

冷却シートはおでこNG?効果を引き出す“正しい貼り方”と注意点を薬剤師が解説
発熱時、ついおでこに貼ってしまいがちな冷却シート。
でも実は、冷却効果を引き出すには“貼る場所”がとても大切なんです。
この記事では、現役薬剤師の視点から、冷却シートの正しい使い方、やってはいけない使い方、そして子どもや赤ちゃんに使う際の重大な注意点までしっかりご紹介します。
冷却シートは正しく使えば、日常生活でも大活躍!今すぐチェックを。


第1章:効果を高める冷却シートの貼る場所とは
冷却シートといえば「熱が出たらおでこに貼る」というイメージが根強いですよね。
でも実は、それ、“なんとなくの習慣”にすぎないんです。
冷却シートの本当の効果を引き出したいなら、まずは「どこに貼るか」がとても重要になります。
ここでは、医学的に効果が期待できる貼る場所を解説していきます。
おでこに貼る=気持ちいい、だけ?
冷却シートは、あくまで「貼った部位を局所的に冷やす」ことを目的としたアイテムです。
その仕組みはとてもシンプルで、水分を含んだジェルが“気化熱”を発生させることで、皮膚表面の温度を一時的に下げてくれます。
貼った瞬間にひんやりする感覚は、その気化熱によるものなんですね。
ただし、冷却シートには解熱剤のような体温を直接下げる作用はありません。
つまり、おでこに貼ったからといって、身体の深部体温が下がるわけではないんです。
本当に冷やすべきは「動脈が通る場所」
では、どこに貼れば効果的なのか。
答えは、太い動脈が皮膚の近くを通っている部位です。
血流が多い部分を冷やすことで、血液を通して体全体の熱を下げるサポートが期待できます。
代表的なポイントは以下の3か所です。
・首(頚動脈)
首の側面には頚動脈があり、ここを冷やすと冷たい血液が全身を巡りやすくなります。
・脇の下(腋窩動脈)
ここも血流が豊富な場所で、体温を効率よく下げたいときに有効です。
・脚の付け根(鼠径動脈)
太ももの内側にあるこの部位も、大きな動脈が走っており、冷却効果が高まります。
氷枕や保冷剤との併用もおすすめ
冷却シートだけでは、持続的な解熱や広範囲の体温調整には限界があります。
しっかりとした冷却を目的とする場合には、氷枕や保冷剤との併用が理想的です。
ただし、冷却しすぎると寒気や悪寒の原因になることもあるので、状態に応じて調整してください。
冷却シートは「手軽で安全に使える冷却補助アイテム」としてとらえるのがちょうどいいでしょう。
【まとめ表】冷却シートの効果的な貼付部位
冷却シートは、貼る場所次第で「ただの気休め」から「実用的な熱対策アイテム」へと化けます。
なんとなくおでこに貼っていた方は、次回からはぜひ“動脈”を意識して使ってみてください。
体温調節のコツを知っているだけで、冷却グッズの活用レベルがグッと上がりますよ。
次章では、「子どもや高齢者に使う際の注意点」について詳しく解説していきます。


第2章:子ども・高齢者に使うときの注意点一覧
冷却シートは市販品のなかでも「手軽で安全そう」なイメージがありますよね。
でも、使う相手が赤ちゃんや高齢者となると、ちょっと話が変わってきます。
実は、安全に見える冷却シートでも重大な事故やトラブルの原因になることがあるんです。
この章では、医療・消費者機関の情報に基づき、年齢に応じたリスクと正しい使い方をお伝えします。
乳児への使用は要注意|窒息リスクの実例も
まず強くお伝えしたいのが、「0歳児には安易に使わないでほしい」という点です。
冷却シートがずり落ちて口や鼻をふさいでしまい、窒息事故に発展したケースが実際に報告されています。
独立行政法人・国民生活センターが公表した2004年度の事例では、生後4か月の赤ちゃんに冷却ジェルシートを使用中、シートが顔にずれ落ちて口と鼻をふさぎ、救急搬送される事故が起きました。
命は助かったものの、脳に後遺症が残る重い事故だったとされています。
この事故から学べるのは、「乳児は自力でシートを外せない」「寝かせたまま目を離してはいけない」という大前提です。
どうしても使用する場合は、顔まわりを避け、脇の下や太ももの内側に貼るなどの工夫が必要です。
子ども用は「誤食・誤使用」対策が意識されている
市販されている冷却シートには「赤ちゃん用」「子ども用」と表記された製品があります。
これらは誤飲や誤使用のリスクを軽減するため、サイズや成分に配慮された設計になっていることが多いのが特徴です。
例として:
・サイズが小さく、顔全体を覆わない設計
・肌への刺激を抑えるために無香料・無着色で作られている製品が多い
・(一部製品では)誤食対策として苦味成分を配合している場合もある
購入時は「対象年齢」を必ず確認し、年齢や体格に合った製品を選ぶようにしましょう。
また、大人用を切って使うのはサイズが合わず、誤飲リスクも増すためおすすめできません。
高齢者は「肌トラブル」に注意して
高齢者への使用で多いのが、皮膚トラブルによる不快感や炎症です。
年齢とともに皮膚のバリア機能が低下しているため、粘着部分が赤くなったり、かぶれたりすることがあります。
とくに、長時間同じ場所に貼っていると肌がふやけ、むけたり、刺激を受けやすくなるため注意が必要です。
高齢の方に使用する場合は以下を意識しましょう。
・皮膚に異常がないか、貼る前に確認
・4〜6時間程度で一度はがし、肌を乾かす
・「敏感肌用」や「低刺激タイプ」を選ぶ
また、体調変化に気づきにくい方も多いため、使用中も定期的に様子を見てあげることが大切です。
冷却シートは便利なアイテムですが、対象が小さな子や高齢者ならではの“使い方のリスク”があるのも事実です。
「貼る前に注意すべきこと」と「使った後の肌チェック」まで含めて、安全に使う意識を持ちましょう。
次章では、冷却シートの応用術やタイプ別の選び方についてお伝えします。


第3章:冷却シートの選び方と毎日に使える応用術
「冷却シートって、結局どれを買えばいいの?」
「熱以外にも使えるって聞くけど、本当に効果あるの?」
そんな読者の疑問に、薬剤師がしっかりお応えします。
冷却シートは“貼るだけの熱対策グッズ”にとどまらず、選び方ひとつで使い心地も活躍の場もガラッと変わるアイテムです。
まずは、目的に合った製品の選び方と、おすすめの4製品をご紹介します。
冷却シート選びの4つのポイント
市販されている冷却シートは種類が多く、成分やサイズ、使うシーンもさまざまです。
購入前に、以下のポイントだけ押さえておけば失敗しません。
✔ 持続時間
一般的には6〜8時間タイプが多く、夜間の使用や長時間の冷却を目的とする方には8時間タイプが安心。
✔ 肌への刺激
メントールの清涼感が苦手な方、敏感肌の方、子どもにはメントール無配合・低刺激タイプが適しています。
✔ 香料・着色料の有無
リラックスを狙った香りつきタイプもありますが、寝る前や肌が弱い方には無香料が無難。
✔ 対象年齢・使用場所
赤ちゃんには専用設計の製品を。
体の部位に貼るなら「広範囲対応型」など、形状にも注目です。
タイプ別おすすめ冷却シート【厳選4製品】
❶ 熱さまシート 大人用
特徴:おでこに貼るタイプの定番。メントールのひんやり感が心地よく、貼ってすぐに冷感が得られます。
持続時間:8時間
おすすめの人:発熱時に“気持ちよく冷やしたい”人/リフレッシュしたいとき
注目ポイント:香料の有無を選べる/しっかりフィットする粘着力
知名度と信頼性で迷ったらこれ。「とりあえず1つ」には最適です。
❷ からだに貼る熱さまシート
特徴:首・脇・脚の付け根など、動脈を冷やしたい部位に貼りやすいワイドサイズのシート。
持続時間:8時間
おすすめの人:熱中症対策/寝苦しさ対策/頭以外を冷やしたい人
注目ポイント:貼っても目立ちにくい色合い/お風呂上がりのクールダウンにも
「顔以外の部位に貼りたい」「広い面積をカバーしたい」人にぴったりです。
❸ 熱さまシート 赤ちゃん用(0~2才向け)
特徴:新生児(生後0か月)から使える安心設計。低刺激・無香料・無着色・アルコールフリー。
持続時間:4時間
おすすめの人:0〜2歳児の発熱時/赤ちゃんの体調管理をしたい親御さん
注目ポイント:サイズが小さく、顔まわりにもぴったり貼れる/ズレにくい粘着設計
貼る場所には注意が必要ですが、信頼できる乳児専用設計として安心して使える1枚です。
❹ by Amazon 冷却シート(90枚入)
特徴:18枚入×5パックの大容量。とにかくコスパが抜群。
持続時間:10時間
おすすめの人:日常的にたくさん使いたい方/複数人でシェアしたいご家庭
注目ポイント:シンプル設計/価格重視のユーザーに◎
価格重視の方にはありがたい選択肢。
ただし、敏感肌の方にはやや刺激を感じることもあるので注意が必要です。
冷却シートは冷凍庫で冷やしてもOK?
基本的にはNGです。
一般的な冷却シートは「ジェルが気化することで熱を奪う」仕組みになっており、冷凍すると冷却効果が損なわれるうえ、凍傷や低温やけどのリスクがあります。
例外:冷凍庫用 熱さまシート ストロング
この製品は冷凍庫での保管・使用を前提として設計されています。
凍らせても硬くなりすぎず、冷感が約2倍(※メーカー比)という“冷たさ重視派”にうれしい仕様です。
冷たさを強化したい方は、専用設計の製品を選ぶのが安全で快適です。
冷却シートの意外な活用術【応用3選】
◆ 勉強・仕事中の“集中ブースター”に
蒸し暑くて作業に集中できないとき、首の後ろや額に冷却シートを貼るだけでリフレッシュ効果が得られます。
熱さまシート(大人用)はスーッとした冷感が強く、仕事中に“気分を切り替えたいとき”にも効果的。
◆ 歯の痛みの応急処置にも
炎症で痛みがあるときは、頬の外側に冷却シートを貼ることで血流をおさえて一時的に痛みをやわらげることがあります。
もちろん根本的な治療には歯科受診が必要ですが、応急処置として知っておくと便利です。
◆ 寝苦しい夜のクールダウン
夏の夜に「エアコンは苦手…」という方にも冷却シートはおすすめ。
首・脇・太ももの付け根など、動脈が通る部位に貼ると身体全体の熱感が下がり、眠りやすくなることがあります。
冷却シートは「正しく選ぶ」「うまく使う」だけで、単なる発熱対策から“快適な生活サポートアイテム”へと変わります。
目的に合った1枚を選んで、あなたやご家族の毎日をもっと快適にしてくださいね。
まとめ|冷却シートを正しく使うコツ
・効果的なのは“動脈が通る場所”:首・脇・太ももの付け根など
・赤ちゃんや高齢者は専用品を:刺激・誤使用リスクを回避
・冷凍庫OKは“専用タイプ”だけ:通常品は凍らせない
・選び方で使い心地が変わる:用途・肌質に合わせて選ぶ
冷却シートは貼る場所と選び方で、効果も快適さも大きく変わります。
発熱だけでなく、寝苦しい夜や集中力UPにも使えるので、シーンに合った製品を賢く選ぶことが“使いこなし”のコツ。
赤ちゃん用は「専用品+見守り」が鉄則です。
【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
◆ メーカー公式製品情報
・小林製薬|熱さまシートシリーズ(大人用・赤ちゃん用・からだ用・冷凍庫用)