頭皮のふけ、かゆみ

そもそもふけとは、古くなった頭皮が剥がれ落ちてできるものです。健康な方でもふけは毎日のように作られています。通常のふけは、目にみえないほどの大きさのため目立つことはありません。

しかし、何らかの原因によって頭皮のターンオーバーが乱れると、頭皮の角質が大きなかたまりとなって剥がれおちるため、目に見えるふけとして私たちを悩ませることになるのです。

ふけやかゆみは、頭皮のターンオーバーが乱れたり環境が変わったりすることで起こります。頭皮はもともと皮脂量が多いため、トラブルを起こしやすい部位です。意外かもしれませんが、頭皮の皮脂量はTゾーン（額から鼻筋）の2倍以上もあります。

皮脂量が多くなりすぎることで起こるのが「脂性ふけ」です。皮脂をエサにマラセチア菌という真菌が繁殖し、炎症をおこしてふけやかゆみが出てしまいます。

逆に、頭皮が乾燥しすぎることも「乾性ふけ」になる原因です。何度も洗髪したり、皮脂を取り除く力が強すぎるシャンプーを使ったりしていると、乾燥した頭皮がパラパラとむけて落ちてしまいます。

ふけや頭皮のかゆみは、市販薬でも治療が可能です。次のように、おもに3つの剤形があります。

マラセチア菌を殺菌できる抗真菌薬が配合されたシャンプーは、日頃のヘアケアでふけやかゆみを対策していきたい方に人気の商品です。頭皮が乾燥しすぎないように、洗浄力が強すぎない洗浄成分を使っているものが多いのもポイント。皮脂量が多い方も乾燥しやすい方も使いやすいアイテムだと言えます。

かゆみやふけが出やすいところにピンポイントに塗れる頭皮用の塗り薬は、症状が気になるときにさっと使えるので便利です。炎症を抑えるステロイドやグリチルレチン酸、痒みを抑えるクロタミトンなどが配合されたローションがよく見られます。

頭皮の環境を整えて、ふけやかゆみが出にくい状態を作るのに役立つのが頭皮用ローションです。育毛剤として販売されているものがほとんどですが、かゆみ止めの成分や頭皮を健康に保つ成分が種類豊富に配合されています。ふけやかゆみの予防に向いているタイプと言えるでしょう。

では、頭皮用ローションには具体的にどのような成分が配合されているのでしょうか。ここでは、発毛促進成分であるカルプロニウムやエストラジオールなど以外の成分について見ていきます。
発毛促進成分カルプロニウム、エストラジオールについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご参照ください。

生薬成分としては、チクセツニンジンチンキやカシュウチンキが代表的です。チクセツニンジンチンキは毛根を刺激することで健康な髪の毛の成長をサポートします。カシュウチンキは、脂質を取り除くことで頭皮のベタつきを抑える成分です。

抗ヒスタミン成分は、頭皮のかゆみを抑える効果があります。ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されていることが多いでしょう。

ビタミンB6やビタミンE、パントテニールエチルエーテルは、頭皮や髪の毛の健康を保つのに役立つ成分です。

ヒノキチオールは、殺菌作用がある成分として知られています。かゆみやふけの原因となる雑菌を殺菌することで、頭皮環境をよくする成分です。

抗真菌薬入りのヘアケア商品は、普段使っているシャンプーやリンスなどを専用のものに替えるだけでふけやかゆみのケアができます。

ふけやかゆみの原因としてよく知られるマラセチア菌に効くミコナゾール塩酸塩が主成分として配合された商品です。そのほか、シャンプーには頭皮のにおいを防ぐオクトピロックス、リンスには髪の毛をなめらかに保つコンディショニング成分が配合されています。

マラセチア菌を殺菌するミコナゾール硝酸塩、炎症を抑えるグリチルリチン酸ジカリウムが配合されたシャンプーです。頭皮の乾燥を防ぐために、脱脂力が強すぎないアミノ酸系の洗浄成分が使われています。

いますぐかゆみを抑えたい方は、頭皮用の塗り薬がおすすめです。気になるところにすぐ塗れるため、頭皮がかゆくなりやすい方は1つもっておくと便利でしょう。

炎症を抑えるステロイド成分とグリチルレチン酸、かゆみを抑えるクロタミトン、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールなどが配合された塗り薬です。清涼感があるため、すぐにかゆみを落ち着かせてくれます。

かゆみの元となる炎症を鎮めるステロイド成分、かゆみを抑えるジフェンヒドラミン塩酸塩、頭皮の修復を助けるアラントインなどが配合された塗り薬です。しみるのが苦手な方向けに、エタノールが配合されていない「ムヒHDm」も販売されています。

「健康な髪の毛が育ちやすい土台を作りたい」「ふけやかゆみの予防を日頃からしておきたい」という方には、頭皮用のローションがおすすめです。

発毛を促進するカルプロニウム塩化物水和物、かゆみを抑えるジフェンヒドラミン、生薬成分のチクセツニンジンチンキやヒノキチオールなどが配合されています。育毛剤として販売されていますが、発毛促進のほかにふけやかゆみにも効果的です。頭皮の乾燥によるフケにも使いやすいように設計されています。

こちらも育毛剤としてのイメージが強いかもしれませんが、頭皮のケアとしても利用できる商品です。発毛促進剤のカルプロニウム塩化物水和物のほか、チクセツニンジンやヒノキチオール、パントテニールエチルエーテルなどが配合されています。頭皮がベタつきやすい方に向いている使い心地です。

頭皮のふけやかゆみは、皮脂が多すぎたり乾燥しすぎたりすることが原因で起こります。頭皮環境の悪化にはマラセチア菌による影響が大きいと言われているので、かゆみやふけを治したい方は、ミコナゾールなど抗真菌薬が入った商品を使うとよいでしょう。

また、かゆみをすぐに止めたい方はかゆみ止めの塗り薬、スカルプケアを日常的に行ってかゆみやふけが出にくいように予防したい方は頭皮用のローションもおすすめです。