リンデロン-V軟膏は、市販で購入できる?
「リンデロン」という名前のステロイドの塗り薬をご存じですか?
病院の処方薬としてよく使われる薬でありながら、市販薬としても販売されています。非常に使いやすい塗り薬ですので、使い方についてご紹介します。
購入可能な市販薬とは?
医療用の「リンデロン」には4種類ありますが、市販で購入できるのは「リンデロンV」と呼ばれるものだけです。「湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、蕁麻疹」に使えます。
リンデロンVs軟膏
ステロイドの成分だけの、シンプルな軟膏です。軟膏なので少しベタつき感がありますが、刺激は少ないのでどこの部分にも使いやすいでしょう。
リンデロンVsクリーム
クリームタイプなので伸びがよく、広範囲に使用する場合に向いています。クリームは軟膏よりも水分が多いため、汗などで流れやすいです。夏場は注意しましょう。
医療用医薬品としての基本情報
医療用のリンデロンはどのような薬なのでしょうか?
リンデロン-V軟膏の主成分とは?
ステロイドである「ベタメタゾン吉草酸エステル」が主成分です。
ステロイドのランクは上から3番目のストロングで、中くらいの強さになります。成人であれば、短期間に限って顔に使用することもありますが、成人に比べて皮膚の薄い小児の顔にはほとんど使うことはありません。基本的には、体用のステロイドと考えてください。
いずれにせよ、医師の指示に従って使用するようにしましょう。
リンデロン-V軟膏の効能は?
リンデロン-V軟膏は、ステロイドの塗り薬で、「湿疹、皮膚炎、かゆみ、虫さされ、薬疹、痔核、耳の手術後の傷」などに使用できます。
ステロイドが、皮膚の炎症を抑えます。
リンデロン-V軟膏の使い方
1日に1〜数回、必要な箇所に塗ってください。ハンドクリームのように、1日に何度も塗り直す必要はありません。
ただし、すぐに洗い流すと効果が出ませんので、シャワーの後、手を洗った後など、タイミングを調整して塗るようにしましょう。
リンデロンの医療用医薬品の種類
リンデロンと名前がついている医療用の塗り薬は、大きく分けて4種類あります。それぞれに特徴がありますので、ご紹介します。
・リンデロン-VG軟膏
ステロイド成分の「ベタメタゾン吉草酸エステル」に加えて、ゲンタマイシンという抗菌薬の成分が含まれています。手術後の傷や外傷、感染症を起こしている皮膚炎など、細菌がついている可能性のある皮膚に使用するための軟膏です。
・リンデロン-DP軟膏
「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル」が主成分です。ステロイドのランクはベリーストロングで、上から2番目の強さになります。首より上の皮膚が薄い箇所は、ステロイドの吸収率がよく副作用が出やすくなるため、使用できません。塗った後の手で顔や目などを触らないよう、使用後は手を洗ってください。
・リンデロンA軟膏
「ベタメタゾンリン酸エステル」が主成分で、フラジオマイシンという抗菌薬の成分も配合されています。細菌感染を伴う目の炎症性疾患、耳の湿疹や皮膚炎、耳鼻科の手術後の傷跡に使用するためのステロイド軟膏です。ステロイドのランクは定義されていませんが、目や耳に使用するものなので弱いランクに相当すると考えられます。
リンデロン-V軟膏の塗り方
塗り薬にも、じつは正しい塗り方というのがあります。意識したことがない方が多いかもしれません。この機会に、ぜひ正しい塗り方をマスターしてください。
基本の塗り方
ステロイドを塗るときには、「部位」「量」「期間」をきちんと守ることが大切です。
「部位」については、医師に指示された箇所に限定して使用し、正常な皮膚にはなるべく広がらないようにしましょう。
「量」は、多ければよいというわけではありません。チューブから出したとき、大人の人差し指で指先から第一関節までの量で、手のひら2枚分の範囲に塗るのが適切な量です。
ゴシゴシと擦り込むように塗るのではなく、指先を使ってポンポンと優しく、軟膏で皮膚を覆うように薄く塗ります。範囲が広い場合は、手のひらを使いながら塗りましょう。
炎症がおさまっていないうちに使用をやめると、症状が再燃してしまうかもしれません。良くなるまでしっかり使うことが大切です。もし、赤みやかゆみなどの症状が悪化する・全く良くならないようであれば、使用をやめ、医師や薬剤師に連絡しましょう。
保湿剤も塗りたいときは?
どちらを先に塗ってもかまいませんが、保湿剤を先に塗るのがおすすめです。
保湿剤を塗り広げた後に、ステロイドが必要な箇所にピンポイントで塗っていきましょう。
ステロイドを先に塗ってしまうと、その後に保湿剤を塗り広げるときにステロイドも広がってしまい、効果が十分に得られない可能性があるためです。
ステロイドは危険じゃないの?
ステロイドは危ない、副作用が多いというイメージをお持ちの方は少なくありません。怖いという理由でステロイドの使用量が不十分だと、炎症がおさまらず、ステロイドをダラダラと使うことになってしまいます。
ステロイドは体の中で作られているホルモンの一種で、炎症を抑える「消火器」のような役割のもの。炎症が強いときには、ステロイドで素早く炎症を抑える方がよいのです。
「ステロイドを使うと皮膚が黒くなる」と心配される方がいます。これは、ステロイドの副作用ではなく、皮膚の炎症が落ち着いたあとの「色素沈着」です。半年ほどかけて徐々に色は元に戻りますので、安心してください。そのほか、皮膚が薄くなる・体毛が濃くなる・ニキビができるといった副作用も、ステロイドの使用をやめれば元に戻る副作用です。
まとめ
今回は、リンデロン-V軟膏の効果や使い方についてご紹介しました。
リンデロン-V軟膏は、医療用だけでなく市販薬としても販売されており、とても使いやすいステロイドの塗り薬です。お困りの皮膚症状があるときには、正しい塗り方を意識して使用してみてください。