目薬にまつわる素朴な疑問や基礎知識について、薬剤師が詳しくお答えします
最近疲れ目がひどくて、市販の目薬を購入したものの
「あれ?これってどれくらい日持ちするの?」
「それに、そもそもこの赤い液体って大丈夫なの?」
ふとこういった疑問が浮かぶこともありますよね。
このコラムは目薬(主に市販の)の基本的な知識にまつわる、よくある疑問について、Q&A方式でその理由まで詳しくお答えしていきます。
あまり目薬の使用に慣れていない方はもちろん、普段使い慣れている方でも意外と知らない情報があると思いますよ。
目薬の基本編
Q.市販の目薬はどれくらいもつの?
A.開封後2〜3ヶ月を目安に
医療用の目薬に関しては、おおよそ開封後1か月が使用期限の目安であると言われています。
市販の目薬は医療用のものと比較すると、防腐剤がしっかり含まれていることが多いため、開封後2〜3ヶ月を目安として使用するようにしましょう。
しかし、防腐剤を含まないとしている目薬に関しては、使用期限が10日間しかなかったり、1〜2ヶ月であったりと、短めに設定していることが多いため、製品ごとに付属している取り扱い説明書は必ず読むようにしましょう。
Q.目薬はどこに保管したらいいの?
A.直射日光の当たらない涼しい場所(棚の中など)
市販の目薬は、室内の戸棚や薬箱の中などに保管しておくのが良いでしょう。
「車の運転中の疲れ目や眠気対策のために、車中に置いておきたい」と考える人もいるかもしれませんが、高温(40℃以上)になる可能性がある車の中での保管はNGですので、車中で使った目薬はくれぐれも置きっぱなしにしないようにしましょう。
また、医療用の目薬の中には冷蔵庫で保管しないといけないものもありますが、市販の目薬の中には冷蔵庫に入れることで逆に品質が担保されないものも存在します。
該当する目薬は取り扱い説明書に注意書きが記載されてはいますが、冷蔵庫保管禁止の目薬に限らず、冷気口付近など、冷蔵庫内の場所によっては目薬内の成分が凍結してしまう可能性もゼロではありません。
目薬は食品と違い、冷所に入れておくことで保管期限が延びるものでもありませんので、室内に保管しておく方が無難かもしれません。
Q.点眼は1回何滴させば良いの?
A.1回に1滴入れば、十分です
目薬をさした時、綺麗に目の真ん中にさしたはずなのに、液が溢れてくるといった経験はありませんか?
それは当然で、そもそも、人間のまぶたの中に収納できる水分量に対して、目薬1滴の液量の方が多く設計されているため、1滴でも溢れてきてしまうのです。
2滴3滴と多く点眼した方が効果が上がるということはありませんので、目薬の無駄遣いを避けるためにも、なるべく1滴でさせるようになりたいですね。
Q.1日の中で目薬を使ってはいけないタイミングってあるの?
A.寝る直前の使用はなるべく控えましょう。
寝ている間は、起きているときと比較して、涙の流れが停滞します。
そのため薬液が長時間目の表面に留まることで、目に刺激を与える恐れがあります。
そのため、目薬を使用してはいけないタイミングとして正式に定められているわけではありませんが、就寝直前の使用はなるべく避け、5〜10分間空けた方がいいとされています。
目薬の成分編
Q.赤や黄色の目薬ってわざと色をつけているの?
A.目薬の中に含まれている有効成分自体に色がついているものがあります。
目薬には着色料などの使用が認められていないため、液体に付いている色は有効成分そのものに由来しています。
代表的なものに以下の成分があります。
赤色:ビタミンB12(シアノコバラミン)・・・目のピント調節機能を改善する成分
青色:アズレンスルホン酸・・・炎症を抑える成分
黄色:ビタミンB2(フラビンアデニンジヌクレオチド)・・・角膜の組織代謝を促す成分
Q.目薬をさした後、味がするのはなぜ?
A.目薬の成分が目頭から口に流れていくため。
目薬をさした後、目に吸収されなかった薬液は、目頭から鼻を通り、口へと流れていきます。
成分自体に苦味や甘味があるものが含まれていると、味覚で感じるのはこのためです。
薬液が鼻や口に流れるのを抑えるためには、点眼後しばらく目頭を押さえておくと効果的であり、有効成分を目の中にしっかり留めるという点でも大事なポイントです。
代表的な味覚を感じる目薬の成分に以下のようなものがあります。
苦みを感じる成分:クロルフェニラミン(抗ヒスタミン成分)、ナファゾリン(血管収縮成分)、スルファメトキサゾールナトリウム(抗菌成分)など
甘みを感じる成分:グリチルリチン酸二カリウム(抗炎症成分)
Q.同じような効果の目薬でも、セルフメディケーション税制対象かどうか別れるのはなぜ?
A.「効果・効能」は関係なく、厚労省が認めた有効成分を含んでいるものが対象と指定されます。
健康を保つ、もしくは病気の予防のために、対象となる市販薬を家族内で12,000円以上購入した場合受けられる控除を「セルフメディケーション税制」と言い、目薬の中にもこのセルフメディケーション税制の対象となる製品があります。
過去に医療用医薬品として用いられていた成分など、厚生労働省が認めた有効成分を含んでいるものが対象と認められ、現在はヒアルロン酸(角膜修復・保水成分)やクロモグリク酸(抗アレルギー成分)、プラノプロフェン(抗炎症成分)、クロルフェニラミン(抗ヒスタミン成分)などが指定されています。(注:厚労省が順次指定しているため、これらの成分を含んでいても必ずしも対象であるとは限りません。)
例えば疲れ目に効果のある目薬でも、かゆみ止めとして抗ヒスタミン成分が含まれているか否かで対象かどうかが分かれることがあります。
対象製品を探す際はこちらのマークを目印にしましょう。
Q.市販の目薬と医療用の目薬を併用しても問題ない?
A.目の疾患を悪化させる可能性や、成分が重複する可能性があるため、使いたい市販の目薬があれば、必ず処方医(薬剤師)に確認をとりましょう。
市販の目薬の中には、緑内障やドライアイなどの疾患を持つ人が使用することで、症状を悪化させる可能性があるものが存在します。
そのため、何かしらの疾患で目薬を処方されている人は、使用したい市販の目薬がある場合、必ず処方医もしくは薬剤師に確認を取るようにしてください。
また、花粉症などの季節性アレルギーで目薬を処方されている人も注意が必要です。
疲れ目の目薬であったとしても、市販の目薬の中にはアレルギー反応を抑える成分が入っている場合もあります。
効能が全然違うし問題ないだろうと一見思われても、成分が重複している可能性があるため、併用に関してはこちらもしっかり確認を取りましょう
まとめ
目薬にまつわるさまざまな疑問にお答えさせていただきました。
市販の医薬品は手軽に手に入れることができる分、どうしても使い方や保管に関して、いい加減になってしまいがちな面もあります。
冷蔵庫での保管に適していない目薬があったり、節税対象の目薬は成分の違いにあったりと、使い慣れている方でも、意外と知らなかった知識もあるのではないでしょうか。
また、目薬に対してたまに聞くよくない噂についてはこちらのQ&Aでお答えしています。
目薬を正しく安心してご使用いただくためにも、この記事がお役に立てれば幸いです。