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お薬コラム
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更新日:2022/10/06
かゆくて辛いしもやけに効果的な市販薬は?塗り薬と飲み薬のおすすめをご紹介

冬場、お風呂に入ったら手足が我慢できないほどかゆい!

赤く腫れ上がったその状態は、もしかすると「しもやけ」かもしれません。

暖かい季節になって自然に治まるまで我慢し続けなくとも、辛いかゆみや痛みは市販の薬で和らげることが可能です。

このコラムでは、しもやけの基本的な知識から予防法、おすすめの市販薬まで幅広くお伝えさせていただきますね。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

しもやけとは?

しもやけは、医学的には「凍瘡(とうそう)」と呼ばれ、手足の指や耳など、体の末端部分が赤色〜赤紫色に腫れる症状を指します。
痛みやかゆみがあり、お風呂など、温まることでかゆみが強くなるのも特徴のひとつです。
冬場など、気温の低下によって血流が悪化することが原因で、子供に多く見られる症状ですが、大人でも関係なくしもやけは起こります。

しもやけはどうして起こる?

しもやけは手足など末端部分の血液循環が悪くなり、血液が鬱滞(うったい)することで炎症反応として引き起こされます。
気温が下がると、人の体は体温を維持するために血管を収縮し、血液を体の中心に集めようとします。
その分、手足にまわる血流が減少することで、しもやけが起きやすくなるのです。
また、それ以外にも気温差により、血管の収縮と拡張が繰り返されることでも血液循環は悪くなってしまいます。
そのため、しもやけは真冬の病気というより、むしろ冬の初めや終わりの1日の気温差が出やすい頃の方が起こりやすいとも言われています。
それ以外にも、水分で手足が濡れたままになると、その箇所の冷えが一気に進みしもやけになりやすいため注意が必要です。
しかし同じ条件でも、しもやけになる人とならない人が存在し、体質など遺伝的な要素がしもやけに関与していることもわかってきています。

しもやけを予防するには?

しもやけは一度起こると治るまでに時間がかかる傾向があります。
特に毎年しもやけに悩まされるという方は、本格的に寒くなる前に対策をとることが重要です。

・フローリングは冷えやすいため、早めにスリッパや靴下を履く
・イヤーマフや帽子を活用し、耳が冷えるのを防ぐ
・汗で濡れた靴下はすぐに交換する
・雪遊びの後は濡れた靴下、手袋をすぐ交換する
・冷えにくい靴を心がける

基本的には手足や耳などの末端部分を冷やさないように心がけるのが一番です。
そのために、普段素足で過ごしている人も秋頃からスリッパ・靴下を履くようにしましょう。
また、水分による冷えを防ぐため、汗や雪で濡れた靴下や手袋はそのまま放置しないよう注意しましょう。

しもやけの市販薬での治療

しもやけの治療に使われる薬は、大きく分けて、外用薬(塗り薬)と、内服薬(飲み薬)の2種類です。
両者とも、血流を改善する作用のある成分が主成分として含まれていることが多いです。
また、塗り薬の方には、サポート成分として、炎症を抑えるものや、かゆみや痛みを抑えるものが一緒に配合されている製品もあります。
ただ、しもやけの初期、赤みやかゆみが出ている段階であれば、市販薬でも対処可能ですが、ただれてジュクジュクしているしもやけなどは、その場所から感染症を起こす可能性もあります。
症状がひどい場合や、市販薬をしばらく使用してもなかなか治らないしもやけに関しては、皮膚科を受診するようにしましょう。

市販薬の主な有効成分

<塗り薬の成分>

・血行を促進する成分
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、ヘパリン類似物質、トウガラシチンキ
末端の血流を促進することで、しもやけの原因そのものを改善します。
ヘパリン類似物質は保湿剤としての効果も高く、マイルドな抗炎症作用も期待できます。

・炎症を抑える成分
ステロイド、グリチルレチン酸、dl-カンフルなど
赤みや腫れを抑える作用により、痛みを緩和します。

・かゆみを抑える成分
ジフェンヒドラミン、クロタミトン、dl-カンフルなど
しもやけの主たる症状であるかゆみを抑制します。

・痛みを抑える成分
ジブカインなど
局所麻酔作用により、患部の痛みを和らげます。

<内服薬の成分>

・血行促進成分
トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)
塗り薬と同じく、ビタミンEが末端の血流改善に対して効果を示します。
また、塗った場所に局所的に効果を示す外用薬と違い、血流が滞ることによって起こる肩こりや頭痛などの症状にも効果的です。

・漢方薬
当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、温経湯など
漢方薬は、さまざまな生薬を組み合わせ、体全体のバランスを考えた上で、不調の箇所にアプローチする薬です。
しもやけに対しても体質によってさまざまな漢方が使用され、末端部の血液循環を改善します。

おすすめの市販薬について

しもやけの症状に対しておすすめの市販薬をご紹介します。
今現在我慢できない痛みやかゆみにお困りの方は、それらを和らげるような補助成分が含まれている「塗り薬」から選ぶことをおすすめします。
また、毎年しもやけに悩まされているような方は、体質からの改善が見込まれる、「飲み薬」から選ぶと良いでしょう。

<塗り薬>
HPクリーム

有効成分:ヘパリン類似物質
特徴:海外の製薬メーカー、グラクソスミスクラインが手がけるヘパリン類似物質含有のクリーム。
アルコールフリーであるため、皮膚への刺激が少なく、しもやけ以外にも赤ちゃんなどデリケートな肌の保湿にもオススメです。

ユースキン

有効成分:トコフェロール酢酸エステル、グリチルレチン酸、dl-カンフル、グリセリン
特徴:ビタミンEに抗炎症作用のあるグリチルレチン酸、カンフル、そして潤いを与えるグリセリンが配合されています。
医薬部外品に分類されており、比較的安価でもあるため、予防としても普段使いが可能です。
40gのチューブから180gのポンプタイプまで、幅広い容量・タイプから選べるのもメリットのひとつでしょう。

ベルクリーンS軟膏

有効成分:トウガラシチンキ、トコフェロール酢酸エステル、dl-カンフル、クロタミトン、リドカイン
特徴:トウガラシ成分とビタミンEのダブルの作用で血行を促進します。
また、クロタミトンとリドカインが入ることで、かゆみや痛みなどの辛い症状を緩和してくれます。

<飲み薬>
ユベラックスα2

有効成分:d-α-トコフェロール(天然ビタミンE)
特徴医療用医薬品のビタミンE製剤であるユベラを販売しているエーザイが製造・販売している製品です。
天然のエゴマ・しそ油でコーティングされているため、体に良いとされる不飽和脂肪酸αリノレン酸も同時に摂取することができます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス錠クラシエ

特徴しもやけに使われる代表的な漢方で、末端の血流改善効果があります。
また、体全体を温めることにより、しもやけだけでなく生理痛や下痢など、さまざまな症状を改善する効果があります。
錠剤タイプであるので、漢方独特の味が苦手な人でも比較的飲みやすいでしょう。

ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒

特徴:腰や足に冷えがあり、体力がなく、むくみやすい人に向けた、体を温める作用がある漢方で、貧血や冷えに効果を示します。
女性のホルモンバランスの乱れも整える作用があるため、生理痛などにも効果的です。

まとめ

しもやけについて、基本的な知識から予防法、効果のある市販薬まで幅広くお伝えさせていただきました。
気温の低下により、末端の血流が悪化することで起こるしもやけに対しては、なるべく手足などが冷えないよう予防することが一番です。
ただ、もししもやけになったとしても、塗り薬や飲み薬を用いることで、血流を改善しながら痛みやかゆみを抑えることが可能です。
気温が上がってくればしもやけも治ってはきますが、辛い症状がある場合は我慢せずに市販薬の使用も検討してみてはいかがでしょうか。
その際に、このコラムがお役に立てれば幸いです。