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更新日:2022/04/27
家庭用血圧計の選び方とおすすめ製品〜ガイドライン推奨の血圧測定方法を踏まえて〜

今、高血圧の患者さんは日本だけで約4300万人もいると言われ、非常に身近な疾患です。
そのため、薬で治療中の方に限らず、家庭で血圧を測定し、自己管理していくことがとても重要であると言われています。
しかし、いざ血圧計を購入しようと思っても、たくさんある製品の中からどれを選んだらいいのか悩みますよね。
そこで今回は血圧計について、種類や血圧計の正しい活用法などを解説した上で、おすすめの商品をご紹介させていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

血圧計は本当に必要なの?

血圧が高いというだけではなかなか自覚症状が出ないですが、その状態を放置すると心臓や脳など、さまざまな臓器に影響を及ぼし、致命的な疾患に繋がることもあります。
たかが高血圧と油断せずに、日頃から自分の血圧状態を把握しておくことが重要です。
「月に1回は病院で血圧を測ってもらっているし、それで十分でしょ?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、病院で測定する際、時間などの条件はいつも一定ではないでしょうし、病院では緊張して血圧が上がってしまうという人(白衣高血圧)、逆に病院では血圧が低く出て高血圧状態に気づかれない人(仮面高血圧)もいます。
血圧は1日の中でも変動があるため、落ち着いて一定の条件で測定しなければ、正確に血圧状態の変化を捉えることができません。
そのため、最新の高血圧治療ガイドラインでも医師が診察時に測る血圧よりも家庭で測る血圧の方が重要であると認められています。
家庭での血圧測定が推奨される現在では、血圧計は必要不可欠なアイテムと言えるでしょう。

血圧計の種類と特徴

市販の血圧計は、上腕式(カフ式)上腕式(アームイン式)手首式に分けることができます。

<上腕式(カフ式)>
カフと呼ばれる測定部分を、自分で上腕に巻きつけて測定するタイプの血圧計です。
家庭用の血圧計の中では最もメジャーであるため、幅広い製品の中から選択することができます。
ただ、正確な値を出すためには巻く位置がブレないようにしないといけないため、カフの巻き方などに少しコツが必要です。

<上腕式(アームイン式)>
腕を差し入れるだけで簡単に測定できる、病院や薬局などでもよく置いてある血圧計です。
他のタイプと比較すると測定精度が最も高いとされています。
ただその分値段は高く、本体が大きく場所を取るというデメリットもあります。

<手首式>
測定部分と本体が一体となっており、手首に巻くだけで測定ができます。
値段がお手頃なのと、コンパクトに持ち運びができるため、旅行中など、出先で血圧を測定するときにも便利です。
しかし、測定にはコツがかなり必要で、測定精度は不安定であると言えるでしょう。

血圧計が購入できる場所

血圧計は特定管理医療機器というものに属しますが、販売にあたっては、病院や薬局に限定する決まりはなく、家電量販店やホームセンターなどでも購入できます。
その他、スーパーやディスカウントストアで取り扱っているところもあるでしょう。
もちろんインターネットでも購入することが可能です。

家庭での血圧測定の方法

血圧計を選ぶ前に、日常生活にどのように血圧測定を組み込むかをシュミレーションしてみることをオススメします。
血圧測定は気になった時に測定するだけではなく、可能であれば毎日継続して行うことが理想です。
「そうは言っても、いつ測ればいいの?」と疑問に思われる方も多いと思います。
日本医師会が作成する高血圧ガイドラインでは「朝と晩の1日2回のタイミングで、それぞれ2回ずつ測定すること」が推奨されています。

<朝と晩の中で測るタイミングは?>
せっかく測定するのであれば、より信頼できるデータにしたいですよね。
そのため、朝晩の中でもなるべく毎日同じ条件下で測定する必要があります。
食事や体内水分量の影響を少なくするため、可能であれば以下の条件で測定するとさらに好ましいとされています。

【朝】
・起床後1時間以内
・排尿後
・お薬を飲む前
・朝食前
・座位で数分安静にしてから

【晩】
・寝る前
・座位で数分安静にしてから

もし最初から1日2回測るのが難しいということであれば、脳卒中などの合併症は早朝の血圧が高い人で起こりやすいと言われているため、まずは1日1回朝の測定を行うようにしましょう。

<測るたびに値が違う場合は?>
どの血圧計であっても、複数回連続で測定した際、異なる値が出ることがあります。
ここで「最初に測った方は少し高いし、先生に怒られるの嫌だから低い方だけ書いておこう」という方がたまにいらっしゃいますが、それは避けましょう。
また、毎回違う値が出るからと何度も測定される方もいらっしゃいますが、たくさん測定するのも負担になりますし、それほど意味もありません。
そこで、それぞれのタイミングにつき2回の測定を行い、その平均を記録することが推奨されています。

<記録はどのようにすればいい?>
血圧は測っておしまいではなく、記録していくことで十分にその意義を発揮することとなります。
一回一回の測定だけでは判断できなくても、日々の変化を追うことで、自身の血圧傾向を知ることができるでしょう。
数値のみを記録するだけでももちろん構いませんが、可能であればグラフに記して行った方がより分かりやすいでしょう。
血圧の記録専用の血圧手帳というものが存在し、病院や薬局で購入できるところもありますし、インターネットでダウンロードすることも可能です。
また、スマホなどに対してある程度の馴染みがある人であれば、血圧計と連動して測定値を自動で記録してくれるアプリもあります。(対象製品の購入が必要)
アプリによっては、そのまま紙媒体に印刷もできるため、医療機関受診の際に医師に見せるデータもすぐ作成することができますよ。

おすすめの血圧計

以上のような、推奨されている家庭での血圧測定方法を踏まえた上で、おすすめの商品をご紹介させていただきます。

<上腕式(カフ式)のおすすめ>
オムロン 上腕式血圧計 スタンダード19シリーズ HCR-7202(型式:HCR-7202)

家庭用電子血圧計で世界NO.1のシェアを誇るオムロン。
測定値の精度を高めるべく、カフの巻き方をしっかりサポートしてくれる製品が多いです。
こちらの製品にも「フィットカフ」という、片手で簡単に巻けるフィット性の高いカフを採用してる上に、カフがしっかり巻けているか測定前に確認してくれる「カフぴったり巻きチェック」機能もついています。
初心者でも安心して使えて、シンプルかつ精度の高い測定値を求める方におすすめです。

オムロン 上腕式血圧計 HEM-7600シリーズ(型式:HEM-7600T)

手首式のように本体とカフが一体化している上腕式血圧計です。
カフは装着の向きを気にせず、右腕・左腕関わらず簡単に装着することができます。
チューブがないスタイリッシュなデザインが特徴的で、テーブルなどに置いていても邪魔にならず、血圧が気になった時にすぐに測定することが可能です。
アプリとしての評価も高い「OMRON connect」に連動させることができるため、スマホでデータ管理が可能です。

<上腕式(アームイン型)のおすすめ>
オムロン デジタル自動血圧計 HEM-1020(型式:HEM-1021)

手の甲までしっかり置け、かつ「正確測定サポート機能」が測定姿勢を丁寧にサポートしてくれるため、アームイン式の中でもより正確な計測を可能にした製品です。
10分以内に測定した直近3回分の平均値を出してくれるため、自分で計算する手間を省くことができます。
また、朝と夜で別々に平均値を出してくれる機能もあり、スマホ連動がなくとも自分で記録する際にありがたい機能が満載です。

アームイン血圧計 テルモ電子血圧計ES-P2020DZ

テルモ製の血圧計は結果の数値が大きく表示され、高齢の方でも見やすいように配慮されているものが多いです。
また、現在流通している家庭用血圧計のほとんどが「オシロメトリック法」というものを採用しているのに対して、こちらのアームイン型のモデルは「リバロッチ・コロトコフ法」という医師が聴診器を用いて血圧測定を行う時と同じ、血管音を検出して測定する方法を採用しているのも大きな特徴です。
アームイン式のタイプとしてはコンパクトであるため、場所もそれほど取りません。

<手首式血圧計のおすすめ>
血圧計 CH650F [手首式]

時計で有名なシチズンから発売されている血圧計の中で、最もシンプルな手首式血圧計です。
シンプルながらも、60回分のメモリー機能や、過去3回分の平均記録機能が備わっており、さらに測定中に脈の間隔が不規則な場合は知らせてくれます。
手軽に使いたい血圧計をお探しの方におすすめの製品です。

HEM-6233T

手首型では値がブレやすいという難点を克服するべく、測定姿勢ガイド機能を搭載。
測定時の心臓との高さの位置関係をチェックしてくれるので、より信頼できる測定データが得られるようになっています。
「OMRON connect」対応のため、手首式としてはお値段が少し高めです。

まとめ

血圧計の種類や測定方法、またおすすめの商品を紹介させていただきました。
高血圧の人の割合が多い日本において、血圧計は日常の健康管理を担う重要なアイテムであると言えます。
たくさんの製品が発売されていますが、家庭によって、どのような種類が合っているかは異なりますので、推奨されている家庭での血圧測定方法も踏まえ、ご自身に合った血圧計を選んでいただくことが大切でしょう。
血圧計の購入を検討されているあなたにとって、この記事がお役に立てば幸いです。