

OTC類似薬とは?2027年3月から何が変わるのかを薬剤師が解説
「病院でもらっている薬が、来年から高くなるらしい」「全額自己負担になるって本当?」と、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
先に答えをお伝えすると、OTC類似薬とは、市販薬と成分や使い方が同じ処方薬のことです。2027年3月1日から、これらの薬を処方されると、薬代の4分の1が上乗せされます。
全額自己負担になるわけではなく、子どもや入院中など、上乗せされない場合もあります。
この記事では、何が変わるのか、いくら増えるのか、自分が当てはまるのかを、厚生労働省の資料をもとに薬剤師が解説します。


第1章 OTC類似薬とは?|市販薬と成分や使い方が同じ処方薬
OTC類似薬とは、市販薬と「成分・使い方・1日の最大量」が同じ処方薬のことです。
OTC類似薬の決め方
厚生労働省は、市販薬(OTC医薬品)と比べて、次の3つが同じ処方薬を対象にしています。
・成分が同じ
・使い方(飲む・塗るなど)が同じ
・1日の最大量が同じ
同じ成分でも、使い方や1日の最大量が市販薬と違う処方薬は、対象に入りません。


対象は77成分・1042品目
厚生労働省の資料では、対象は77成分・1042品目です。
解熱鎮痛薬、去痰薬(たんを出しやすくする薬)、便秘薬、抗アレルギー薬、胃腸薬、皮膚の保湿剤などが入っています。
対象の成分には、たとえば次のものがあります(かっこの中は、よく知られた薬の名前)。
・痛み止めのロキソプロフェン(ロキソニン)
・アレルギーの薬のフェキソフェナジン(アレグラ)
・保湿剤のヘパリン類似物質(ヒルドイド)
対象の成分と薬の一覧は、厚生労働省のページで公開されています。一覧は、原則として毎年4月1日に見直されます。


第2章 2027年3月から何が変わる?|薬代の4分の1が上乗せ
2027年3月1日から、OTC類似薬を処方されると、薬代の4分の1を別に払うことになります。
上乗せは「薬代の4分の1」。全額自己負担ではない
今は、処方された薬の代金の1〜3割を払っています。
2027年3月からは、OTC類似薬の代金の4分の1が「別途の負担」として上乗せされます。残りの4分の3には、今までどおり保険が使えます。
SNSなどでは「全額自己負担になる」「病院の湿布が市販の値段になる」という話も見かけますが、決まった制度とは違います。


いくら増える?厚生労働省の例
厚生労働省は、3割負担の人の例を示しています。
表の金額は薬の代金だけで、診察代や薬局での調剤の費用は入っていません。
同じ資料には市販薬の値段の目安(ネットで確認できた最安値)もあり、抗アレルギー薬は約1,000円です。
まだ決まっていないこと
・消費税:上乗せ分に消費税がかかるかは、まだ決まっていません。厚生労働省は、2026年末を目途に示すとしています。
・対象の一覧:毎年4月1日に見直されるため、対象の薬が変わることがあります。
この記事は、2026年10月時点の厚生労働省の資料をもとにしています。


第3章 自分は上乗せされる?|上乗せされない9つの場合
上乗せされるかどうかは、処方するときに医師が判断します。
上乗せされない9つの場合
次のどれかに当てはまるときは、OTC類似薬を使っても上乗せされません。
このほか、2029年3月末までの特別な扱いとして、重い変形性膝関節症に使う湿布なども上乗せされません。
気をつけたい3つの点
・花粉症の薬や、痛いときだけ飲む薬:季節の間だけ使う薬や、症状があるときだけ飲む薬(頓服)は、「長く使う必要がある」には入らず、原則として上乗せされます。
・がんの治療中でも:花粉症やかぜなど、がんと関係のない症状に使う薬は上乗せされます。がんの治療が終わったあとも、原則として上乗せされます。
・決めるのは医師:自分で「当てはまる」と決めることはできません。毎日使っている、妊娠している、などは受診のときに医師に伝えてください。




第4章 処方を続ける?市販薬に替える?|薬剤師の考え方
上乗せがあっても、必要な受診は今までどおり続けてください。
必要な受診は今までどおり
厚生労働省は、この制度は処方を控えることを目的にしたものではない、としています。必要な受診は、これからも今までどおりできます。
薬代を気にして受診をやめると、病気に気づくのが遅れたり、症状が長引いたりすることがあります。
次のようなときは、市販薬で様子を見ずに受診してください。
・初めて出た症状や、いつもと違う症状がある
・症状が強い、またはだんだん悪くなっている
・市販薬を説明書の目安どおりに使っても、よくならない


市販薬に替えるときの注意
同じ成分の市販薬があっても、処方薬とまったく同じとは限りません。
たとえばフェキソフェナジンは、処方薬では皮膚のかゆみにも使いますが、市販薬で認められているのは鼻のアレルギー症状だけです。
市販薬には、使える年齢や、使ってはいけない人が決められているものもあります。
市販薬は保険が使えないので、代金は全額自分で払います。受診しないぶん、診察代や薬局での調剤の費用はかかりません。
次の人は、替える前に、お薬手帳を持って薬局の薬剤師に相談してください。
・持病がある、ほかの薬も飲んでいる
・妊娠中、授乳中
・子どもや、高齢の方が使う






第5章 OTC類似薬のQ&A
Q1.自分の薬が対象か、どう調べればいいですか?
A:厚生労働省の「対象医薬品リスト」で、薬の名前を探せます。ただし、リストに載っていても、上乗せされない場合があります(第3章)。
2027年3月からは、処方箋に「一部保険外療養」という欄ができます。対象の薬のうち、上乗せされる薬には「○」、上乗せされない薬には「―」が付きます。わからないときは、お薬手帳を持って薬剤師に聞いてください。
Q2.上乗せ分は、どこで払いますか?
A:院外処方なら薬局で、院内処方なら病院や診療所で払います。
Q3.先発品(ブランドの薬)を使っていると、二重に払いますか?
A:二重には払いません。OTC類似薬として上乗せされる薬には、先発品を選んだときの追加の料金(長期収載品の選定療養)はかかりません。


Q4.2027年3月より前にもらった処方箋は、どうなりますか?
A:上乗せされません。3月1日より前に出た処方箋は、3月1日以降に薬局に出しても、上乗せの対象になりません。
Q5.花粉症の薬や、痛いときだけ飲む薬も上乗せされますか?
A:原則として上乗せされます。季節の間だけ使う薬や、症状があるときだけ飲む薬(頓服)は、「長く使う必要がある」場合に入らないためです。
まとめ|OTC類似薬は薬代の4分の1が上乗せ。受診は今までどおり


☆4分の1の上乗せ
2027年3月1日から、OTC類似薬の代金の4分の1が上乗せされます。全額自己負担ではありません。
☆子どもや入院中は対象外
がんや難病に関係する症状に使う場合や、長く使う必要がある場合なども上乗せされません。判断するのは処方する医師です。
☆受診は今までどおり
薬代を気にして、必要な受診を控えないでください。
☆替えるなら薬剤師に相談
同じ成分でも、市販薬は効能や使える人が違うことがあります。
気になることがあれば、お薬手帳を持って、かかりつけの薬剤師に気軽に相談してください。
【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公的機関・学会・メーカーの公式情報を参考にしています。
・厚生労働省|OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて
・厚生労働省|OTC類似薬の一部保険外療養 制度の概要(PDF)
・厚生労働省|一部保険外療養についての通知(PDF)
・厚生労働省|一部保険外療養の費用の計算方法(PDF)







