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お薬コラム
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更新日:2022/10/10
不快なお腹の張り、腹部膨満感に効く市販薬は?さまざまなジャンルから薬剤師がおすすめ

「お腹がゴロゴロして気持ち悪い」「便秘でお腹が張って苦しい」「ゲップやオナラが増えた」

こういった症状は『腹部膨満感』と呼ばれる、お腹の中にガスが溜まっている状態が考えられます。

腹部膨満感については、ガスが溜まっている原因を知り、対策することが第一ですが、市販薬を用いることでも、不快で辛い症状を改善することが可能です。

このコラムでは、腹部膨満感に関して、基礎知識や原因、選び方のポイントを踏まえたおすすめ市販薬をお伝えさせていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

腹部膨満感とは?

腹部膨満感とは、お腹の中にガスが溜まることで、お腹が張ったように感じられる状態です。
人間の消化管内では常にガスが発生しており、吐く息やオナラと共に排出されるようになっています。
しかし、ガスの産生と排出のバランスが崩れると、ガスが消化管内に溜まり、お腹の張りを始めとし、痛みが出たり、過剰なゲップやオナラが出たりします。
また、胃腸機能の低下が原因である場合には、胃もたれ胃の不快感といった症状も一緒に現れることがあります。

腹部膨満感の原因は?

・食物繊維の摂りすぎ
「焼き芋の食べ過ぎで、オナラが出る」というイメージがある人は、少なくないのではないでしょうか。
確かに、根菜類などに含まれる食物繊維が腸内で分解される際は、二酸化炭素が一緒に排出されるため、ガスがいつもより多く溜まりやすくなります。
オナラとして排出されることが多いですが、摂りすぎや、腸の蠕動運動の機能が弱っていると、腸内にガスが溜まっていってしまいます。

・腸内環境の乱れ
腸の中には善玉菌と悪玉菌、また状況によって善玉菌、悪玉菌どちらにも変化しうる日和見菌の3種類がバランスを保って存在しています。
このうち善玉菌は食べ物の消化吸収を助けたり、体の免疫力を高めたりする作用を持ちますが、悪玉菌は有害物質をつくり、腸内の腐敗を進めてしまいます。
「ストレス」「睡眠不足」「脂っこい食事中心の食生活」により悪玉菌の割合が増えることで、腐敗によるガスが発生しやすくなります。

・空気を飲み込みすぎている
体外から取り入れるガスが多すぎるケースで、「呑気症(どんきしょう)」とも呼ばれています。
食事の際に「早食い」「一口のサイズが大きすぎる」こと。
また、「ストレス」「歯の噛み締め」により、唾と一緒に空気を吸い込みすぎていることなどが原因であると言われています。

・胃腸の機能低下、便秘
「ストレス」「胃腸炎」などで胃腸の運動機能が低下すると、腸内に溜まったガスが排泄されずに腹部膨満感につながります。
また、腸の機能低下に関わらず、便秘によって食べカスなどの老廃物が腸内に滞留していると、腸内細菌が分解を繰り返すことで、ガスがどんどん増えてしまいます。
これら胃腸機能の低下や便秘は一過性の原因である場合も多いですが、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの病気が原因となり起きている場合もあるため注意も必要です。

機能性ディスペプシアについて詳しくはこちらのコラムもご参照ください。

効果のある市販薬成分は?

・消泡剤(ジメチルポリシロキサン)
消泡剤という名前の通り、腸内に溜まったガスを消し去る作用があります。
ガスの泡を割ることで、ガスを体外に排出しやすくし、腹部膨満感を解消することができます。
消泡剤ジメチルポリシロキサンについてはこちらのコラムもご参照ください。

・整腸剤
乱れた腸内環境を整えることで、悪玉菌のよるガスの発生を抑える効果があります。
整腸剤には腸の中で働く生菌成分が含まれることが多いですが、含まれる生菌の種類、また特徴は製品によって異なります。
生菌成分の特徴など、整腸剤について詳しく知りたい方はこちらのコラムもご参照ください。

・胃腸機能改善成分、消化酵素
胃腸機能を改善することで、腸内に溜まったガスを排出しやすくします。
また、消化不良によるガス発生を抑えるため、消化機能をサポートする成分も有効です。
消化酵素についてはこちらのコラムもご参照ください。

・下剤(便秘薬)
便秘が続いている状態で、ガスの過剰発生が起きているのであれば、下剤の使用も効果的です。
下剤には腸を刺激するタイプと、便を柔らかくさせて出しやすくするタイプなどがあります。
便秘薬について、選び方など詳しくはこちらのコラムもご参照ください。

・漢方
漢方は上に挙げたような薬とは作用の仕方が異なり、ストレスなどの原因そのものにアプローチしたり、胃全体の機能を高めるような働き(健胃)を持つ生薬を組み合わせたりすることにより、腹部膨満感に効果を示します。
さまざまな種類の漢方が使われますが、その中でも「大建中湯」という漢方は、日本で最も処方されている漢方であり、腹部膨満感を含め、下痢、便秘など幅広い胃腸のトラブルに効果を示します。

腹部膨満感に効く薬の選び方

<即効性を求める人>
腹部膨満感によるお腹の張りや痛みの症状にお困りの方は、今あるガスだまりを改善する効果のある「消泡剤」が含まれている薬がおすすめです。

<胃もたれや胃痛も感じる人>
胃腸機能の低下や消化不良によりガスが発生している可能性があるため、胃腸機能改善薬や消化酵素が含まれる「総合胃腸薬」がおすすめです。

<便秘も併発している人>
ガスの発生源である腸の老廃物を排出する効果のある「下剤」を用いるか、便秘にならないような腸内環境を整えるために「整腸剤」の使用がおすすめです。

<体質から改善していきたい人>
腹部膨満感を起こしている原因そのものにアプローチする「漢方」や、腸内環境を整える効果のある「整腸剤」がおすすめです。

おすすめ市販薬5選

ガスピタン

有効成分:ジメチルポリシロキサン、セルラーゼAP3 、ビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌
特徴:消泡剤ジメチルポリシロキサンに食物繊維の分解酵素であるセルラーゼAP3、また3種類の乳酸菌を配合した、腹部膨満感の改善に特化した製品です。
セルラーゼAP3の効果を最大限に発揮するため、食前、または食間の服用ではありますが、ヨーグルト味のチュアブル錠のため、水を用意しなくても、どこでもサッと噛んで服用することができます。

第一三共胃腸薬プラス

有効成分:タカヂアスターゼN1、リパーゼAP12、有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、オウバク末、ケイヒ末、ショウキョウ末、チョウジ末、ウイキョウ末、l-メントール、アルジオキサ、カンゾウ末
特徴:消化酵素、腸内の環境を整える乳酸菌、胃の機能をサポートする生薬成分、胃酸を中和する成分、胃粘膜を保護する成分と、さまざまな方向から胃腸に働きかける総合胃腸薬です。
腹部膨満感だけでなく、胃痛や胸焼け、食べ過ぎ飲み過ぎによる胃もたれなどにも効果を示します。

ビオフェルミン ぽっこり整腸チュアブルa

有効成分:ビフィズス菌、ラクトミン、ケツメイシエキス、ジメチルポリシロキサン、パントテン酸カルシウム 、ジメチルポリシロキサン
特徴:医療用の整腸剤も古くから手がけるビオフェルミン製薬から販売されている、特に腹部膨満感にアプローチした整腸剤です。
消泡剤ジメチルポリシロキサンに加え、整腸成分としてケツメイシという生薬と、2種類の乳酸菌が含まれます。
パントテン酸による乳酸菌のサポート効果も含まれ、ガス溜まりに多方面から効果を示します。

酸化マグネシウムE便秘薬

有効成分:酸化マグネシウム
特徴酸化マグネシウムは、便に水分を含ませ、やわらかくして出しやすくする成分で、子どもから高齢者まで比較的安全に使うことができます。
クセになりにくいため、初めて下剤を服用するという方にも使いやすいでしょう。

ツムラ漢方大建中湯エキス顆粒

特徴:医療用漢方国内シェアNo.1のツムラが販売する大建中湯です。
大建中湯はコウイ(膠飴)という甘みのある成分が含まれ、比較的飲みやすい漢方であるため、漢方独特の味が苦手な人にもおすすめです。
20包入りと48包入りがあります。

まとめ

腹部膨満感に関する基礎知識、原因と、お悩み別のおすすめ市販薬をお伝えさせていただきました。
腹部膨満感はお腹の中のガスのバランスが崩れることで起きます。
原因は食事の癖や内容など、意識的に改善できるものもありますが、ストレスや慢性的な腸内環境の乱れなど、なかなかすぐには解決できないものもあるでしょう。
腹部膨満感に効果のある市販薬には、今あるガスの排出をサポートする消泡剤が含まれているものから、腸内環境のバランスを整える効果のあるもの、胃腸機能全体をサポートするものまで、原因や症状に合わせて幅広い製品があります。
今のご自身の症状に合わせて、選んでいただくことが重要と言えるでしょう。
しかし、腹部膨満感の原因の中には、機能性ディスペプシアなどといった病気が隠されている可能性も潜んでいます。
そのため、市販薬を服用していて2週間程度経ってもなかなか症状が改善されなかったり、どんどん悪化していくようであれば、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
このコラムが腹部膨満感でお悩みのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。