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お薬コラム
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更新日:2022/06/14
不眠

不眠症は国民病とも呼ばれており、日本人のとも言われていることからも、不眠症は決して珍しい病気ではないのです。

 

睡眠について悩んでいる場合、まずは医療機関にかかることが望ましいとされますが、なかなか足を運べないため市販薬で対処したいと考えている方もいるでしょう。

 

そこで今回は、市販で購入できる睡眠薬の種類について紹介します。不眠症の種類や原因についても解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

 

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

不眠症とは?不眠の種類は?

「不眠症」とひとくちで言うことが多いかもしれませんが、実は人によって不眠症で現れる症状はさまざまです。

不眠症とは

不眠症とは、睡眠に関する問題が1か月以上続く状態のことを指します。ただ眠れないだけでなく、睡眠不足により日中に倦怠感を感じたり集中力が低下したりなどの症状も出やすいことが特徴です。

睡眠不足は糖尿病や高血圧、脂質異常症など生活習慣病の発症にも関わっていることがわかっています。生活習慣病は日本人の死因とも大きく関わっているため、不眠症の改善は健康を守るためにも大切なことなのです。

不眠症の種類

不眠症には、大きくわけて次の4つの種類があります。

1. 入眠障害
2. 中途覚醒
3. 熟眠障害
4. 早朝覚醒

入眠障害とは、寝付きが悪くベッドに入った後も30分から1時間以上眠れないことです。中途覚醒とは、深く眠ることができずに途中で何度も目が覚めてしまうこと熟眠障害とは睡眠時間は取れているのに起きた後も寝た感じがしないことをいいます。

早朝覚醒とは、本来起きる予定の時間よりも早く目覚めてしまい、寝ようと思ってもそのまま眠れなくなることです。

人によっては複数の症状に悩まされていることもあります。ちなみに、不眠症を語るうえで睡眠時間は関係ありません。人によって必要とされる睡眠時間は違うため、時間の長さではなく「しっかり寝た感じ」を得られるかどうかが大切です。

不眠の原因とは?

不眠症になる原因には、さまざまな要因が絡み合っています。なぜ不眠症になっているのか、まずは理由を知ることで、適切な対処ができるようになるでしょう。

生活習慣

寝る前にスマートフォンを見たり、お酒を飲んだりしていませんか?夜に浴びる強い光は、体内時計を遅らせる原因です。お酒は寝付きをよくする印象があるかもしれませんが、眠りを浅くしてしまう効果があります。夜になったら部屋を暗くし、深酒はしないように気をつけましょう。

また、日によって寝る時間や起きる時間がバラバラになることも不眠につながります。生活習慣が原因で不眠症になっている場合は、まずは規則正しい生活を心がけることが大切です。

心理的な影響

ストレスは、神経を高ぶらせた状態にするため不眠症になりやすくなります。慣れない仕事や育児などの影響によって知らず知らずのうちにストレスを抱えていることが少なくありません。不眠の症状が気になってきたら、ストレスが溜まっていないかチェックしてみてください。

生活習慣病やうつ病などの疾患

なんらかの病気が引き金で不眠症になることもあります。不眠症を引き起こす可能性がある疾患としては、次のものが代表的です。

• 高血圧
• 心臓病
• 呼吸器疾患
• 腎臓病
• 前立腺肥大症
• 糖尿病
• 関節リウマチ
• うつ病

これらの疾患が疑われる場合は、不眠症そのものではなく原因となる疾患の治療を優先しましょう。

また、睡眠に関する悩みが出た場合に、自己判断で「不眠症だ」と決めつけてしまうのもよくありません。不眠症ではなくうつ病がそもそもの原因だったということも意外と多くあります。睡眠の悩みが出てきたら、早めに医療機関を受診することで早期治療が可能です。

市販で購入可能な睡眠薬とは?

市販では、医療機関で処方されるような睡眠薬(睡眠導入剤)の扱いはありません。あるのは睡眠改善薬と呼ばれるもののみです。
睡眠薬は慢性的な不眠症状に使用できますが、睡眠改善薬一時的な症状にしか使用できません。

たとえば、夜勤で生活スタイルが乱れたり精神疾患や生活習慣病などの疾患がないのに眠りが浅くなったりした場合などです。つまり不眠症と診断されている場合は、市販の睡眠改善薬の使用は向かないということになります。

睡眠改善薬(市販) 睡眠薬(医療機関)
購入できる場所 薬局やドラッグストア 医療機関(処方箋が必要)
対象  時的な不眠症状  不眠症

睡眠改善薬の成分とは?

市販の睡眠改善薬は、抗ヒスタミン薬と呼ばれるものです。睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる仲間の薬が使われているため、処方される薬とはまったく違う成分が使われていることがわかります。

ところで、みなさんは風邪薬や鼻炎薬を服用して眠くなった経験がありませんか?睡眠改善薬は、この副作用として出てくる眠気を活用して一時的な不眠症状を緩和するものです。抗ヒスタミン薬のうち、ジフェンヒドラミン塩酸塩が使用されています。緑内障や前立腺肥大症の症状を悪化させる恐れがあるため、該当の方は服用できません。

市販の睡眠改善薬

市販の睡眠改善薬には多くの種類がありますが、実はどれを選んでも主成分の種類も配合量も同じです。そのため、基本的には好きなメーカーのものや購入しやすいものを手にしていただいて構いません。

ただし、剤形や1回の服用個数などに細かな違いはあります。ここでは代表的なものを紹介するので、使いやすいものを見つけてみてください。

 

ネオデイ

比較的安く購入できる睡眠改善薬です。1回2錠を就寝前に服用してください。小粒なので錠剤を飲み込むのが苦手な方でも服用しやすいでしょう。

ドリエルEX

睡眠改善薬として知名度の高いドリエルに、ラベンダーのアロマが配合されたカプセルタイプの薬です。1回1カプセルを就寝前に服用してください。価格はやや高めですが、アロマが配合された睡眠改善薬はドリエルEXのみです。

アンミナイト

液体タイプの睡眠改善薬として販売されています。ノンシュガーで1本わずか2kcalしかないため、お休み前でも安心して服用できるでしょう。

不眠に有効な漢方薬も

睡眠改善薬のほかに、漢方薬も使用されます。市販で抑肝散(よくかんさん)柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が選択肢となりやすいでしょう。

どちらも神経を落ち着かせることで不眠の症状を改善するものです。しかし、不眠症状に対する漢方薬の効果はあまり高くはありません。補助的なものとして使用するのが無難です。

まとめ

日本人の多くの方が抱えている不眠症。市販の睡眠改善薬は、一時的な不眠症状に効果を発揮します。不眠により日常生活に影響が出ている方、不眠が3か月以上続いている方は慢性的な不眠と考えられるので、市販薬を使わず早めに医療機関を受診してください。

不眠の症状はベッドでスマートフォンを触らない、寝る前にお酒を飲まない、決まった時間に就寝・起床するなど生活習慣でも改善できます。症状が気になる方は、まずは生活習慣を改善してみてはいかがでしょうか。

 

<参考資料>
e-ヘルスネット