つらい唇の荒れには医薬品のリップクリームを!選び方とおすすめ製品を解説
荒れて腫れやひび割れを起こした唇。
見た目も気になりますし、食事や会話の際に痛みが出るのが億劫ですよね。
すでに荒れてしまった唇には、リップクリームの中でも医薬品の製品を選ぶのがおすすめです。
炎症を起こしている唇に対して、さまざまな有効成分が効果を示し、回復をサポートしてくれるでしょう。
このコラムでは、医薬品のリップクリームに含まれる有効成分の紹介や、選び方のポイントを踏まえたおすすめ製品などをお伝えさせていただきます。
医薬品のリップクリームとは?
リップクリームの中でも、厚労省が認めた有効成分が含まれ、主に病気の治療を目的として使用されるものです。
それにより、基本的に唇の保湿だけを期待するものではなく、唇の炎症や荒れ症状がすでに起きている場合に、回復を促すリップクリームであると言えるでしょう。
有効成分には唇の炎症を抑える成分や、組織を修復する成分などがあり、含まれるものにもよりますが、「口角炎」、「口唇炎」、「口唇のひびわれ」、「口唇のただれ」などに効能・効果を示す製品が多いです。
含まれる有効成分は?
医薬品のリップクリームに含まれている代表的な成分をご紹介させていただきます。
・プレドニゾロン(ステロイド)
ステロイドは炎症を起こす原因物質の産生を抑え、赤みや腫れを抑制する抗炎症作用を示します。
また、他にも炎症を起こす細胞の更なる増殖を抑える細胞増殖抑制作用、患部の赤みを鎮める血管収縮作用、過剰な炎症や痒みを抑える免疫抑制作用もあります。
このように、多方面から炎症に対して効果を発揮するため、炎症を抑える力が強い成分です。
・グリチルレチン酸
炎症を起こす原因物質であるプロスタグランジンの産生を抑制することで抗炎症作用を示すほか、皮膚のバリア機能を高めたり、免疫反応を調整したりする作用ももちます。
・アラントイン
組織修復作用があり、荒れた唇の治りをサポートします。
点眼薬や痔の薬などの医薬品以外にも、化粧品にもよく用いられ、幅広く活躍する成分です。
・セチルピリジニウム塩化物水和物
殺菌・消毒成分として、唇の荒れた部分から菌が入って化膿するのを防ぐ働きがあります。
のど飴やうがい薬などにもよく含まれている成分です。
・トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)
血行を促進することで、唇の新陳代謝を促します。
・パンテノール
プロビタミンといい、体の中でビタミンB5に変換されます。
皮膚の修復や抗炎症作用、粘膜保護などが期待されます。
・ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)
主に粘膜や皮膚の健康維持を助ける働きを行うため、荒れた唇の修復に有効であるとされています。
医薬品のリップクリームの選び方のポイントは?
ステロイド含有のものか非ステロイドの抗炎症成分含有のものか
医薬品のリップクリームにはほとんどの製品で、炎症を抑える成分として、ステロイドか非ステロイド(グリチルレチン酸)成分、どちらか一方が配合されています。
・ステロイド配合のもの
炎症を抑える作用が強いため、荒れがひどい口唇炎や口角炎に効果的です。
しかし、ステロイドは免疫機能を低下させる作用があるため、口唇炎や口角炎と呼ばれる病態ではなく、似た疾患の口唇ヘルペスなどからくる唇の荒れには逆効果となる可能性もあります。
そのため、唇の荒れの原因が不明である場合はステロイドの使用には慎重になった方が良いでしょう。
・非ステロイドの抗炎症成分配合のもの
非ステロイドの抗炎症成分は、ステロイドに比べれば炎症を抑える作用はマイルドです。
しかし、ステロイド配合のものと比べると製品数が多く、選択肢が幅広くあるでしょう。
チューブタイプかジャータイプかで決める
リップクリームには、チューブタイプとボトルに入ったジャータイプの2種類が存在します。
使用する環境によって、適したタイプを選ぶと良いでしょう。
・チューブタイプ
直接唇に塗れる仕様になっているものが多く、手を汚さず、気軽に使用できるというメリットがあります。
しかし、女性であれば口紅の色移りする場合もありますし、直接唇に使用することで衛生面が気になるという方もいるでしょう。
・ジャータイプ
指を使用することで唇全体に馴染ませやすいというメリットがあります。
ただ、綿棒などを使用すれば、比較的衛生的に使用できますが、指で使用する場合は、衛生面が気になるのと、指先がベタつくというデメリットもあります。
ちなみに、病院で処方してもらう医療用医薬品ではそもそも直接塗布できるチューブタイプのリップクリームというものは存在せず、軟膏やクリームを自分の指で唇に塗布するという使い方が一般的です。
メントールの有無で選ぶ
メントールには清涼感を与える役割があるため、メントール配合のリップクリームは使用後にスーッとした使用感があります。
その清涼感がお好みの方へはメントール配合のものがおすすめですが、敏感な唇の方はメントールの清涼感を刺激として感じる可能性があるため、無配合のものが良いでしょう。
おすすめ医薬品のリップクリーム4選
デンタルピルクリーム
有効成分:プレドニゾロン、セチルピリジニウム塩化物水和物
タイプ:チューブ
メントールの有無:無
特徴:ステロイド配合のリップクリームで、唇の炎症が強いときにおすすめです。
唇だけでなく、口の中にも使用できるため、口内炎や歯茎の炎症にも使用できますよ。
メンソレータムメディカルリップnc
有効成分:アラントイン、グリチルレチン酸、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、セチルピリジニウム塩化物水和物
タイプ:チューブ
メントールの有無:無
特徴:抗炎症成分、組織修復成分、殺菌成分など、唇の荒れに対して有効な成分が多方向からアプローチします。
同ブランドのメンソレータムメディカルリップbはメントールが配合されたジャータイプの製品です。
ユースキン リリップキュア
有効成分:アラントイン、グリチルレチン酸、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、パンテノール
タイプ:ジャー
メントールの有無:無
特徴:抗炎症成分に組織修復成分や血行促進成分が加わることで、荒れた唇の回復を促します。
また、グリセリンを高配合したモイストグリップ処方で唇の潤いを保ちつつ、添加物であるワセリン、スクワラン、オリブ油が唇を外部の刺激から守る設計となっています。
プロペト ピュアベール
有効成分:白色ワセリン
タイプ:チューブ
メントールの有無:無
特徴:白色ワセリンを精製し、さらに純度をあげた、全身に使用できる保湿剤です。
唇に対しても、潤いを保ち、外部からの刺激から保護する効果があるため、リップクリームとしても使用可能です。
すでに炎症が起きている唇の組織を回復させるような効果は期待できませんが、唇の荒れが起きる前の予防や、炎症が治った後のケアに対する使用におすすめです。
一つあれば、手足の保湿や赤ちゃんのおむつかぶれまで、家族の肌トラブルを幅広くカバーしてくれるでしょう。
医薬品と医薬部外品のリップクリームの違いは?
リップクリームを探していると「薬用」と記載のある、リップクリームも見つけることができますよね。
「薬用」と聞くと、医薬品であると思う方もいますが、これは正確には「医薬部外品」と呼ばれ、医薬品とは異なる分類に当たります。
どちらも、厚労省が認める有効成分を含んでいるという部分では共通していますが、医薬品は主に口唇炎や口角炎といった病気の治療を目的とし、医薬部外品は唇の荒れを防止することを目的としているという違いがあります。
また、医薬品はチューブやジャータイプで口紅のようなスティックタイプはないのに対し、医薬部外品のリップクリームは、スティックタイプが主流であるという違いも挙げられるでしょう。
リップクリームには更に化粧品と呼ばれる分類に属する製品もあるため、そもそもどの分類の製品を選んだらいいか分からないという方は以下のコラムもご参照ください。
まとめ
医薬品のリップクリームについて、含まれる有効成分や、選び方のポイントを踏まえたおすすめ製品までお伝えさせていただきました。
医薬品のリップクリームはすでに起きた炎症を抑えることを目的とし、抗炎症剤が含まれている製品が多いです。
ステロイドか非ステロイドによって効果の強さや注意点が異なるため、現在出ている症状によって使い分けるようにしましょう。
また、どちらにしても医薬品のリップクリームを使用して5、6回使用しても効果が見られない場合は、製品が唇に合っていない可能性や、口唇ヘルペスなど、別の要因で炎症が起きている可能性がありますので、必ず皮膚科を受診するようにしましょう。
このコラムがつらい唇の荒れでお悩みのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。