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更新日:2025/05/04

それ、夏風邪じゃなくてカモガヤ花粉症かも?見逃しがちな“初夏アレルギー”の正体

「スギ花粉の季節は終わったのに、なんだか鼻がムズムズ…?」

 

そんな違和感、実は“カモガヤ”などイネ科植物が原因の夏の花粉症かもしれません。

 

日本ではまだあまり知られていませんが、海外ではむしろ一般的。

 

風邪と勘違いして放置されがちなこのアレルギー、実は対策次第でしっかり予防・緩和できます。

 

本記事では、初夏〜秋にかけて飛散するイネ科花粉の種類・症状・対策までを、薬剤師がわかりやすく解説します。

薬剤師ライター クロロボ
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第1章:春が終わっても鼻水?夏に飛ぶカモガヤ花粉の正体

「え、まだ花粉症?」春の後にも続くくしゃみ・鼻水

「スギ花粉が終わったのに、なんでまだ鼻がムズムズするの?」

「目のかゆみが取れないまま、梅雨に入っちゃった…」

そんなモヤモヤを感じている人、実はあなただけじゃありません。

でもその鼻水やくしゃみ、もしかしたら“夏の花粉症”かもしれません。

5月〜7月にかけて花粉を飛ばすのが、モガヤなどのイネ科植物です。

初夏にも花粉は飛んでいる!

春のスギ・ヒノキが終われば花粉症もひと段落…そう思っていたら大間違い。

実は、5月から7月にかけてがピークとなる夏の花粉が存在します。

その代表格が「カモガヤ」

カモガヤ

もともとは牧草として輸入された植物ですが、日本全国に広がり、今では公園・川沿い・空き地・住宅街の歩道など、身近な場所に生息しています。

花粉の飛散距離は数十メートルと短め。

つまり「そこに生えてる」だけで、くしゃみ・鼻水・目のかゆみといった症状が出てしまうわけです。

カモガヤだけじゃない!イネ科アレルギーの主な植物

夏に飛ぶのはカモガヤだけじゃありません。

ネズミホソムギ(ネズミムギ)やオオアワガエリハルガヤオニウシノケグサなど、どれもイネ科に属する雑草が主な原因です。

ネズミホソムギ(ネズミムギ)やオオアワガエリ、 ハルガヤ、オニウシノケグサ

これらの植物に共通しているのは、以下のような特徴です。

・牧草として導入された帰化植物であること
・繁殖力が強く、日本全国に雑草として広がっていること
4月から7月ごろにかけて花粉を飛ばすこと

そのため、春の花粉症が落ち着いたタイミングでも、「何かに反応してる?」と感じたら、イネ科アレルギーの可能性を疑ってみる価値があります。

 

花粉は春だけじゃない。日常の中に“初夏アレルギー”が潜んでいる

イネ科花粉の厄介なところは、「飛散距離が短い」=「近づくだけでアウト」な点です。

気をつけて見てみると、意外と身近な場所に原因植物が生えていたりします。

「春が終わったのに体調がスッキリしない」

「夏風邪っぽいけど、熱はないし…」

そんなときは、ぜひ“カモガヤ花粉症”という視点を持ってみてください。

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第2章:目のかゆみには要注意!夏の花粉症を悪化させない生活術

春の花粉症では「鼻」が主な悩みという人が多いですが、

カモガヤなどイネ科の花粉は“目に出やすい”のが特徴です。

くしゃみや鼻づまりに加えて、目のかゆみ、充血、涙が止まらないといった症状に悩まされる人も少なくありません。

中にはアレルギー性結膜炎と診断され、点眼薬が手放せなくなったケースもあります。

目をかくと余計ひどくなるのに、無意識で触ってしまうんですよね…。

こうした症状を少しでも軽くするには、日常生活の工夫がカギになります。

ここでは、薬に頼る前にできる5つのセルフケア対策をご紹介します。

夏の花粉症を防ぐ5つの生活対策

① 朝8〜10時の外出は控える

イネ科花粉の飛散ピークは、朝の8時から10時ごろ

晴れて風のある日ほど飛散量が増えるため、この時間帯の外出は極力避けるのが基本です。

① 朝8〜10時の外出は控える

 

② 草むらに近づかない

カモガヤやネズミホソムギといったイネ科植物は、公園や河川敷、通学路、空き地の草むらに多く生育しています。

花粉の飛散範囲は短いものの、至近距離での接触で症状が悪化することも

見慣れた景色でも、夏場は“花粉地帯”かもしれません。

② 草むらに近づかない

 

③ 庭の除草は5月中〜梅雨前が目安

イネ科植物は繁殖力が強く、地下茎からどんどん生えてきます。

家庭の庭や駐車スペースに草が生えはじめたら、花が咲く前に草刈りを

自分で難しい場合は、家族に頼るのもひとつの方法です。

③ 庭の除草は5月中〜梅雨前が目安

 

④ 外出時は「マスク+メガネ+帽子」の三点セット

マスクは夏向けの冷感・高通気タイプの不織布マスクを選ぶのが快適です。

さらに、花粉の侵入を防ぐカバー付きの「花粉用メガネ」や、

髪の毛への付着を防ぐ「つば広帽子」も有効です。

特に目の症状が強い人は、メガネの着用で症状の軽減が期待できます。

 

⑤ 帰宅後は“全身リセット”を習慣に

外から帰ったら、衣服についた花粉を玄関先で払い落とし、すぐ洗顔・うがい・鼻洗浄

顔や目元、まつ毛にも花粉はつきます。

洗顔だけでなく、鼻うがいや洗眼液の活用も効果的です。

⑤ 帰宅後は“全身リセット”を習慣に

 

■ 花粉皮膚炎にもご注意を

イネ科の花粉は、肌に触れるとかゆみや湿疹を引き起こすこともあります

特に、汗をかいた肌や、摩擦で敏感になっている部分は要注意。

首まわりや頬、まぶたなどが赤くなっていたら「花粉皮膚炎」の可能性

症状が出てしまったら皮膚科の受診を。

早めの対応が悪化を防ぎます。

軽い症状なら耳鼻科でも相談OK。湿疹などが強ければ 皮膚科へ早めに受診すること!

夏の花粉症は、目の症状が強く出る傾向があります。

そのぶん、日常の行動や装備でかなり予防効果が期待できるのも事実。

特別な道具や高額なアイテムは必要ありません。

飛散時間を避ける・近づかない・持ち込まないの3原則を意識しながら、

暑い季節も快適に乗り切りましょう。

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第3章:薬は何が効く?カモガヤ花粉症におすすめの市販薬

目と鼻、両方のケアが必要!カモガヤ花粉症の薬選び

カモガヤなどイネ科花粉による花粉症では、鼻水・鼻づまりだけでなく、目のかゆみや結膜炎も強く出る傾向があります。

そのため、飲み薬・目薬・鼻スプレーの3点セットでの対策が効果的です。

内服薬:タイプ別に選ぶ!第二世代抗ヒスタミン薬

眠気や服用回数、副作用の少なさなど、生活スタイルに合った選び方が大切です。

 

✅ 眠気を避けたい方におすすめ

アレグラFX(フェキソフェナジン)

クラリチンEX(ロラタジン)

どちらも眠気が非常に出にくいタイプで、日中の仕事や運転がある方にも使いやすい製品です。

ただし、アレグラFXは1日2回、クラリチンEXは1日1回と、服用回数には違いがあります。

 

✅ 服用回数を少なくしたい方におすすめ(1日1回)

アレジオン20(エピナスチン)

クラリチンEX(ロラタジン)

「毎朝飲むのを忘れがち…」という方には、1日1回で済むタイプが便利です。

就寝前の服用で眠気も気になりにくく、生活リズムに組み込みやすくなります。

 

✅ 医療用と同成分のスイッチOTC薬を選びたい方へ

アレグラFX(=フェキソフェナジン)

アレジオン20(=エピナスチン)

クラリチンEX(=ロラタジン)

タリオンAR(=ベポタスチン)

いずれも医療用と同じ成分を含んだOTC薬(スイッチOTC)で、病院処方経験のある方には馴染みのある製品です。

以前服用して、効果があった成分を含む商品を選ぶのも良いでしょう。

目薬:症状とライフスタイルに合わせて選ぼう

ロート アルガード クリアブロックZ

重い目のかゆみ・充血に悩む方向け。

アレルギー成分+消炎成分+角膜保護成分を最大濃度配合した高機能点眼薬です。

スッと爽快な清涼感もあり、つらい時期に頼れる一本。

 

ロート アルガード コンタクトa

コンタクトレンズを装着したまま使えるアレルギー用目薬。

かゆみを抑える成分に加え、うるおい・ビタミンも配合されており、コンタクト使用者の日常ケアに便利です。

鼻スプレー:即効性 or 継続効果、目的で使い分け

フルナーゼ点鼻薬(フルチカゾン)

ステロイド成分を含み、鼻水・鼻づまり・くしゃみに高い効果を発揮します。

1日2回の継続使用で、症状をコントロールしやすく、副作用も少ないアンテドラッグ設計。

 

ナザール「スプレー」ポンプ(ナファゾリン)

血管収縮薬で、即効的に鼻づまりを緩和したいときに便利。

ただし、使い過ぎると“薬剤性鼻炎”のリスクがあるため、短期間の使用にとどめることが大切です。

 

 

 

市販薬で対応しきれないときは、迷わず病院へ!

市販薬で改善しない、咳が出る・倦怠感が強い・夜も眠れないといった症状が出ている場合は、耳鼻科やアレルギー科の受診を検討しましょう。

花粉症と見せかけて、別のアレルギーや感染症の可能性もあるため、早めの対処が安心です。

 

カモガヤ花粉症などの季節性アレルギーでは、「症状が出てから飲む」よりも、飛散が始まる前から予防的に服用する方が効果的です。

5月に入ったら、そろそろ準備を始めましょう。

まとめ|夏の花粉症、これだけは押さえて!

●5月〜7月はイネ科の花粉がピーク:カモガヤなどが原因で、鼻水や目のかゆみが出やすい
●“目の症状”が強く出るのが特徴:充血・涙目・まぶたの腫れにも注意が必要
●生活対策が症状軽減の鍵:草むら回避、除草、マスク・メガネ・帽子、帰宅後の洗顔が効果的
●市販薬は“自分に合うタイプ”を選ぶ:眠気、服用回数、使用シーンに応じて使い分けを
●改善しないときは早めの受診を:市販薬だけで限界を感じたら、耳鼻科やアレルギー科へ

春が終わったのに不調が続くと、「夏風邪かな?」と思ってしまいますが、カモガヤなどの夏の花粉が原因というケースも意外と多いです。

スギとは違い、草むらや公園など身近な場所が発生源になるため、日常の工夫がとても大切。

市販薬も進化していますが、症状が強い場合や長引く場合は、迷わず専門医に相談してほしいです。

早めに気づき、適切な対処をすることで、夏の不調をぐっと軽くできますよ。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
メーカー公式製品情報
久光製薬|アレグラFX 公式サイト
エスエス製薬|アレジオン20 製品情報
第一三共ヘルスケア|クラリチンEX公式サイト
田辺三菱製薬|タリオンAR製品紹介ページ
ロート製薬|ロート アルガード クリアブロックZ
ロート製薬|ロート アルガード コンタクトa
グラクソ・スミスクライン|フルナーゼ点鼻薬 公式情報
佐藤製薬|ナザール「スプレー」ポンプタイプ 製品情報