保湿系のハンドクリームとは?効果、有効成分を薬剤師が解説。
「手の乾燥がひどいので保湿力が高いハンドクリームが欲しい」
「手の乾燥におすすめの保湿成分が知りたい」
ハンドクリームには、手荒れを治すことに特化したものから保湿成分がメインに配合されているものまでさまざまな種類があります。
今回は、保湿系のハンドクリームについて詳しく見ていきましょう。どのような保湿成分があるのか、どのようにハンドクリームを選んだらよいのかについても解説していきます。
保湿系ハンドクリームとは?
保湿系ハンドクリームとは、手にうるおいを与えることを目的としたハンドクリームのことです。ヘパリン類似物質やヒアルロン酸、セラミドやコラーゲン、シアバターなどが配合されているものが代表的でしょう。手がカサカサしており、水分量がたりていないお肌にうるおいを与えます。
保湿系ハンドクリームのほかには、尿素系とビタミン系があります。尿素系は固くなった角質をやわらかくするもの、ビタミン系はターンオーバーを整えて皮膚を健康にするものです。
手が乾燥しているだけの方は保湿系、角質が厚くなってガサガサになっている方は尿素系、ひび割れやあかぎれなどによって手が荒れている方はビタミン系を選ぶとよいでしょう。
保湿剤の効果は2つに分類される!
保湿剤は成分の効果の違いにより2つに分類され、
① 水分を補給して、お肌にうるおいを与えるモイスチャライザー効果
② 水分の蒸発を防いで、お肌をやわらかく保つエモリエント効果
これらどちらかの効果により、お肌をしっとりさせることが可能です。
保湿系ハンドクリームに含まれている保湿成分とは?
保湿系ハンドクリームに含まれている成分には、皮膚の奥にうるおいを届けるものと、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐものとがあります。どちらの保湿成分を使っても保湿効果に大きな違いはありません。成分によってベタつきの程度も変わってくるので、使いやすい物を選ぶとよいでしょう。
ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は親水性と保水性の両方に優れている、モイスチャライザー効果がある成分です。水分を与えて保持することで高い保湿効果を発揮します。ヒアルロン酸やコラーゲンよりもお肌の奥まで届くため、保湿力が高いことが特徴です。医薬品タイプのものは皮膚科で処方されることもあり、赤ちゃんから大人まで幅広い層に使用されています。
ワセリン
皮膚の表面に膜を作ることで水分の蒸発を防ぐ、エモリエント効果に優れた成分です。ベタつきが気になりやすいという欠点はあるものの、お肌の水分量を保つ効果に優れていることから手の乾燥がとくにひどい方に向いています。保湿効果はもちろん、皮膚を保護する効果にも優れています。
ワセリンにはいくつか種類がありますが、とくに広く使用されているのが白色ワセリンです。値段も安く保湿効果が高いことから、こちらも赤ちゃんから大人まで広く使用されています。
ワセリンについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご参照ください。
セラミド
セラミドは角質層にある細胞と細胞のすき間を埋めるように存在している保湿成分です。バリア機能と深い関わりがあります。セラミドが不足しているお肌はバリア機能が十分に働かきません。外からの刺激で手が荒れやすい方は、バリア機能が落ちている可能性もあるでしょう。セラミドは人の肌にもともと存在する成分ですが、年齢とともに減少していくことが知られています。
ヒアルロン酸
たった1gで2~6リットルもの水を抱え込めることが特徴の成分です。分子量が大きいものは皮膚の表面にとどまり水分を保持し、小さいものは皮膚の奥まで届いて水分を補給します。
コラーゲン
肌の弾力を維持するために欠かせない成分です。モイスチャライザー効果により、お肌にハリを与えてうるおいを補給します。三大保湿成分の一つとして知られており、ハンドクリームをはじめさまざまな保湿剤に配合されている代表的な保湿成分です。
シアバター(シア脂)
シアの木の種子から作られる保湿成分です。皮膚から水分の蒸発を防ぐエモリエント効果に優れています。シアバターの原産国であるアフリカでは、生まれたばかりの赤ちゃんにも使われるほど暮らしになじんでいる成分です。
保湿系ハンドクリームの強さとは?
保湿系ハンドクリームには、大きくわけて次の3種類があります。
• 医薬品
• 医薬部外品(指定医薬部外品)
• 化粧品
効果の高さは医薬品>医薬部外品>化粧品となっていることが一般的です。より高い保湿力を求めている方は、医薬品タイプのハンドクリームを選ぶようにしましょう。
ただし、医薬部外品や化粧品だから保湿効果がないわけではありません。分類を気にすることも大切ですが、ベタつきの少なさや価格なども考慮して使いやすいものを選ぶのがおすすめです。
保湿系ハンドクリームの選び方
保湿系ハンドクリームの選び方はそう難しくありません。どれを選んだらいいのか迷った方は、まずどの分類になっているのかをチェックしてみましょう。
効果が高いものを希望する方には「医薬品」
高い保湿効果があるものは分類が「医薬品」となっています。なかでもヘパリン類似物質が配合された医薬品は、保湿力がとても高いことが特徴です。
ヘパリン類似物質が配合されていても分類が医薬部外品や化粧品となっているものは、どれくらいの量が配合されているのかがわかりません。少量しか配合されていない可能性もあるので、ヘパリン類似物質を選ぶときは必ず医薬品となっているものを選びましょう。
医薬品のハンドクリームには、ほかにワセリン配合のものもあります。医薬品ではない「ヴァセリン」という商品も売られていますが、お肌が敏感な方は不純物が少ない医薬品タイプのワセリンがおすすめです。
乾燥の予防でなら「医薬部外品」や「化粧品」
とりあえず何か乾燥の予防ができるものが欲しいという方は、医薬部外品や化粧品のものでも構いません。医薬品ほどの保湿効果はないものの、使い心地がよかったり価格が抑えられていたりするものもあり、購入しやすいでしょう。
おすすめ保湿系ハンドクリーム4選
では、ドラッグストアでも人気のハンドクリームを4つご紹介します。
とにかく保湿効果が高いものが良い方
ヒフメイド油性クリーム
医療機関で処方してもらえる「ヒルドイド」と同じ成分で、使い心地も似ているハンドクリームです。手だけではなく、全身に使用できます。基剤がオイルベースになっているので、しっとりした塗り心地になっています。
分類 | 第2類医薬品 |
有効成分 | ヘパリン類似物質 |
HPクリーム
保湿力が高いヘパリン類似物質が主成分のハンドクリームです。こちらも手だけではなく全身に使用できます。サラリとした使い心地が特徴で、べたつきを感じさせません。ヘパリン類似物質が配合された市販薬のなかでは値段もリーズナブルなほうです。
分類 | 第2類医薬品 |
有効成分 | ヘパリン類似物質 |
安価で、安全に使える医薬品を希望する方
プロペト ピュアベール
プロペト ピュアベールは、白色ワセリンから不純物を取り除くことで作られたものです。白色ワセリンでも刺激は十分に少ないですが、より刺激が抑えられた作りになっています。
エモリエント効果に優れており、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐことで皮膚のうるおいを守るものです。刺激が少ないので赤ちゃんにも使用できます。
分類 | 第3類医薬品 |
有効成分 | 日局 白色ワセリン |
安価でたっぷり使いたい方
メンソレータム ハンドベール 乾燥バリアクリーム
ワセリンやシア脂のほか、グリセリンやミネラルオイルなど複数の保湿成分が配合されたハンドクリームです。皮膚の表面をうるおいの層で守り、角質層まで水分を補給します。こってり濃厚なクリームですが、ベタつきはあまりありません。
分類 | 化粧品 |
保湿成分 | ・グリセリン ・ミネラルオイル ・ワセリン ・シア脂 ・カカオ脂 |
まとめ
保湿系のハンドクリームには、ヘパリン類似物質やワセリン、セラミドなどが配合されたものがあります。
ヘパリン類似物質が配合された医薬品タイプのハンドクリームは、保湿するだけでなく荒れやひび、あかぎれなどにも効果があるので、乾燥がとくにひどい方におすすめです。
分類や配合成分を見ながら、自分に合うハンドクリームを見つけてみてください。