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更新日:2022/03/12
乾燥肌(保湿剤)

「最近アルコール消毒などで手が乾燥してガサガサ」
「保湿剤を使いたいが、種類が多くどれを使ったらよいのかわからない」

 

最近では寒さによる乾燥だけでなく、アルコール消毒や頻繁に行う手洗いによって乾燥肌に悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?

 

この記事では乾燥肌の原因、保湿剤の成分、痒みの症状などがある場合の対処法を解説します。ぜひ最後まで読んで自分の肌の状態にあった保湿剤を見つけてください。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 中森 彩斗

乾燥肌とは?原因は?

乾燥肌とは、肌の脂が失われた結果、水分を保持する力が失われてしまい、角質層からの水分が蒸発しやすくなってしまった肌です。「白い粉を吹く」「粉ふき肌」とも乾燥肌は言われます。

「白い粉」とは、角質層の表面が乾燥して剥がれ落ちてしまったものです。乾燥状態が続くと、角質が剥がれやすくなってしまい、バリア機能の低下につながります。バリア機能が低下した肌は水分が蒸発しやすく、肌の乾燥がより悪化しやすいのです。

バリア機能が低下した肌は刺激に弱く「かゆみ」「ヒリヒリ」なども感じやすい状態です。

乾燥肌の原因はどのような物があるのでしょうか。

ここでは乾燥の原因を4つ紹介します。
● 頻繁のアルコール消毒や入浴、石けんなどの洗浄剤による肌表面の脂の減少
● 寒さ、乾燥した環境による肌水分量の低下
● 基礎疾患:アトピー性皮膚炎などによる肌バリアの低下
● 年齢によるターンオーバーの乱れ

この他にもストレスや生活リズムの乱れ、栄養の偏りなどの要因が密接に関わっています。長く症状が改善しない場合などは、一つの理由だけでないことも多いのです。

だからといって、自分で何もできない訳ではありません。乾燥肌の悪化を防ぐためには、症状が軽いときから保湿剤でのケアを心がけてください。

最初に使用するなら、保湿成分のみ配合するものがおすすめです。まずは、市販薬に含まれる代表的な保湿成分を解説します。

乾燥肌に効果がある市販薬(ヘパリン類似物質、ワセリン、尿素)、成分とは?

白い粉を吹いてしまった状態でも痒み症状がなければ、保湿剤をまず選んでみましょう

保湿剤を使用することで
● 角質層の水分量上昇
● 肌表面の保護
が期待できます。

乾燥肌が気になったときには、成分ごとの特徴がわかっていると保湿剤を選びやすくなります。また、保湿剤はある程度の期間、使用を続けることも大切です。それぞれの成分により長所、短所がありますので、自分が長く使用できるものを選んでくださいね。

まずは、成分と特徴、注意点を表にまとめました。

それぞれに対応した市販薬を紹介しながら解説します。薬局やドラッグストアなどで保湿剤を選ぶ際の参考にしてください。

保湿剤の成分と特徴
成分 特徴()と注意点(
ヘパリン類似物質 吸湿作用があり、角質層の水分量増加
保湿作用の持続
肌の赤みがでる可能性あり
価格は高め
ワセリン 塗った場所に皮膜をつくり、皮膚を保護
皮膜により、皮膚からの水分の蒸発を防ぐ
価格は安い
肌に対して水分を与える作用はない
べたつき、テカリが強い
尿素 吸湿作用による、角質層の水分量増加
皮膚を柔らかくする作用がある
塗った後に刺激を感じる場合がある
ヘパリン類似物質:幅広い乾燥肌に使用できる頼れる保湿成分
代表的な市販薬:HPクリーム、ヒルマイルドクリーム

ヘパリン類似物質は「ヒルドイド」という医薬品があり、保湿剤の中では医薬品名が有名ではないでしょうか。保湿作用は他の成分とくらべても高く、血行促進作用や抗炎症作用も期待できる成分です。

保湿剤としてオススメ出来る成分ですが、注意点もあります。塗布部位の血行を促すため、皮膚が赤みを帯びてしまうのです。また、他の保湿成分より高価なのが短所です。
ヘパリン類似物質(ヒルドイド)について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご参照ください。

ワセリン:長期で使用しやすい保湿成分!乾燥肌の予防に
代表的な市販薬:プロペト ピュアベール、白色ワセリンソフト

ワセリンは古くからある保湿成分です。皮膚を保護する作用がつよく、また安価のため長期的に使用するには価格面でも選びやすい成分です。ワセリンは、肌表面に油膜を作ることにより、肌表面からの水分の蒸発を防いでくれます。また、肌表面を刺激物質などから守ってくれる保護作用も期待できるのです。
ただし、肌に水分を補う作用がないので注意してくださいね。

尿素:堅くカサカサしてしまった乾燥肌に
代表的な市販薬:ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム、ケラチナミンコーワクリームJ

尿素は天然保湿成分としてだけでなく、皮膚軟化作用が特徴です。とくに、肘やかかとなどの角質層が厚く堅くなってしまった肌に対しては最適な成分です。保湿成分だけでなく皮膚軟化作用を目的に使用するのであれば、濃度が20%のものを選ぶとよいでしょう。
角質層が薄くなってしまった肌への使用は、刺激を感じる場合があります。保湿目的であれば10%のものを選んでくださいね。

保湿剤に入っているその他の成分

保湿成分では肌の状態は改善できても、つらい痒みの症状は改善できないときもあります。痒みをともなう症状には、痒みを抑える成分の入った塗り薬を使用してみましょう

代表的な痒みを抑える成分は3つです。
● ジフェンヒドラミン
● クロタミトン
● リドカイン

詳しく解説していきます。

抗ヒスタミン成分:ジフェンヒドラミン
アレルギー反応による痒みを抑えてくれる成分が抗ヒスタミン成分です。

鎮痒成分:クロタミトン
皮膚に刺激を与えることで、痒みを抑える成分です。刺激を与えるため、かきむしったような皮膚に使用した場合、熱感を生じることがあり、注意が必要です。

局所麻酔成分:リドカイン
さまざまな皮膚の状態で起こる痒みを、局所麻酔成分により感じにくくします。局所麻酔成分では、まれに皮膚炎を起こす可能性があります。使用してから「痒みは一時的に治ったけど、すぐに悪化してしまった」などがあれば使用をすぐに中止してくださいね。

痒みを抑える成分の紹介でした。

最後に注意点として、痒みを抑える成分が含まれた保湿剤は長期的に使用せず、短期使用を意識してください。乾燥肌と思っていたけれど、実は他の病気が隠れているかもしれません。自己判断で薬を継続しないで、皮膚科へ受診して相談してくださいね。

まとめ

乾燥肌の原因、市販薬の保湿成分、痒みを抑える成分を解説しました。

乾燥肌は放置してしまうと、痒みなどの症状が慢性化する可能性もあります。症状が軽いうちにしっかりと対処することで、悪化を防げます。今回の記事を参考に、自分に合った保湿剤を選び使用してみましょう。

長引く痒み、薬をやめるとすぐにぶり返すなどの場合は、薬局やドラッグストアの薬剤師、または皮膚科の医師に相談するようにしてくださいね。

 

<参考資料>
メルクマニュアル 家庭版 皮膚の乾燥(乾皮症)
メルクマニュアル プロフェッショナル版 乾皮症(乾燥症)
マルホ 医療関係者向けサイト 保湿剤とは
HPクリーム
ベビーワセリン
白色ワセリン
ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム
花王 アトリックス 尿素10%クリーム チューブ 60G (指定医薬部外品)