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更新日:2023/02/01
市販薬のガスター10について薬剤師が解説!実際にどんな製品?医療用ガスターとの違いは?

ガスターは、医療用でも処方されることが多いため、ご存知の方が多いかと思います。もともとは医療用の扱いしかありませんでしたが、同じ成分を使ったものが市販でも販売されるようになりました。そのため、「医療用と市販薬では何か違いがあるの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、医療用と市販薬のガスターに違いがあるのかについて解説します。ガスター10の特徴や使い方なども紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

ガスター10とは?

ガスター10とは、胃酸の分泌を抑える作用があり、胃痛、もたれ、胸やけ、むかつき等の症状を改善するための薬です。
医療用のガスター錠10mgを市販でも購入できるようにと販売が開始されました。主成分はファモチジンです。ファモチジンは胃の細胞壁にあるヒスタミンH2受容体に結合することで、胃酸の分泌を抑制します。

ガスター10の「10」とは?

医療用にはファモチジンが10mg含まれるものと20mg含まれるものとがありますが、市販で購入できるのは10mgのほうのみです。ガスター10の「10」とは、ファモチジンが「10mg」含まれていることを表しています。

ガスター10の種類

現在は、次の5種類の製品名で販売されています。

• ガスター10
• ガスター10〈散〉
• ガスター10〈散〉(リバースコントロール)
• ガスター10 S錠
• ガスター10 S錠(リバースコントロール)

ぱっと見は5種類あるように見えますが、実質は3種類です。 ガスター10〈散〉とガスター10〈散〉(リバースコントロール)、ガスター10 S錠とガスター10 S錠(リバースコントロール)は名前とパッケージが違うだけで中身は変わりません。

「(リバースコントロール)」と書かれているものは、ガスター10のシリーズに胃酸逆流などによる胸焼けに効果があることをわかりやすく記載したものです。どのガスター10を購入しても成分は同じですので、効果に違いはありません。錠剤か散剤か、口中速溶タイプかの違いのみとなります。

製品名 ガスター10 ・ガスター10〈散〉
・ガスター10〈散〉(リバースコントロール)
・ガスター10 S錠
・ガスター10 S錠(リバースコントロール)
剤形 錠剤 散剤 口中速溶タイプ
有効成分 ファモチジン
効能効果 胸やけ、胃痛、むかつき、もたれ

ガスター10の特徴や注意点

市販には、多くの胃薬が販売されています。その中でも、ガスター10は胃酸の分泌を間接的に抑える作用があるため、効果が高いタイプの胃薬です。

連用はしない

ガスター10に限った話ではありませんが、連用には向いていません。胃潰瘍など重大な消化器疾患があったとしても薬の作用により症状が隠されてしまうことがあるためです。

重大な疾患があることに気づかず薬を連用することで、適切な治療が遅れてしまう可能性があります。ガスター10の場合は2週間を超えての服用はしないようにしてください。

購入する際は薬剤師からの説明を受ける必要がある

ガスター10は第1類医薬品です。購入の際は薬剤師から使い方や注意点などの説明を受けなければなりません。そのため、薬剤師がいる薬局やドラッグストアでのみ購入が可能です。インターネットでも購入できますが、事前に薬剤師からの確認があったり後ほどメールで確認事項が送られてきたりするので、必ずしっかりチェックするようにしてください。

ガスター10の使い方

胸焼けや胃痛などの症状があるときに1回1錠または1包を服用します。症状が続くときは、1日に2回まで服用可能です。ただし、2回服用するときは間隔を8時間以上あけてから服用してください。

症状が治まった場合は、服用を中止してください。あくまで症状がある時にだけ、服用する薬です。また3日間服用しても症状が改善しない場合は、服用をやめて医療機関を受診しましょう。

医療用のガスターとの違いは?市販薬で代用できる?

医療用のガスターも市販のガスターも、有効成分は同じファモチジンです。しかし、服用方法や効能効果に違いがあります。市販の場合は1回10mgまでしか服用できませんが、医療用の場合は症状に応じて最大40mgまで増量することが可能です。

また医療用のガスターには、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、市販の効能効果にはないものも多く含まれています。用法用量が異なること、効能効果に違いがあることから医療用のガスターの代わりとして市販薬を使用することは基本的にできません。

ガスター10 ガスター錠10mg/20mg
有効成分 ファモチジン ファモチジン
分量(1錠あたり) 10mg 10mg/20mg
用法用量 1回1錠、1日に2回まで服用できます 1回10~20mgを1日に2回まで服用する

1回20~40mgを就寝前に1日1回服用することもできる

効能効果 胃痛、もたれ、胸やけ、むかつき ・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群

・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善:
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

ガスター10に関するQ&A

では、ガスター10に関してよく聞かれる質問にお答えします。

ガスター10の剤形はどうやって選べばいいですか?

ガスター10は剤形が違っても効果は同じです。水なしで飲めるものがよい方はガスター10 S錠やガスター10 S錠(リバースコントロール)、すーっとした清涼感が欲しい方はメントール配合のガスター10〈散〉やガスター10〈散〉(リバースコントロール)を選ぶとよいでしょう。

ガスター10を毎日飲み続けてもよいですか?

続けて服用できるのは2週間までです。2週間以上服用が必要となる場合は、市販薬で対応できない重篤な疾患の可能性があるので、医療機関を受診してください。

ガスター10は胃酸の逆流にも使えますか?

ガスター10は胃酸の逆流による胸焼けの症状にも使用できます。「リバースコントロール」と記載がないものでも使用できますので、飲みやすい剤形を選んで使用してください。

まとめ

ガスター10は、ファモチジンという胃酸を抑える成分が配合された胃薬です。市販の胃薬のなかでは効果が高いほうのため、つらい症状にも使用できます。医療用と成分は変わりませんが、1回の服用量や効能効果が異なるため、市販のガスター10を医療用の代わりに使用することは基本的にできません。

強力に胃酸を抑えてくれるので、市販薬ではとても頼りがいのある商品です。ただし、2週間を超えての服用はできないため、症状が続くときは医療機関を受診しましょう。