パッケージに「満量処方」と記載されているか確認する

成分表をチェックする(例:「葛根湯エキス(2/3量)含有」などの表記)

・1日量のグラム数を比較する(満量処方の場合、1日7.5gが一般的)

満量処方の方が効果を実感しやすい ですが、その分、価格が高めになることもあります。

また、体力があまりない人には 2/3量や1/2量の方が優しい こともあるため、選び方に注意しましょう。

満量処方=フルパワー!でも、優しめが欲しいなら2/3や1/2量もアリかも!

市販の「葛根湯」「麻黄湯」おすすめ3選

市販で購入できる代表的な漢方薬を紹介します。

 

カコナール葛根湯顆粒〈満量処方〉

特徴:日本薬局方葛根湯エキスを全量配合した満量処方
ポイント:発熱・寒気・肩こりのある風邪の初期におすすめ
おすすめの人:しっかりとした効果を求める人、葛根湯の服用に慣れている人

 

葛根湯エキス顆粒Sクラシエ

特徴:葛根湯のエキスを3/4量配合したマイルドな処方
ポイント:初めて葛根湯を試す人や、穏やかな効果を求める人向け
おすすめの人:軽い風邪の初期症状や、漢方初心者

 

阪本漢法の麻黄湯顆粒

特徴:インフルエンザの初期にも使える満量処方の麻黄湯
ポイント:強い悪寒・発熱・関節痛のあるときに最適
おすすめの人:高熱でゾクゾクする、関節の痛みがつらいとき

 

市販の葛根湯・麻黄湯を賢く選ぼう

「葛根湯」や「麻黄湯」は 市販でも手に入る便利な漢方薬 ですが、選び方を間違えると「思ったより効かない…」ということになりかねません。

・症状に合った漢方薬を選ぶ(第2章参照)

・満量処方かどうかをチェックする

・購入場所のメリット・デメリットを考える

特に 満量処方かどうか は、成分量の違いによる効果の差を生むため、パッケージや成分表をよく確認して選ぶことが大切 です。

これで「葛根湯」と「麻黄湯」の市販品の選び方もバッチリ!

自分の症状と体質に合った漢方薬を選んで、風邪のひき始めをしっかりケアしましょう。

まとめ

 

「葛根湯」と「麻黄湯」は風邪の初期に使うが、症状で選ぶことが重要。
葛根湯は「軽い寒気」「肩こり・筋肉のこわばり」に適する。
麻黄湯は「強い悪寒」「関節痛」「高熱(汗をかいていない)」に使う。

麻黄湯はインフルエンザの初期にも有効。
ツムラの添付文書にも記載があり、発熱・悪寒・関節痛に適応。

「汗をかいているか?」が選択のポイント!
汗をかいていないなら麻黄湯、すでに発汗しているなら葛根湯は向かない。

市販品は「満量処方」かどうかを確認。
成分量が異なるため、パッケージや成分表示をチェックする。

 

葛根湯と麻黄湯はどちらも風邪の初期に使えるが、違いを理解していないと逆効果になることも。

特に麻黄湯は発汗力が強く、適さないタイミングで飲むと体力を消耗するため注意が必要。

「寒気の強さ」「発汗の有無」を基準に、適切な漢方薬を選ぶことが大切ですね。

また、市販の漢方は成分量が異なるので、しっかりチェックして選びましょう!