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お薬コラム
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更新日:2022/04/26

皮膚の痒み

急に、あるいは定期的に悩まされる肌のかゆみ
かゆみがひどいと夜寝付けなかったり、仕事に集中できなかったりして、とても困りますよね。
そのかゆみはいったいどうして起こるのでしょうか。
原因を踏まえながら、効果的な市販薬についてご紹介させていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

かゆみの原因 メカニズム

かゆみを与える要因により、肌に何かしらの刺激が加わると、かゆみを起こす原因物質である「ヒスタミン」が放出されます。
そのヒスタミンがかゆみ受容体に結合することで、脳にかゆみとして認識されます。
この時、かゆみに対して、肌をかいてしまうと、「ヒスタミン」の更なる放出を招いてしまうため、かけばかくほどかゆくなってしまうのです。
それでは、かゆみを与える要因とは何なのでしょうか。
代表的なものを以下に挙げました。

・肌の乾燥
肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下して、わずかな刺激でもかゆみが誘発されることがあります。
冬場などの大気の乾燥や、加齢により肌は乾燥しやすくなりますし、睡眠不足やストレス、アトピーなどの基礎疾患も乾燥の要因となり得ます。
肌の乾燥の原因や対策に関しては、こちらの記事もご参照ください。

・かぶれ(接触性皮膚炎)
かぶれとは、肌のバリア機能を破るくらいの強い刺激物質に触れたり、植物や金属など、ある特定のアレルギー物質に触れたりした時に起きる、皮膚炎の一種です。
かゆみの他に、赤くなったり、湿疹や腫れが出たりもします。
かぶれが起きる原因としては、植物金属の他にも、化粧品医薬品の湿布なども挙げられます。
赤ちゃんのおむつかぶれは、頻度が高く、代表的な接触性皮膚炎であると言えるでしょう。
おむつかぶれについて、詳しくはこちらの記事もご参照ください。

・蕁麻疹
蕁麻疹はかぶれと似ていますが、また別の皮膚疾患です。
かぶれはかゆみや赤みなどの症状が徐々に進行し、数日間続くのに対し、じんましんは突然皮膚が赤くぷっくり腫れ、かゆくなりますが、数時間以内に消えてしまうのが特徴です。
蕁麻疹の原因はかぶれと共通するものも多く、食物医薬品の他に、紫外線寒暖差などの刺激によっても引き起こされます。
蕁麻疹について、詳しくはこちらの記事もご参照ください。

・虫刺され
蚊、ダニ、ノミ、ブヨ、毛虫などの虫に刺されたり噛まれたりすると、虫の持つ毒性が刺激となり、ヒスタミンが放出されて、かゆみや炎症を引き起こします。

・薬の副作用
飲み薬や注射、塗り薬など、薬の成分が体に合わないことで湿疹やかゆみが出ることがあります。
薬の使用後すぐに突然出てくる場合もあれば、数時間や数日、さらには数週間遅れて現れる場合もあります。

肌のかゆみに効果のある有効成分

辛い肌のかゆみに対しては、原因となる物質との接触を断つのが一番でしょう。
しかし、汗や寒暖差などを含む、避けることが難しい原因で起こる蕁麻疹やかぶれ、虫刺されなどに対しては、市販の飲み薬や塗り薬でも対応することが可能です。
また、肌のバリア機能を高めるための、保湿剤の使用もかなり有効でしょう。
保湿剤の種類や使い分けは、こちらの記事をご参考になさってください。

<飲み薬>

抗ヒスタミン薬
かゆみの原因物質である「ヒスタミン」を、かゆみ受容体であるヒスタミン受容体に結合するのを抑える薬です。

・ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン
眠気が出やすいため、車の運転や仕事に対しては注意が必要ですが、逆にかゆみで眠れないときにはおすすめです。
また、抗コリン作用といい、口の渇きなどが出やすいため注意が必要です。

・メキタジン、アゼラスチン
ジフェンヒドラミンなどと比較すると、眠気が出にくくなっています。
アゼラスチンは抗コリン作用も少ないため、口の渇きも出にくく、緑内障や前立腺肥大の人でも使用できます。

注意:眠くなりにくい抗ヒスタミン薬として、アレグラやクラリチンなども有名ですね。
しかしこれらの薬は、医療用医薬品として提供されているものは、蕁麻疹や肌のかゆみに使用されますが、同じ成分を含有する市販薬にはその適応がありません。
市販薬はあくまでも、花粉症などによる鼻水・鼻詰まりにしか使用できませんので、ご注意ください。

 

漢方薬
上に挙げた成分は西洋薬と呼ばれ、一つの成分を用いて、症状そのものをターゲットにしています。
それに対して漢方薬は、さまざまな生薬を組み合わせ、体全体のバランスを考えた上で、不調の箇所にアプローチする薬です。
肌のかゆみに対しても、原因や体質によって、さまざまな種類の漢方が用いられます。
代表的なものを以下ご紹介します。

・消風散
体力は中程度以上で、かゆみが強く、 分泌物が出て、患部に熱がこもっている感じがする人に。

・十味敗毒湯
体力中程度で、患部が赤く腫れ、分泌物が少ない人へ。
化膿を伴う場合も使用可能。水虫やニキビにも。

<塗り薬>

ステロイド
ステロイドの塗り薬は、優れた抗炎症作用があり、かゆみだけでなく、湿疹や肌の赤みを鎮める効果が期待できます
ステロイドは怖いというイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な使い方をすれば優れた効果を発揮してくれます。
重要なことは、適切な強さのステロイドを、適切な期間使用することです。
また、ステロイドの中にはアンテドラッグステロイドといい、患部で効果を発揮した後すぐに分解されることで、比較的全身性の副作用が出にくく設計されているものもあります。
ステロイドの種類や使い方、アンテドラッグステロイドについてはこちらの記事もご参考ください。

その他の抗炎症成分
・ウフェナマート、グリチルレチン酸
ステロイドほどの抗炎症作用はありませんが、ステロイドはどうしても苦手という方や、デリケートな陰部などへの使用に適しているでしょう。
赤ちゃんのおむつかぶれなど、小さなお子様にもおすすめです。

抗ヒスタミン剤
・クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン
抗炎症作用は少ないですが、抗ヒスタミン作用で患部のかゆみを鎮めます

鎮痒剤
・クロタミトン
詳しいメカニズムは解明していませんが、皮膚に軽い灼熱感を与えることで、かゆみを感じにくくさせる作用があると言われています。

抗生物質
虫刺されや、掻きむしりにより、皮膚に傷がついている場合は、そこからバイ菌が入り込んで、化膿してしまうことがあります
それを防ぐために、市販の塗り薬には抗生物質が含まれていることもややあります。

かゆみに効果のある市販薬

ジンマート錠

有効成分:メキタジン、ビタミンB1、B6、ニコチン酸アミド
特徴:比較的眠くなりにくい抗ヒスタミン薬であるメキタジンを主成分とし、皮膚の正常な作用を促すビタミンが3種類含まれます。

レスタミンコーワ糖衣錠

有効成分:ジフェンヒドラミン
特徴:5歳から服用可能であるため、子供でも使用できます。
同ブランドのレスタミンUコーワ錠は、ジフェンヒドラミンにプラスして、抗炎症作用のあるグリチルリチン酸二カリウムやビタミン剤を含んだ設計となっており、よりかゆみなどの皮膚症状にアプローチした設計となっています。

ムヒAZ錠

有効成分:アゼラスチン
特徴:アゼラスチンは、比較的眠くなりにくい抗ヒスタミン薬です。
また、抗コリン作用も弱いため、口の渇きを気にせず、前立腺肥大や緑内障などがある人でも安心してお使いいただけます。

メソッド ASローション

有効成分:プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ジフェンヒドラミン、クロタミトン、イソプロピルメチルフェノール、ビタミンE
特徴:アンテドラッグステロイドをメインとして、かゆみを抑えるジフェンヒドラミンとクロタミトンが含まれています。
また、殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノールと血行促進作用のあるビタミンEがサポートを行います。
ローションタイプですので、広範囲に塗りやすく、衣服へのべたつきなどを気にせず使用できるでしょう。

フルコートf

有効成分:フルオシノロンアセトニド、フラジオマイシン硫酸塩
特徴:市販薬の中では最も強いランク、ストロングクラスのステロイドが含まれています。
また、抗生物質のフラジオマイシンが含まれることで、患部の化膿を防ぎます。

メンソレータムADクリームm

有効成分:クロタミトン、リドカイン、ジフェンヒドラミン、ビタミンE、グリチルレチン酸
特徴:クロタミトンとジフェンヒドラミンに加え、局所麻酔成分であるリドカインも加わることで、3方向からかゆみにアプローチします。
また、保湿効果のあるグリセリンが配合されているため、肌のバリア機能も同時に高めます。

まとめ

肌のかゆみの原因を踏まえて、効果的な市販薬をお伝えさせていただきました。
かゆみに対しては、その原因に応じて、バリア機能を高めるために保湿剤を使用したり、特定物質を遮断したりといった対策が望まれるでしょう。
さらに、日常生活に影響を及ぼすような辛いかゆみには、市販の飲み薬や塗り薬で対応することが可能です。
しかし、かゆみによっては、内臓疾患など思わぬ病気が原因であることもありますし、原因が特定できない状態で、市販薬でのセルフケアを続けるのは危険であるとも言えるでしょう。
「原因がわからない」「市販薬を使わないとかゆみが治らない状態が長期間続いている」「市販薬を使用しても治らない・悪化していく」このような状態であれば、必ず医療機関を受診するようになさってください。
この記事が、辛いかゆみでお悩みのあなたにとって、お役に立てば幸いです。