bannerbanner sp
お薬コラム
Medication Column List
画像
更新日:2025/08/19

インフルエンザと風邪の違いは?症状の見分け方と受診の目安を薬剤師が解説

「熱があるけど、これって風邪?それともインフルエンザ?」そんな不安を抱く方は多いはず。

 

特に流行期は見分けがつかず戸惑いますよね。

 

本記事では薬剤師の視点から、インフルエンザと風邪の違いを症状の特徴や進行の速さなどから整理し、受診の判断に役立つ情報をまとめました。

薬剤師ライター クロロボ

第1章|原因と流行時期の違い

風邪の原因は多彩なウイルス

風邪の正体は「ひとつの病気」ではありません。

ライノウイルスやコロナウイルス、アデノウイルスなど200種類以上のウイルスが原因となります。

この多様さが「風邪薬が特効薬にならない」理由です。

There are 200 types of viruses...no wonder there's no magic cure!

薬剤師として現場に立っていると、「風邪は治す薬がないんですか?」とよく質問されます。

実際には原因ウイルスをピンポイントで叩く治療薬は存在せず、症状を和らげる薬で自然回復を待つことになります。

 

インフルエンザの原因は限定的

一方でインフルエンザは、インフルエンザウイルス(A型・B型)によって発症します。

C型も存在しますが、症状は軽く、大流行を起こすことはありません。

つまり 風邪=多彩なウイルス」「インフル=特定のウイルス が引き起こす──この違いが大きなポイントです。

インフルは原因が絞られてる分、薬もワクチンもピンポイントで効かせやすいんです。

 

流行時期の違い

風邪は一年を通して発症します。

季節の変わり目や疲労、冷暖房の影響でもかかりやすく、誰にでも身近です。

一方で インフルエンザは12月〜3月が流行ピーク

乾燥と低温がウイルスの活動に適しており、冬場に一気に流行します。

 

要点まとめ

・風邪:200種類以上のウイルスが原因、通年で発症
・インフルエンザ:A型・B型が原因、12〜3月に流行
・覚え方:「風邪は通年、インフルは冬の流行」

第2章|症状の違いを比較して見分ける

進行スピードの違い

風邪は数日かけて徐々に症状が強くなるのが一般的です。

「なんとなく喉が痛い」「少し鼻水が出る」といったサインから始まり、だんだん発熱や咳に進行します。

これは、風邪の原因となるウイルス(ライノウイルスなど)が体内で増えるスピードが比較的ゆるやかだからです。

免疫反応も穏やかに起こるため、発症の進み方も緩やかになります。

一方、インフルエンザはまったく違います。

インフルエンザウイルスは増殖スピードが非常に速く、短時間で体内に大量に広がります。

それに対抗する免疫反応も一気に強く出るため、突然の38℃以上の高熱や全身の関節痛・倦怠感が一斉に現れるのです。

 

風邪とインフルエンザの症状の比較表

項目 風邪 インフルエンザ 発熱 微熱(37℃前後) 高熱(38℃以上) 倦怠感 軽め 強い 咳・鼻水 主な症状 出るが全身症状が強い 頭痛・関節痛 まれ 強く出やすい 発症スピード 徐々に進行 急激(数時間〜半日)

表で整理すると、インフルエンザは「全身に急激に広がる病気」であることが明確になります。

風邪は局所的な喉や鼻の症状が中心なのに対し、インフル全身の免疫が総動員されて戦っている状態といえます。

一気にだるくなるのは、体が全力でウイルスと闘ってる証拠なんだね~。

要点まとめ

・風邪は「ウイルスの増殖がゆるやか → 徐々に症状が強まる」。
・インフルは「ウイルスの増殖が爆発的に速い → 急に全身症状が出る」。
高熱+全身症状+急激な発症=インフルエンザの可能性大

第3章|セルフケアと受診の目安

セルフケアの基本

風邪やインフルエンザの症状が出たとき、まず大切なのは水分補給と安静です。

発熱や発汗で体内の水分が失われるため、スポーツドリンクや経口補水液などを少しずつこまめにとると安心です。

次に重要なのが室内の加湿

乾燥した空気は喉や鼻の粘膜を傷め、回復を遅らせる原因になります。

加湿器を使うか、濡れタオルを下げるなどして湿度を保つと呼吸も楽になります。

濡れタオル作戦、昔ながらだけどけっこう効くんだよね~

市販薬を使う場合は、症状ごとに選ぶことがポイントです。

・解熱鎮痛薬:高熱や頭痛、関節痛に。

・咳止め:咳がつらいときに。

・のどの痛み用トローチやスプレー:局所的な痛みの緩和に。

 

受診の目安

一方で、セルフケアだけでは対応が難しい場合もあります。

特に次のような症状があるときは、早めに受診してください。

・38℃以上の高熱が続く
・強い倦怠感や関節痛で動けない
・高齢者・子ども・持病がある方はリスクが高く、早期の医療介入が安心。

医療機関ではインフルエンザ検査や、必要に応じて抗インフルエンザ薬の処方が行われます。

これにより症状の期間を短くし、合併症を防ぐことが可能です。

検査と治療は“安心の切符”になります。症状が強いときほど早めが大切です。

要点まとめ

・セルフケアは「水分・安静・加湿」が基本。
・市販薬は症状ごとにピンポイントで使用する。
38℃以上の発熱や強い全身症状、リスクの高い人は早めに受診
「自己判断に頼りすぎず、不安なら受診」が安全

第4章|よくある質問(Q&A集)

Q1. インフルエンザと風邪を家で確実に見分ける方法はありますか?

自宅で完全に見分けることはできません。
ただし、38℃以上の高熱+強い倦怠感や関節痛があればインフルエンザの可能性が高いです。
最近では、第一類医薬品として承認された市販のインフルエンザ検査キットも登場しています。
薬剤師の対面販売だけでなく、薬剤師の説明を受ける形でネット購入も可能です。
ただし精度には限界があるため、陰性でも症状が強ければ必ず受診してください。

 

Q2. インフルエンザの検査はいつ受けるのが良いですか?

一般的には、発症から12時間以上経過すると検査の精度が上がるとされています。
しかし、強い症状(高熱や倦怠感)がある場合は待たずに受診してください。
特に高齢者や子どもは重症化リスクが高く、早期の医師の判断が重要です。

 

Q3. 風邪とインフルエンザ、薬の違いは?

風邪は市販薬で症状を和らげる対症療法が基本です。
解熱鎮痛薬や咳止め、のどの薬などを症状ごとに選んで使います。
一方、インフルエンザは抗インフルエンザ薬が処方される場合があり、医師の診断が必須です。
風邪薬は症状を和らげるだけ、インフル薬はウイルスを抑える点が違います。

 

Q4. インフルエンザと新型コロナの違いは?

どちらも発熱や全身症状が出ますが、嗅覚・味覚異常は新型コロナで目立ちやすい特徴です。
また、インフルは冬季に集中して流行しますが、コロナは季節を問わず波が繰り返される点も違います。

 

Q5. 子どもや高齢者が風邪かインフルかわからない場合、どうすべき?

高リスク群では自己判断せず受診を優先してください。
乳幼児や高齢者は重症化しやすいため、早めの診断と適切な治療が安全です。
家庭内での感染拡大を防ぐために、マスクや手洗いも欠かせません。

 

まとめ|インフルと風邪を見分けるポイント

・原因の違い:風邪は200種類以上のウイルス、インフルはA・B型が中心。
・流行の違い:風邪は通年、インフルは冬に流行。
・症状の違い:風邪は緩やか、インフルは急に高熱+全身症状。
・ケアの違い:風邪は市販薬で対症療法、インフルは抗ウイルス薬が必要。
・受診の目安:高熱や強い倦怠感、リスクのある人は早めに受診。

 

「風邪かな?」と油断してしまうと、実はインフルエンザだった…というケースは少なくありません。

大事なのは「症状の出方」を正しく理解して、無理せず医療機関を受診すること。

家族や職場に広げないためにも、早めの対応が安心につながります。

 

【参考情報】
この記事の作成にあたり、以下の公式情報を参考にしています。
ご自身での確認や商品選びの際にご活用ください。
厚生労働省|インフルエンザQ&A
国立健康危機管理研究機構|インフルエンザ(疫学情報)