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お薬コラム
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更新日:2022/03/27
『うおの目、たこ、いぼ』について

手や足にできたうおの目・たこ・いぼでお困りの方はいませんか?
あまり痛みがなくても、目につく場所であれば気になるものですよね。今回は、3つの皮膚の病気について、違いや対処方法をお伝えします。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 中山 歩実

うおの目・たこ・いぼの違いとは?

似たような見た目ですが、皮膚の変化は、それぞれ違う原因で起きています。

うおの目は足への圧迫刺激が原因
うおの目は、主に足の裏・足の指にできる皮膚病変です。一定の場所に強い圧迫刺激がかかり続けることで、角質が厚く固くなり、さらには内側に向かって鉛筆の芯のように食い込んでいきます。うおの目は、内側に尖った角質によって痛みがあるのが特徴

また、子どもにはほとんどできません。子どもの足の裏にうおの目のようなものを見つけた場合、それは「ミルメシア」と呼ばれる“いぼ”のことが多いです。

たこは外側に盛り上がるのが特徴
たこは、うおの目とよく似ていますが、まったく違ったでき方をしています。
特定の場所に刺激がかかり続けることで、刺激を受けた周辺の皮膚全体の角質が厚くなるのは同じです。うおの目とは違い、外側に向かって硬い皮膚が盛り上がり、痛みはあまり感じません
いぼはウイルスによるものが大半
いぼは、さまざまな種類がありますが、一般的に“いぼ”と言ったときにはウイルス性のいぼを指します。伝染性軟属腫ウイルスや、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。1つできてしまうと、他の箇所や他人にうつる可能性があります。
いぼの原因となるHPVは、子宮頸がんや性感染症の1種であるコンジローマを引き起こすHPVとは別の種類。いぼから感染する心配はありません。

治療方法の違いは?

うおの目、たこ、いぼが似て非なる皮膚の病気だということをお伝えしました。それぞれ、治療方法にも違いがあります。

うおの目・たこは角質を柔らかくする

うおの目は、尖った角質が内側に向かって食い込んでいるため、痛みがあります。食い込んだ角質を除去するのが一番の治療です。
たこは、あまり痛みを伴わないことが多いですが、必要に応じて除去します。
うおの目・たこの治療のためには、角質を柔らかくすることが必要です。「サリチル酸」の塗布で角質が柔らかくなります

 

スピール膏ワンタッチEX

サリチル酸の角質軟化溶解作用を利用した角質剥離剤です。患部のみに薬剤が浸透できるようサイズ調節シールが付属しています。保護用パッドにより外部からの刺激を守ります。

イボコロリ

液体タイプのサリチル酸製剤で、硬くなった皮膚にピンポイントで塗布できます。

スピール膏ワンタッチEX、イボコロリを使用する際の注意

サリチル酸が含まれたスピール膏を使用する際の注意点はうおの目やたこの中心部に合わせてシールを小さく切ることです。あまり広範囲に貼ってしまうと、正常な皮膚までふやけてしまいます。ふやけて傷ついた皮膚から細菌が入り、感染症を起こしてしまうことも。小さすぎるかなと思うくらいの大きさで貼ってください。
また、スピール膏が剥がれないよう、テープや絆創膏で固定した方がよいでしょう。

液体タイプのサリチル酸製剤イボコロリも正常な皮膚につかないように使用します。もし他の部位についた場合にはすぐに拭き取ってください。

うおの目の痛みがひどい場合には、メスで切り取る処置を受けた方が良いかもしれません。市販薬の対応で改善が見られない場合、皮膚科で相談しましょう。

イボコロリは、うおの目・たこ・いぼの全てに効果があります。ただし、子どもに多い「水いぼ」には使用できません。表面の固くなっているいぼにだけ使うようにしてください。

いぼは皮膚科受診が必要かも

いぼの原因はウイルスが多く、感染性もあります。そのため、皮膚科で液体窒素などを使った治療が効果的です。
いぼは自然に治ることもありますが、皮膚科で治療をおこなった方が治りは早まります。ただし、ウイルス性のいぼは、皮膚科で治療したとしてもすぐには治癒しません。長ければ半年〜1年通うこともあります。気長に根気よく治療することが大切です。

内服では、生薬の1種である「ヨクイニン」をウイルス性のいぼに使用できます。ヨクイニンは、ウイルスを攻撃する免疫細胞の働きを高めるとされ、自然治癒を待つよりは治癒率が高いです。

錠剤・粉薬のほかに煎じ薬のタイプもあります。煎じるタイプは、ヨクイニンを煮詰めて内服します。少し手間がかかるので、まずは錠剤や粉薬のタイプを試すのがよいでしょう。

 

イボコロリ内服錠

有効成分ヨクイニンエキスが、いぼや肌荒れに効果を発揮します。

セルフケアの注意点は?

うおの目・たこ・いぼは市販薬でもある程度対応が可能です。そのため、自己流の処置で漫然と過ごしてしまう方も少なくありません。
ただ、市販薬を使っても治らない場合や何度も繰り返してしまう場合、思っているのとは違う病気が隠れている可能性も。たとえば、足裏に腫瘍があることで圧迫刺激を受けやすく、たこが何度もできるという場合も考えられます。うおの目を取ろうと自己流の処置で傷をつけてしまい、感染症を起こすという報告もまれにあります。たかがうおの目、と考えずに、長引いている方は皮膚科を受診しましょう。

うおの目・たこ・いぼを作らないためには?

うおの目・たこは、以下のようなさまざまな原因で生じます。

・足の形の問題でできやすい
・靴が合っていない
・革靴などの固い靴で長時間歩く
・歩き方の問題
・加齢や病気で痩せて脂肪が減った

改善の難しい原因もありますが、一番簡単な対処法は靴を見直すことです。
専門店で足の形にあう靴を選ぶ、インソールを入れて足の裏への圧迫刺激を軽減するなどしてみましょう。
また、日頃から足の裏をよく観察し、保湿剤角質除去剤を使うなどセルフケアもおこなうと効果的。角質除去剤としては、尿素クリームやサリチル酸ワセリンがおすすめです。

いぼの原因となるウイルスは、指のささくれや皮膚の小さな傷跡から体に侵入します。ささくれや傷ができないよう、保湿ケアをすることが大切です。また、顔にできる平べったいタイプのいぼ(扁平性疣贅)は、ニキビと間違われやすいもの。扁平性疣贅もウイルス性なので、触っているとどんどん広がってしまいます。治りが悪いなと思ったら、できるだけ触らず、皮膚科で診てもらうことも考えましょう。

まとめ

今回は、うおの目・たこ・いぼの3種類の皮膚の病気について解説しました。
見た目には似ていますが、原因や対処法はそれぞれ異なります。市販薬でもある程度対処可能なので、使用方法をよく確認しながらセルフケアをおこなってください。予防のためには、足の形に合った靴を履くこと、足裏の保湿をすること、ささくれや傷ができないようケアすることが大切です。
市販薬でもなかなか治らず長引いている場合には、別の病気の可能性もあります。一度皮膚科を受診してみましょう。

 

<参考資料>
石也 尚興. 第81回日本皮膚科学会東京支部学術大会③ 教育講演2 難治性ウイルス性疣贅の治療. 2018
日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A
・長谷川泰子 他. 趾間部の鶏眼から骨髄炎を発症したと考えられた3例. 創傷 5 (1): 45-50, 2014.