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お薬コラム
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更新日:2022/07/08
高コレステロール改善薬

「コレステロールが高いと言われて気になっている」

「市販でもコレステロールを下げる薬はあるの?」

 

このような悩みを抱えている方に向けて、この記事では高コレステロールを改善する市販薬について紹介します。コレステロールが高くなる原因や自宅でもできる改善策なども解説しているので参考にご覧ください。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

高コレステロールとは?

高コレステロールとは、血液中のコレステロールの値が高くなっている状態です。悪玉と呼ばれているLDLコレステロールや、トリグリセライドが基準値よりも高い状態を指します。

以前は高コレステロール血症や高脂血症と呼ばれていましたが、HDLコレステロールの”低下”も正常な状態とは言えないため、現在は脂質異常症と呼ばれることが一般的です。

しかし市販薬の場合は、「血清高コレステロールの改善」のみに効能効果をもつ薬しかありません。HDLコレステロールの低下に効果があると謳っている商品はないので注意しましょう。

コレステロールの値が高い状態が続くと、血行が悪くなるため手足の冷えやしびれを感じることがあります。このような症状がある場合は、医療機関でコレステロールの値を調べてもらうと安心です。

高コレステロールの原因と対策

バランスのよい食事を心がけていたつもりなのに、コレステロールが高めですと言われてショックを受けた方もいるのではないでしょうか。実は、コレステロールが高くなる原因は食事バランスだけではありません。

高コレステロールの原因

コレステロールが高くなる原因としては、次のものが知られています。

• 遺伝
• 脂質の摂りすぎ
• 運動不足
• ストレス

遺伝でコレステロールが高くなりやすい場合も少なくありません。悪玉であるLDLコレステロールの代謝に生まれつき異常がある家族性高コレステロール血症というものがあるほどです。

もちろん、生活習慣による影響も大きいことで知られています。豚バラや挽肉などの脂身、バターやラードなどに多く含まれる飽和脂肪酸の摂りすぎは、LDLコレステロールを上昇させる原因です。運動不足やストレスもコレステロールが上がる原因となります。

ストレスを受けたときに分泌されるホルモンには、コレステロールを増やす働きがあります。運動はストレス発散にもなるため、コレステロールが気になる方は積極的に体を動かしたいものです。

高コレステロールに効果的な市販薬とは?

市販では、「血清高コレステロール改善薬」というものが販売されています。名前のとおり、コレステロールの値を改善するものです。ただし、「コレステロールの値が高いので、また受診してください」と、再受診を医師から促されている場合は市販薬を使わずきちんと受診するようにしましょう。

市販の血清高コレステロール改善薬は、あくまでも病院の薬を使うほどではない軽度の方向けの商品です。すでにコレステロールの薬を飲んでいる方も病院での治療を優先するようにしてください。

高コレステロールに効果的な市販薬の有効成分とは?

コレステロールを下げるのに効果的な市販薬の成分には、おもに次の3つがあります。

ソイステロール(大豆油)

ソイステロールは、大豆油から脂肪酸を取り除いて作られた成分です。腸管からコレステロールが吸収されるのを防ぎ、コレステロールの体外への排泄を促します。以前は医療用としても使用されていました。現在は市販薬のみに使用されています。

ポリエンホスファチジルコリン

ポリエンホスファチジルコリンは、大豆から抽出して作られた成分です。善玉と呼ばれるHDLコレステロールを増やしたり、悪玉コレステロールの排泄を促したりする働きがあります。医療用のEPLカプセルに含まれている成分と同じです。

ビタミン成分

パンテチンやトコフェロール、リボフラビンなども高コレステロールへ効果があります。パンテチンは、脂質代謝を改善してコレステロールを減らす成分、トコフェロールは過酸化脂質の増加を抑える成分、リボフラビンはコレステロールの合成を抑えて排泄を促す成分です。

高コレステロール改善薬の製品紹介

では、具体的にどのような市販薬があるのか、ここでは代表的な3つの商品を紹介します。

 

シンプトップ

シンプトップは、ポリエンホスファチジルコリンが主成分として配合された市販薬です。ポリエンホスファチジルコリンは悪玉コレステロールの排泄を促し、さらに善玉コレステロールを増やすことでコレステロールの値を正常に近付けます。
医療用医薬品EPLカプセルと同成分で、製造販売元も医療用と同じアルフレッサファーマから販売されているものです。

スラートンIII

スラートンIIIは、脂質代謝を改善するパンテチン、コレステロールの吸収を抑えるソイステロール、過酸化脂質の増加を抑えるビタミンE(トコフェロール)が配合された市販薬です。コレステロールの上昇を抑え、高コレステロールで現れやすい手足の冷えやしびれを緩和します。

ローカスタEX

ローカスタEXは、脂質代謝を改善するパンテチンや、コレステロールの吸収を抑えるソイステロール、そのほかビタミンEやビタミンB6、ルチンなどが配合された市販薬です。ビタミンB6は血管を正常に保ち、ルチンは血管を丈夫にします。

高コレステロール改善薬を服用するときの注意点

高コレステロールを改善するためには、薬の服用よりも生活習慣の改善が重要です。薬を飲んでいるからといって安心せず、生活習慣の見直しも行うようにしましょう。

バターやラードなどの飽和脂肪酸を摂りすぎないようにするほか、運動を行う習慣を付けることが大切です。ウォーキングや水泳、ジョギングや自転車などの有酸素運動を1日30分以上、週に3日行うことを目標にしてみましょう。運動を行うことで悪玉コレステロールの分解を促し、善玉コレステロールを増やすことができます。

まとめ

市販でも高コレステロールの治療薬が扱われています。コレステロールが高いことが気になっている方は、市販薬を使うのもよいでしょう。ただし、病院ですでに治療を行っている方や、これから治療が必要になる方は服用を避けてください。市販薬はあくまでも「医療機関での治療は不要だけども、コレステロールが気になる」という方向けの商品です。

また、コレステロールを下げるためには、生活習慣の見直しも必要になります。飽和脂肪酸の摂取量を減らし、1日30分の運動を週に3回行うことを目標に生活習慣の改善も行っていきましょう。

 

<参考資料>
遺伝性の脂質異常症「家族性高コレステロール血症」 若いうちからLDL-Cが上昇 | ニュース | 保健指導リソースガイド
脂質異常症を改善するための運動 | e-ヘルスネット(厚生労働省)