リップバームはリップクリームとどう違う?薬剤師が選ぶおすすめリップバームを紹介
「リップクリームを探しにドラッグストアに来たけど、リップバームって書いている商品もある。これはリップクリームとどう違うの?」
リップバームはリップクリームと同じく唇を荒れや乾燥から守ってくれる働きがありますが、より油分が多く潤いをキープする力が強めのリップケア用品です。
このコラムではリップクリームとの違いを踏まえながら、リップバームの特徴や活躍場面をご紹介させていただきます。
また、後半では数あるリップバームの中でも医薬品や薬用と呼ばれる医薬部外品のリップバームについて、薬剤師目線での選び方、またおすすめ製品をお伝えさせていただきますね。
リップバームとは?
リップバームとは英語ではRIP(唇)の BULM(塗り薬)と書き、唇に塗る軟膏を指します。
唇の乾燥防止や、刺激から守ってくれる働きの他に、リップメイクの下地として用いられることもあります。
リップクリームの一種とも捉えられますが、テクスチャーや容器の違いなど、特徴が異なる部分も見受けられるため、詳しくご説明させていただきますね。
リップバームとリップクリームの特徴の違い
リップクリームとリップバームははっきりした定義を持つわけではありませんので、全てまとめてリップクリームと呼ばれていることもありますし、海外では逆にリップバームの呼び名の方が主流です。
ただ、現在市場で流通している製品の中では、以下のようなテクスチャーや容器の形状、また使い方などで名称が分かれる傾向があります。
テクスチャーの違い
リップバームは、油分が多く、こってりとした質感であることが多いです。
油分が唇をしっかりと保護し、潤いを長くキープしてくれるため、寝る前などしっかり保湿したい方におすすめです。
それに対し、リップクリームはバームに比べると、サラっとした使い心地で唇になじみ、使用後ベタベタしにくいという特徴があります。
ベタつきが苦手な方や、日中こまめに使用するといった方におすすめです。
容器の違い
リップバームは、油分が多く固まりにくいため、小型の缶や壺などに入ったジャータイプが多くなっています。
使用にあたっては指や綿棒を使って唇に塗布する必要があり、指で直接使用する場合は衛生面の不安がありますし、使用後の指先のベタつきも気になるところです。綿棒などを使用する場合は、手間はありますが、長期間衛生的に保つことも可能ではあります。
それに対し、リップクリームはチューブやスティックタイプのものが多く、直接唇に塗れることから、手を汚さず、片手で手軽に使用できるという利点があります。
ただ、綿棒などに取って使用することはできませんので、唇に直接触れることで逆に衛生面が気になるという方にはリップバームの方がおすすめです。
リップクリームの方が好みに合っていると感じた方は、こちらのコラムもご参照ください
・リップクリーム全体について(医薬品、医薬部外品、化粧品の違いについて)
・医薬品のリップクリームの選び方、おすすめ製品について
・医薬部外品(薬用)のリップクリームの選び方、おすすめ製品について
リップバームの種類
リップバームには医薬品、医薬部外品(薬用)、化粧品の3種類が存在しており、有効成分の有無や目的が異なります。
医薬品 | 医薬部外品 (指定医薬部外品) |
化粧品 | |
目的 | 「病気の治療や予防」 | 「防止」「衛生」 | 「美化」「清潔」「健やかに保つ」 |
販売 | 薬局、ドラッグストア | コンビニ、スーパーなどでも購入可能 | コンビニ、スーパーなどでも購入可能 |
有効成分 | 含まれる | 含まれる | 含まれない |
どんな人に | すでに唇の荒れが起きている人 | 唇が荒れないように予防したい人 | 潤いを保ち、唇を健康的に保ちたい、また、綺麗に見せたい人 |
「医薬品は唇の荒れがひどい方の治療目的」「医薬部外品は唇の荒れを事前に防ぐ目的」「化粧品は唇を健康的に、また綺麗に保つ目的」で、それぞれ作られています。
また、医薬品と医薬部外品のリップバームには厚労省が効果を認めた有効成分が含まれていますが、化粧品には含まれていないという違いもあります。
購入することができる場所なども踏まえながら、自分の症状や好みなどに合ったものを選ぶのが重要であると言えるでしょう。
リップバームの選び方のポイントは?
現在の唇の状態で選ぶ
基本的には、現在の唇の症状に合わせて分類を選ぶことをおすすめします。
すでに唇の荒れがひどく、治療を目的とする場合は、医薬品のリップバームを選ぶといいでしょう。
現在の炎症がそれほどひどいわけではないけれど、炎症を抑える成分などを用いて、荒れを防止したい人は医薬部外品のリップバームがおすすめです。
今現在は症状がなく、潤いをもたせたい場合は化粧品のリップバームで十分対応可能ですよ。
容量で選ぶ
リップバームを指先で使用する場合はどうしても手に付着していた菌などが混入して、容器内で繁殖してしまう可能性もあります。
開封後は長期保管を避けるためにも、なるべく最低でもワンシーズンで使い切れる容量を選びましょう。
使用感で決める
香料や、メントールの有無での使用感で製品を選ぶという方法です。
メントールが入っているものはミントのようなスーッとした清涼感を感じることができますが、唇が敏感な人などはメントールなどが刺激になる可能性もあるため、そういった場合は無香料のものから選ぶ方が良いでしょう。
また、薬用ではあっても、ハチミツなどの香料が含まれる製品もあり、ケアをしながら香りを楽しむこともできますよ。
おすすめのリップバーム5選
唇の荒れがあり、治療したい方に!医薬品のリップバーム
メンソレータムメディカルリップb
有効成分:トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE誘導体) 、dl-メントール 、グリチルレチン酸 、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、アラントイン、セチルピリジニウム塩化物水和物
分類:医薬品
容量:8.5g
使用感:メントールあり
特徴:口唇炎や口角炎といった症状に効果を示す、医薬品のリップバームです。
炎症を抑えるグリチルレチン酸や、荒れた唇の回復を促すビタミンB6、ビタミンE、アラントインが含まれます。
また、殺菌・消毒成分のセチルピリジニウムも配合されることで、荒れた箇所に細菌が入り込み、化膿しないよう防いでくれます。
ユースキン リリップキュア
有効成分:アラントイン、グリチルレチン酸、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、パンテノール
分類:医薬品
容量:8.5g
使用感:メントールなし
特徴:抗炎症成分に組織修復成分や血行促進成分が加わることで、荒れた唇の回復を促します。
また、グリセリンを高配合したモイストグリップ処方で唇の潤いを保ちつつ、添加物であるワセリン、スクワラン、オリブ油が唇を外部の刺激から守る設計となっています。
コンビニなどで手軽に購入できる医薬品に劣らない薬用バーム
薬用メディカルリップバームM
有効成分:ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、アラントイン、グリチルレチン酸、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)、dl-メントール
分類:医薬部外品(指定医薬部外品)
容量:8.5g
使用感:メントールあり
特徴:こちらの製品は数年前まで医薬品として販売されていましたが、安全性の高さから、コンビニやスーパーなどでも手に入るように分類が変更されました。
そのため、医薬部外品の中でも、指定医薬部外品という分類に属しています。
抗炎症作用のあるグリチルレチン酸に加え、ビタミンやアラントインなどが複数配合されることで、荒れた唇の回復を多方面からサポートします。
敏感肌向けの薬用バーム
キュレル リップケアバーム
有効成分:グリチルレチン酸ステアリル
分類:医薬部外品
容量:4.5g
使用感:無香料
特徴:敏感肌のケアにこだわったキュレルシリーズから販売されているリップバームです。
同じシリーズにはスティックタイプのリップクリームもありますが、こちらは油分が多いリップバームの特性を活かし、夜寝ている間にしっかり潤いを閉じ込めパックのように使用することが推奨されています。
無香料、無着色かつアルコールフリー、さらにアレルギーテストやパッチテストもクリアしているため、刺激に敏感な唇の方でも、比較的安心して使っていただけるでしょう。
香りも選べる、寝る前におススメの薬用バーム
ニベア ディープモイスチャーナイトP
有効成分:グリチルレチン酸ステアリル、ビタミンE
分類:医薬部外品
容量:7g
使用感:無香料、はちみつの香り
特徴:2つの有効成分(ビタミンE・グリチルレチン酸ステアリル)が唇の荒れに対して働きかけると共に、5種類の保湿成分が、寝ている間に唇をしっかり保湿します。
保湿成分の中にはハチミツも含まれますが、その香りを引き出した製品も販売されているため、好みに合わせて香りの有無を選ぶこともできますよ。
まとめ
リップバームについて、リップクリームとの違いや特徴、また、医薬品や医薬部外品のリップバームについて、選び方のポイントやおすすめの製品もご紹介させていただきました。
リップクリームと比べると、リップバームは油分が多く、ベタつきのある質感であるため、唇の潤いをキープする力に長けています。
そのため、日中なかなか塗り直しできない方や、夜寝ている間の保湿などにおすすめの製品です。
唇の荒れがひどい方は医薬品から、荒れを防止したい人は医薬部外品(薬用)のリップバームから製品を選ぶことをおすすめします。
その際は、容器のサイズやメントールの有無などの使用感もポイントにしてはいかがでしょうか。
このコラムがリップバームについてお悩みのあなたにとって、お力になれれば幸いです。