bannerbanner sp
お薬コラム
Medication Column List
画像
更新日:2025/02/19

痛み止めとアルコール、一緒に飲んだらどうなる?危険性と安全な対処法

「痛み止めを飲んだ後にお酒を飲んでしまった…大丈夫?」

 

「飲み会前に痛み止めを飲んでおきたいけど、危険?」

 

このような疑問を持つ方は多いでしょう。

 

実は、痛み止めとアルコールの併用は、胃を荒らしたり、肝臓に負担をかけたり、場合によっては意識を失う危険すらあります。

 

この記事では、痛み止めとアルコールの危険な組み合わせについて、薬剤師の視点から詳しく解説します。

薬剤師ライター クロロボ
画像

第1章:痛み止めとアルコールを併用するとどうなる?

なぜ一緒に飲んではいけないのか?

「痛み止め」と「アルコール」。

どちらも身近なものですが、一緒に摂取すると 特に胃腸に大きなリスク をもたらします。

最も注意すべきなのは、 NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェン・アスピリンなど)の副作用である胃腸障害 です。

これらの薬は、胃の粘膜を保護する働きを弱めるため、アルコールと併用すると胃潰瘍や胃出血のリスクが大幅に増加します

さらに、NSAIDsは肝臓にも影響を与えることがありますが、最も顕著なのは「胃腸への負担」 です。

一方、アセトアミノフェン(カロナール・タイレノール) は、胃腸への影響は少ないものの、肝臓で代謝されるため 大量摂取や慢性的な服用で肝機能障害を引き起こすリスクがあります。

つまり、痛み止めとアルコールの併用は、胃腸か肝臓のどちらかに負担をかける可能性が高く、避けるべき組み合わせ なのです。

痛み止め×アルコール=胃腸も肝臓も大ピンチ!飲み合わせNGの理由、ちゃんと知っておこう!

痛み止めとアルコールの主なリスク

① 胃の負担増加(ロキソプロフェン・イブプロフェン・アスピリン)

NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェン・アスピリンなど)は 胃の粘膜を保護する作用を弱める ため、 アルコールと併用すると胃潰瘍や胃出血のリスクが高まります

ロキソプロフェン はプロドラッグであり、胃を直接刺激することは少ない ため、「胃に優しい」と思われがちですが、実際には 上部消化管出血のリスクと関連している ことが知られています。
そのため、アルコールとの併用によるリスクは 他のNSAIDsと比較して大きく変わらない ことに注意が必要です。

なるほど、“胃に優しい”と思ってたロキソプロフェンも、アルコールと組み合わせると危険度アップか…。

 

② 肝臓への負担(アセトアミノフェン)

アセトアミノフェン(カロナール・タイレノール) は、胃腸への負担は少ないですが、肝臓で代謝されるため、アルコールとの併用で肝臓の解毒機能に影響を与える可能性があります

特に大量のアルコールを摂取しているときに服用すると、肝機能障害を引き起こすリスクが高まります。

ふむ、お酒をよく飲む人ほどアセトアミノフェンのリスクが高まる…これは覚えておかないと。

 

③ 酔いの悪化(アリルイソプロピルアセチル尿素など)

市販の解熱鎮痛薬には、鎮静成分(アリルイソプロピルアセチル尿素など)が含まれるもの があります。

これらの成分は アルコールと一緒に摂取すると、酔いが強くなりすぎたり、異常な眠気を引き起こしたりする 可能性があります。

なるほど、痛み止めとお酒の組み合わせで“予想外の泥酔”なんてこともあるのか…。危険すぎる!

 

痛み止めとアルコールの併用は、 胃や肝臓に負担をかけるだけでなく、予期せぬ副作用を引き起こす可能性があるため、絶対に避けるべき組み合わせ です。

画像

第2章:痛み止めを飲む前後の飲酒、どのくらい時間を空けるべき?

痛み止めの服用前後に飲酒しないことが大前提

ロキソプロフェン・アスピリン・アセトアミノフェンの いずれの製品の添付文書にも「服用前後の飲酒は禁止」と明記されています

つまり、基本的に痛み止めを飲む前後にアルコールを摂取するのは避けるべき です。

しかし、「痛み止めを飲む予定があるのに、うっかりお酒を飲んでしまった」「服用後に飲酒したくなった」というケースもあります。

では、飲酒前後のどのくらい時間を空ければ安全なのでしょうか?

痛み止めを飲む前にお酒を飲んでしまった場合

どのくらい時間を空ければいい?

アルコールが体内から抜けるまでの時間は、飲酒量や体質によって異なりますが、以下が一般的な目安です。

飲み物 アルコール分解時間 ビール(500ml) 約3時間 ワイン(1杯/120ml) 約2時間 ウイスキー(ダブル1杯) 約3時間 日本酒(1合/180ml) 約2~3時間

これを考慮すると、飲酒後に痛み止めを服用するなら、最低5〜6時間の間隔を空けるのが望ましい です。

ただし、飲酒量が多い場合や、肝機能が低下している人は、8時間以上空けることが推奨 されます。

飲酒後の痛み止めは最低5〜6時間、飲み過ぎたら8時間以上空けるのが安全です!

 

なぜこの時間を空けるべきなのか?

アルコールは肝臓で分解されるため、体内にアルコールが残っている状態で痛み止めを服用すると、肝臓の負担が増し、解毒機能が低下する可能性 があります。

また、NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェン)は胃を荒らしやすいため、飲酒後すぐに服用すると、胃の粘膜がダメージを受けやすくなり、胃潰瘍や胃出血のリスクが高まる ためです。

なるほど、飲酒後すぐの痛み止めは、肝臓も胃もフルボッコにされるってことか…恐ろしい。

 

特に注意が必要なケース

・日常的にアルコールを摂取している人(肝機能が低下している可能性)

・飲酒後にすでに胃の不快感を感じている人(胃粘膜が弱っている状態)

・肝機能に不安がある人(肝臓の解毒機能が低下している可能性)

 

痛み止めを飲んだ後にお酒を飲みたくなった場合

どのくらい時間を空ければいい?

一般的に、痛み止めの効果が持続する時間は 4~6時間程度 です。

・ロキソプロフェン・イブプロフェン(NSAIDs系) → 効果が 約4~6時間持続

・アセトアミノフェン(非NSAIDs系) → 効果が 約4~5時間持続

しかし、「効果が切れた=薬が完全に代謝された」わけではありません。

体内での代謝が完全に終わるまでには 6~8時間以上 かかる可能性があるため、服用後の飲酒は最低でも6~8時間空けるのが安全 です。

薬の成分が抜けるまで時間がかかるため、服用後の飲酒は6~8時間空けましょう。

 

服用後すぐに飲酒すると何が起こる?

痛み止めを服用後にアルコールを摂取すると、以下のような副作用のリスクが高まります。

NSAIDs(ロキソプロフェン・イブプロフェン)

・胃の粘膜を傷つけ、胃潰瘍や胃出血のリスクが増加
・胃がムカムカする、胃痛が起こる

アセトアミノフェン

・肝臓への負担が増加し、肝機能障害のリスクが上昇
・体がだるくなる、吐き気が出る、黄疸のリスクがある

「痛み止めを飲んでいるから、お酒は少しなら大丈夫」と思うのは危険です。

特に、アルコールの代謝能力が低い人(飲むと顔が赤くなる人など)は、通常よりもリスクが高まる可能性があります。

“少しなら大丈夫”って、ギャンブルかな? 胃と肝臓に負担をかけるリスク、わざわざ背負う必要なし!

 

より慎重になるべきケース

以下のような場合は 8時間以上空けても飲酒は控えたほうが安全 です。

・肝機能に不安がある(肝疾患の既往歴、アルコールをよく飲む人)

・痛み止めを規定量より多く服用してしまった

・アルコールの分解能力が低い(飲むと顔が赤くなりやすい人)

・服用後に胃の不快感や体調不良を感じている

このような場合、服用後8時間以上経過していても、アルコール摂取は慎重にすべきです。

肝臓弱い人、飲みすぎた人、顔赤くなる人…え、もう全員お酒やめといたほうがいい説?

痛み止めとアルコールを併用した場合の危険な症状と対処法

危険な症状

・強い吐き気や嘔吐が続く

・めまいやふらつき、異常な眠気がある

・強い胃痛がある

・意識がもうろうとしている

・息苦しさを感じる

・顔や体が異常に赤くなる、または青白くなる

このような症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。

特に、嘔吐を繰り返したり、意識が混濁している場合は、急性アルコール中毒や薬の副作用が関与している可能性があるため、救急対応が必要になることもあります。

 

痛み止めを服用する前後の飲酒は避けるべきですが、どうしても飲酒する場合は、最低でも6〜8時間の間隔を空けることが推奨されます。

また、個人の体調や肝機能、服用量によっては、それ以上の時間を空けるか、飲酒自体を控えたほうが良い場合もあります。

安全のためには、痛み止めを服用した日はお酒を飲まないのが最もリスクが少ない選択肢です。

また、「うっかり痛み止めを飲んでしまった」「飲酒後にどうしても痛み止めが必要になった」という場合は、自己判断せずに、薬剤師や医師に相談するのがベスト です。

画像

第3章:時間の目安を守った上で、自分に合った痛み止めを選ぶ

痛み止めを選ぶ際は「どこに負担がかかるか」を考える

痛み止めの服用前後に飲酒しないことが前提ですが、どうしても痛み止めが必要な場合は、自分の体質や体調に合ったものを選ぶことが重要 です。

痛み止めは成分によって、胃・肝臓・腎臓など、負担がかかる臓器が異なります。

そのため、普段の飲酒量や、すでに感じている体の不調によって、最適な薬の選択肢が変わります。

では、具体的にどのような人が、どの成分の痛み止めを選ぶべきなのでしょうか?

① 胃腸が弱い方(胃痛・胃もたれ・胃炎を起こしやすい)

アセトアミノフェン単剤が向いている

胃の粘膜が弱い方や、普段から胃もたれ・胃痛を感じる方は、できるだけ胃への刺激が少ない痛み止めを選ぶのがベスト です。

特に、お酒を飲んだ後は胃がアルコールで刺激を受けているため、負担が少ない成分を選ぶことが重要です。

おすすめの痛み止め

② 肝臓が疲れている方(お酒をよく飲む、肝機能に不安がある)

NSAIDs+胃薬配合製剤が向いている

普段からお酒を飲む機会が多い方や、肝機能に不安がある方は、肝臓への負担を避けるためにアセトアミノフェンではなくNSAIDsを選ぶのが適切 です。

ただし、NSAIDsは胃を荒らしやすいため、胃薬が配合されている製品を選ぶと負担を軽減できます。

おすすめの痛み止め

ロキソニンSプラス

ロキソプロフェンに胃粘膜保護成分を配合 し、胃への負担を軽減。

③ 普段から腎臓が弱い方

アセトアミノフェン単剤が向いている

腎機能が低下している方や、腎臓に負担をかけたくない方は、腎血流を低下させる可能性のあるNSAIDsは避けたほうがよいでしょう。

この場合、代謝が肝臓で行われるアセトアミノフェンを選ぶと安心 です。

おすすめの痛み止め

痛み止めは成分によって、胃・肝臓・腎臓など、負担がかかる部位が異なります。

胃が弱い方はアセトアミノフェン単剤、肝臓が心配な方はNSAIDs+胃薬配合製品、腎臓が弱い方はアセトアミノフェンが向いています。

また、どの痛み止めを選ぶにせよ、服用前後の飲酒は避けるのが大前提 です。

事前に体調や飲酒の予定を考え、必要なら薬剤師や医師に相談するのが最も安全な選択肢でしょう。

まとめ

●痛み止めとアルコールの併用は、胃や肝臓に負担をかけるため避けるべき。

●服用前後の飲酒は最低でも6~8時間空けるのが安全。

●痛み止めは体質に合わせて選ぶことが重要。
・胃が弱い方 → アセトアミノフェン単剤
・肝臓が心配な方 → NSAIDs+胃薬配合製剤
・腎臓が弱い方 → アセトアミノフェン単剤

 

痛み止めとアルコールの併用はしないことが大前提です。

影響を最小限にするには、服用前後の時間をしっかり空け、体質に合った薬を選ぶことが大切 です。