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お薬コラム
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更新日:2022/08/13

残尿感

「お手洗いに行ってもスッキリしない」

「少ししか出ないのに、すぐにまたトイレに行きたくなる」

 

このような残尿感の症状にお悩みではありませんか?残尿感があると、夜に何度も起きてしまったり寝付けなかったりしますよね。

 

学校や仕事先で何度もお手洗いに行ってしまうこともあるかもしれません。今回は残尿感が出る原因や市販薬での対処法などについて解説します。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

残尿感とは?

残尿感の代表的な症状は次のとおりです。

• 尿が出きっていない感じがする
• 尿がまだ残っている感じがする
• 下腹部がすっきりしない
• 寝る前に何度もトイレに行く
• 夜中に何度もトイレで目が覚める

尿が残っている感じが気になるため、何度もトイレに行って眠りの質が悪くなることに悩んでいる方も多いでしょう。残尿感がある場合、実際に膀胱に尿が残っていることもあれば、ほとんど尿がたまっていないこともあります。

残尿感が出る疾患

残尿感が出る疾患には、いろいろなものがあります。ここでは代表的な疾患について見ていきましょう。

膀胱炎

とくに、女性で残尿感が現れる原因となりやすいのが膀胱炎です。膀胱炎は、大腸菌などの細菌が膀胱に侵入して繁殖することで起こります。女性のほうが男性よりも尿道が短い関係で細菌が侵入しやすいため、膀胱炎を発症しやすいのです。
出血性膀胱炎や放射性膀胱炎、間質性膀胱炎など細菌の侵入に関係なく起こる膀胱炎もあります。

心因性頻尿

心因性頻尿とは、心理的な緊張や不安が原因で起こる頻尿のことです。常にトイレのことが頭にあり、学校や仕事、旅行中などトイレに行きづらい場面で尿意を感じやすくなります。何度トイレに行ってもすぐにまた行きたくなるのが特徴です。

過活動膀胱

膀胱の働きが過敏になっていることを過活動膀胱といいます。残尿感のほか、急に我慢しきれないほどの尿を感じたり、尿意で夜に何度も目が覚めてしまったりなどの症状が代表的です。
膀胱が過度に収縮することでも起こりますが、パーキンソン病や脳血管障害なども原因となることがあります。

前立腺炎・前立腺肥大症

前立腺炎は前立腺が炎症を起こしているもの、前立腺肥大症は前立腺が通常よりも大きくなってしまうことです。前立腺炎は細菌の感染など、前立腺肥大症は主に加齢によって起こります。

残尿感に効果がある市販薬は?

残尿感に効果がある市販薬は、次の2種類です。

• 漢方薬
• フラボキサート

漢方薬は男女関係なく使えるものが多いですが、フラボキサート女性にしか使えません。残尿感の原因によっては市販薬での対処が難しいケースもあります。

市販薬を使って1週間程度経っても改善が見られない場合や、感染症が原因の場合は医療機関を受診するようにしましょう。泌尿器科や内科、婦人科などで治療をしてもらえます。

おすすめの市販薬(漢方製剤)と特徴

では、具体的にどのような市販薬があるのか、まずは漢方薬について見ていきましょう。

猪苓湯(ちょれいとう)

猪苓湯は、尿量を増やすことで膀胱に溜まった雑菌などを洗い流す漢方薬です。漢方では、残尿感が起こるのは体に余分な水分が溜まっているためだと考えられています。この水分を取り除くのが猪苓湯の役割です。
漢方薬は体力があるかないかによって使用に適しているかが変わるものが多いですが、猪苓湯は体力にかかわらず使用できます。

五淋散(ごりんさん)

小林製薬から販売されている「ボーコレン」の主成分です。五淋散には、炎症を抑えたり膀胱に溜まっている菌を洗い流したりする働きがあります。細菌感染が原因の膀胱炎に効果を発揮しやすい漢方薬です。体力が中等度の方に適しています。

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)

小林製薬から販売されている「ユリナール」の主成分としても使われている漢方薬です。トイレのことが気になると尿意を感じやすい方、緊張したり外出したりするとすぐトイレに行きたくなってしまう方に向いています。
膀胱の機能を改善し、尿を溜めておく働きを高めることが特徴です。体力が中等度以下で胃腸が弱く、ストレスを感じやすい方に向いています。

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

竜胆瀉肝湯は、体に溜まっている熱や水を取り除くことで残尿感を改善する漢方薬です。炎症が原因で起こる残尿感に使用されます。体力が中等度以上ある方向けで、残尿感のほかに排尿痛や頻尿、尿の濁りなどにも効果的です。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸は、大鵬薬品工業から販売されている「ハルンケア」の主成分としても使用されています。加齢に伴って衰えやすい副腎や膀胱、生殖器などの機能を改善することで残尿感を改善する漢方薬です。体力が中等度以下で疲れやすい方に向いています。

六味丸(ろくみがん)[六味地黄丸]

六味丸は、六味地黄丸とも呼ばれることがあり、残尿感や排尿困難などによく用いられている漢方薬です。若い方よりは高齢の方に使われることが多く、衰えた機能を改善させることで残尿感を改善します。
胃腸が弱い方や体が冷えやすい方には向いていません。体力が低下しており、のぼせやすく暑がりな方に向いています。

フラボキサート製剤について

フラボキサートは、医療機関で処方されることもある成分です。膀胱の筋肉をゆるめることで尿を多く蓄えられるようにし、残尿感を改善します。

医療用のものは男女関係なく使用できますが、市販され言えるフラボキサート製剤は女性専用です。「レディガードコーワ」という商品名で販売されています。

15歳以上から服用可能です。即効性は残念ながらありませんが、1週間ほど続けて服用することで残尿感の改善が見られるでしょう。

まとめ

残尿感は膀胱炎や過活動膀胱、前立腺肥大症などが原因で起こります。市販薬では漢方薬やフラボキサート製剤での治療が可能です。ただし、細菌感染が起きている場合は、菌を洗い流す働きがある漢方薬を使っても効果が十分に表れない可能性があります。

市販薬を使用して1週間以上経っても改善が見られない場合は、医療機関での適切な治療が必要です。残尿感が出る原因は多岐にわたります。自分で原因を突き止めることは難しいため、市販薬はあくまで「病院に行くまでのつなぎ」として使用し、早めに受診して原因をしっかり検査してもらいましょう。