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お薬コラム
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更新日:2022/03/14

口角炎、口唇炎

「口の端が切れて大きな口を開けると痛む」「唇がカサカサして食べ物がしみる」そういった経験はないでしょうか。
このような症状を「口角炎」「口唇炎」と呼びます。
冬場に乾燥すると起きるイメージも大きいですが、なんとなくリップクリームだけで対応していませんか?
実は口角炎・口唇炎を起こす原因は他にもさまざまあり、効果的な市販薬もたくさん販売されています。
今回は口角炎、口唇炎の症状や原因を踏まえながら、おすすめの市販薬をご紹介させていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

口角炎・口唇炎とは

口角炎は文字通り口角(唇の両端部分)に、口唇炎は唇が炎症を起こしている状態です。
見分けがつきにくいですが、一般的に口の角だけであれば口角炎、唇全体に症状があれば口唇炎と言います。

症状は?

主な症状は、唇が乾燥し、ひび割れや皮が剥けることです。
軽度な場合は、かゆみだけが出現することもありますが、重症になると赤みやただれ、出血が現れることもあります。

原因は?

口角炎、口唇炎の原因としては以下のものが挙げられます。

● 唇の乾燥(唇を舐める癖・冬場などの大気の乾燥)
● 栄養不足(ビタミンB2・B6の欠乏)
● 細菌・ウイルス・カンジダ菌の感染
● 口紅・歯磨き粉・食べ物などへのかぶれ
● アトピー性皮膚炎
● 日焼け
● ストレス・疲れ
● 歯の嚙合わせの異常

唇の乾燥以外にも、唇に接触するものへのかぶれやアトピーが炎症の原因となっている割合は高いです。
しかし、口紅や食品などにかぶれてしまっている場合は、原因物質を特定さえできれば、それを避けることで比較的簡単に改善できるでしょう。
それに対して、感染が原因である口角炎、口唇炎には注意が必要です。
細菌やウイルスによる感染でも起こりますが、特に「カンジダ菌の影響」の割合が多いと言われています。
カンジダ菌はカビ(真菌)の一種であり、元から口の中に存在する常在菌ですが、高齢者や風邪などで免疫力や抵抗力が低下すると増殖し、発症に至ります。
そのため、

● 糖尿病や免疫疾患などの基礎疾患がある人
● 高齢者や子供

なども、口角炎や口唇炎を誘発する要因となります。
カンジダによる口角炎、口唇炎は免疫力が戻れば自然と治ることもありますが、長引く場合は医療用の抗真菌薬で治療した方が良いでしょう。

間違いやすい病気は?

口唇炎・口角炎と間違いやすい症状の一つに「口唇ヘルペス」が挙げられます。
口唇ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスが原因の感染症で、唇やその周りに小さな水ぶくれができる病気です。
単純ヘルペスウイルス自体は子供の頃に感染する人がほとんどで、カンジダ菌と同じく、免疫力が低下したときに発症します。

口唇ヘルペスに関して詳しくはこちらのコラムをご参照ください。

口角炎・口唇炎に効果のある成分

口角炎、口唇炎に対して使用される市販薬の成分として、代表的なものを紹介させていただきます。

ビタミンB2・B6

口角炎・口唇炎を起こしていると思われる原因が、これらのビタミン不足であると言われています。
ビタミンB2、B6は主に粘膜や皮膚の健康維持を助ける働きを行うため、口内炎や口角炎、また口唇炎にも有効であると考えられています。

アラントイン

粘膜や組織を保護し、修復する作用があります。
リップクリームなど以外にも、日焼け止めやマスクなど、スキンケア・衛生用品と幅広く用いられています。

グリチルレチン酸

生薬である甘草から抽出した成分で、抗炎症作用を示します。
目薬や点鼻薬など、いろいろな用途・剤形で用いられる成分です。

ビタミンE

血行促進作用があり、しもやけなどにも用いられます。

パンテノール

プロビタミンといい、体の中でビタミンB5に変換されます。
皮膚の修復や抗炎症作用、粘膜保護などが期待されます。

ステロイド

抗炎症作用により、唇の荒れを修復します。
口角炎や口唇炎に対しては、口の中に入っても問題ない、作用の弱いステロイドが使用されています。
ウイルスや細菌・真菌が原因の口唇炎・口角炎では悪化する可能性もあるので注意が必要です。

口角炎・口唇炎に効果のある市販薬の剤形

・飲み薬
主な成分はビタミンB2やB6です。
そのため、ビタミン不足が原因となる口角炎・口唇炎に効果を示します。
また、口角炎・口唇炎の予防や再発への対策をしたい人にもおすすめです。
外用薬と併用しても問題ありません。

・軟膏(クリーム)
医薬品に分類される市販薬はおおよそが軟膏もしくはクリームタイプです。
直接唇に塗ることができる製品もありますが、絞り出して、手かガーゼにつけて使用するものが多いです。

製剤全体が固形となっているスティックタイプの塗り薬も薬局の売り場でよく見かけるのではないでしょうか。
スティックタイプは市販の化粧品や「薬用」と記されている医薬部外品のリップクリームでよく使用されるタイプです。
化粧品・医薬部外品・医薬品の違いに関しては、こちらの記事もご参照ください。

口角炎・口唇炎に効果のある市販薬

チョコラBBプラス

有効成分:ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム
特徴:5種類のビタミンB群により、口角炎・口唇炎だけでなく、口内炎や肌荒れ、疲労の改善にも効果が期待できます。
サプリメントでもビタミンB製剤は販売されていますが、こちらは医薬品ですので、有効性や安全性が確認されたものになっています。

トラフルBBチャージa

有効成分:ビタミンB2、B6、ビタミンC、ヨクイニン、L−システイン、ニコチン酸アミド、ビタミンH
特徴:ビタミンB2、B6を最大基準量含有している医薬品です。
1日1回の服用で良いため、習慣が継続しやすいよう設計されています。

モアリップ

有効成分:アラントイン、グリチルレチン酸、ビタミンE、ビタミンB6、パンテノール
特徴:化粧品でも有名な資生堂が製造している、唇に直接塗れるチューブタイプの軟膏です。
5つの成分が唇の荒れに効果を示します。

メンソレータム メディカルリップb

有効成分:アラントイン、ビタミンE、ビタミンB6、グリチルレチン酸、セチルピリジニウム塩化物水和物、dl-メントール
特徴:メンソレータムは用途に合わせて、化粧品・医薬部外品にもリップケア製品を数多く揃えています。
その中で医療用として販売されているのがメディカルリップシリーズです。
こちらのメディカルリップbはメントールが配合されているため、スッとした清涼感が特徴的な、ボトルに入ったタイプです。
チューブタイプが良い人は同じシリーズのメディカルリップncが販売されています。
ただし、こちらはメントールが配合されていないため、購入時にはご注意ください。

デンタルピルクリーム

有効成分:プレドニゾロン、セチルピリジニウム塩化物水和物
特徴:プレドニゾロンという、弱いクラスのステロイドが含まれています。
ステロイドの抗炎症作用に加え、セチルピリジニウム塩化物水和物が殺菌作用を示します。

まとめ

口角炎・口唇炎の症状や原因、効果のある市販薬についてお伝えさせていただきました。
口角炎や口唇炎は乾燥が原因であるとよく思われていますが、ビタミン不足や日焼けなどでも発生します。
化粧品や医薬部外品のリップクリームで日頃からケアすることも効果的ですが、一度荒れてしまった唇には、飲み薬によりビタミンを補ったり、唇を修復する成分の入った医薬品の軟膏を使用したりすることで、より早い回復が見込まれます。
しかし、カンジダ菌を含む感染症が原因である場合や、アトピーによるものである場合は、医療用医薬品を用いて、原因そのものへの対処が必要なこともあります。
また、腫瘍であったり、クローン病などの病気が隠されている可能性もゼロではありません。
そのため、市販薬をしばらく使用しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、必ず皮膚科などを受診するようにしましょう。
辛い口角炎・口唇炎にお悩みのあなたにとって、この記事がお役に立てることを祈っています。