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更新日:2023/02/10
風邪の時に飲む栄養ドリンクのおすすめは?選び方のポイントを薬剤師が解説

風邪をひいたときは、よく「栄養を摂って安静にしておきましょう」と言われますが、栄養と言われても、ただでさえ食欲も出ず、自炊をする体力もない時だってありますよね。
そんな時にはコンビニやスーパーでも見かける「栄養ドリンク」はいかがでしょうか。

 

栄養ドリンクは風邪を引いた際の栄養補給に対し、医学的に有効性が認められています。
ただ、栄養ドリンクであればなんでもいいというわけではなく、風邪の時に飲むにあたって、いくつか選ぶ際の注意点もあります。

 

このコラムでは、風邪の時に効果のある栄養ドリンクについて、基本的な知識から代表的な有効成分、また、選び方のポイントを踏まえたおすすめの製品までお伝えさせていただきます。
「風邪の時に栄養ドリンクなんて今まで思いついたこともなかった」というあなたにも有益な情報をお伝えできると思いますよ。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

なぜ栄養ドリンクは風邪の時の栄養補給にいいの?

「風邪の時に栄養ドリンク?」と、あまりイメージが湧かない人も多いかもしれませんね。
もちろん、栄養ドリンクには、直接風邪を治すという効果があるわけではありません。
しかしながら「風邪によって弱った体に栄養を与え、風邪の治りを早める効果」が期待できます。
栄養ドリンクには、医薬品、医薬部外品(指定医薬部外品)に属する製品があり、配合されている有効成分に基づき「効能・効果」が定められているため、「病中病後の体力低下時」「発熱を伴う消耗性疾患時の栄養補給」などの効果が記載されています。
風邪をひいている時はただでさえエネルギーを消費するのに対して、食欲が出なくなることも多く、エネルギーを作り出す栄養が不足しがちです。
そこで「食欲がないときにも手軽に摂ることができ」「弱った時の栄養補給として医学的にも有効な成分を含む」栄養ドリンクが効果を発揮するのです。

特に風邪の時に摂ると良いとされる栄養素「ビタミンB群」や、風邪の治りをサポートする「体を温めたり回復を促したりする効果のある生薬」が配合されているものなどが効果を示します。

風邪の時の栄養補給に効果的な有効成分とは?

風邪の時に効果的な栄養ドリンクに含まれる有効成分には、風邪で弱った体に栄養を与えるものや、風邪の治りをサポートしてくれたりするものまで、さまざまな種類があります。
それら有効成分のうち、代表的なものについて解説します。

 

<ビタミンB群>
ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸アミド)、ビオチン、パントテン酸、葉酸の8種類をまとめて呼ぶ名称です。
これらの中でも、特に疲労に関して効果的であることから栄養ドリンクによく含まれている成分がB1、B2、B6です。
3つのビタミンの役割について簡単にご紹介しますね。

・ビタミンB1(チアミン)
「疲労回復ビタミン」とも呼ばれており、人間が活動するにあたって、メインとなるエネルギー源の「糖質(炭水化物)」の代謝をサポートする役割があります。

・ビタミンB2(リボフラビン)
「脂質」の代謝をサポートすることで、エネルギーを補給してくれます。
また、髪の毛や爪、また皮膚や粘膜の健康維持にも関わるビタミンのため、風邪によって口内炎ができた場合に対しても有効です。

・ビタミンB6(ピリドキシン)
「たんぱく質」の代謝に関わることで、筋肉や血液などを作るサポートを行います。
ビタミンB2と同じく、口内炎などに対して効果があります。

 

<生薬>
生薬は植物や動物の中で効果のある一部を加工したもので、漢方薬の原料にもなる成分です。
生薬は1つ1つが独立して効果を発揮するというよりは、いくつかの生薬を組み合わせることで、効果を高めるように設計されています。
風邪の時に効果的な栄養ドリンクに含まれている生薬は、体を温める効果のあるものや、滋養強壮効果により、体の回復をサポートするものなどが挙げられます。
代表的な生薬をご紹介させていただきますね。

・ニンジン(人参)
消耗した体力の回復をサポートし、食欲不振にも効果を示します。

・ショウキョウ(生姜)
体を温める効果があります。
また、食欲亢進や消化促進の作用もあるため、風邪の時の食欲減退に対しても効果を示します。

・カンゾウ(甘草)
抗炎症・鎮痛・去痰・鎮咳・抗アレルギー作用など、さまざまな効果があると言われている生薬です。

・ケイヒ(桂皮)
体の冷えを取り除き、血行を促進する効果があります。

・トウキ(当帰)
血の不足を補う生薬で、冷えの改善効果があります。

風邪の時の栄養ドリンクを選ぶポイント

生薬の種類や配合量に着目

滋養強壮に効果のある生薬は、製品により配合されている種類、また量が大きく異なります。
生薬は価格差が出やすい成分であり、貴重な生薬が入っているほど、また、配合量が多くなるほど、製品の価格が高価になる傾向があります。
生薬の種類や量が多ければ、必ずしも高い効果を得られるとは限りませんが、風邪の消耗状態に対して、より手厚いサポートを望む方は、生薬成分が多く含まれている製品がおすすめです。

風邪薬と一緒に飲む人は「カフェイン」に注意

カフェインは覚醒作用があり、疲労を感じにくく、集中力のUPも期待されることから、栄養ドリンクによく含まれている成分です。
しかし、カフェインは一般的な「風邪薬」や「解熱鎮痛薬」にもよく含まれているため、重複しないよう注意が必要です。
また、風邪の時にゆっくり寝て治したいと思っても、カフェインを摂取することでかえって寝つきが悪くなってしまう可能性もあるため、そういう場合にはノンカフェインの製品がおすすめです。

常用薬がある人、アルコールに過敏な人は「アルコール量」に注意

栄養ドリンクには微量ながら、添加物としてアルコールが含まれている製品が多いです。
ほとんどの製品は1本(30ml)あたり0.2ml以下程度であり、アルコール濃度にして0.6%以下と、そこまで気にせずとも問題ないですが、製品によっては1mlを超える量(2%以上)が含まれているものもあります。
持病により定期で服用している常用薬がある人は、薬の飲み合わせにも影響してくる可能性もあります。
そのため、定期薬でアルコールの摂取を注意されている人や、アルコールに対して過敏な人はアルコール量の少ない製品から選ぶと良いでしょう。

栄養ドリンクに含まれるアルコール成分について、詳しく知りたい方はこちらのコラムもご参照ください。

風邪の時の栄養補給におすすめの栄養ドリンク4選

パブロン滋養内服液プレミアム

有効成分:ショウキョウエキス 、ショウキョウ流エキス 、ケイヒ流エキス 、シャクヤクエキス 、タイソウエキス 、カンゾウエキス 、トウキ流エキスS 、チンピエキス 、ニンジンエキス-P 、シゴカ流エキス 、サンヤク流エキス-A 、タウリン 、ビタミンB2 、ビタミンB6、ニコチン酸アミド
カフェイン:×
アルコール:50ml中0.39ml以下(0.78%以下)
特徴:風邪薬で有名なパブロンブランドの、栄養ドリンクです。
パブロン滋養内容液シリーズの中でも最も配合生薬が多い製品で、人参、生姜をはじめ、10種類の生薬が配合されています。
それほど生薬量を必要としていない人であれば、パブロン滋養内服液アルファパブロン滋養内服液ゴールドAの2種類から選んでも問題ありませんよ。

ルル滋養内服液

有効成分:ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体)、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、トウキエキス、ニンジンエキス、ローヤルゼリー抽出液、ショウキョウエキス
カフェイン:×
アルコール:30ml中0.2ml以下(0.67%以下)
特徴:風邪薬を初め、トローチやうがい薬など、風邪に対して総合的にアプローチするルルブランドから出ている栄養ドリンクです。
ルル滋養内服液シリーズの中でも、含まれている生薬が最もシンプルで価格も抑えられた製品で、ビタミンB群を中心とし、数種類の生薬が風邪の回復をサポートする設計です。
ルル滋養内服液ゴールド、ルル滋養内服液ローヤルの順にニンジンの含有量や、配合生薬の種類も増えていきます。

チオビタゴールド

有効成分:ローヤルゼリー、ニンジン流エキス、インヨウカク流エキス、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド、無水カフェイン
カフェイン:◯
アルコール:30ml中0.2ml以下(0.67%以下)
特徴:ビタミンB群に加え、女王蜂の生命の源と言われるローヤルゼリーが入ることで、風邪で弱った体にエネルギーをしっかり補給してくれます。
カフェインが含まれることで、ゆっくり寝たい人には不向きですが、風邪でもどうしても仕事などを休めない人におすすめです。

ゼナジンジャー滋温液

有効成分:ショウキョウチンキ、ケイヒ流エキス、シャクヤクエキス、カンゾウエキス、タイソウエキス、ジオウエキス-A、トウキ流エキスS、オウギ流エキス-A、ニンジンエキス-P、ムイラプアマエキス-A、カシュウチンキ、ブクリョウエキス-A、ロクジョウチンキ、イカリ草エキス、タウリン、ビタミンB2、ビタミンB6
カフェイン:×
アルコール:50ml中1.38ml以下(2.76%以下)
特徴:リポビタンDなど、ドリンク剤に強みのある大正製薬が、長年の生薬研究を生かして開発したゼナシリーズです。
その中でも、風邪の時の栄養補給に特化した製品で、14種類にもわたる生薬が配合されています。
アルコール配合量が他の製品と比べると少し多めになっているため、アルコールを気にする方は要注意です。

まとめ

風邪の時の栄養補給に効果のある栄養ドリンクについて、基本的な知識から有効成分、選び方のポイントを踏まえたおすすめ製品まで、お伝えさせていただきました。
風邪の際は、手軽に摂れて、弱った体の滋養強壮に効果のある「栄養ドリンク」での栄養補給がおすすめです。
ただし、栄養ドリンクであればどれでもいいというわけではなく、飲むタイミングや風邪薬との併用を考慮した「カフェインの有無の確認」や、常用薬のある人や体質によっては「アルコールの量の確認」も必要となってきます。
また、体を温めたり、体の回復を促したりする効果のある生薬が含まれていると、風邪の治りをサポートしてくれますが、生薬の種類や量が多くなると、それだけ価格が高くなる傾向があります。
そのため、ご自身の消耗状態なども考慮して、製品を選ぶと良いですね。
この記事が、風邪の時の栄養補給でお困りのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。