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更新日:2023/04/06

市販薬のボルタレンACゲルについて薬剤師が解説!医療用ボルタレンゲルとの違いは?

ボルタレンは医療用でもお馴染みの薬です。市販でもボルタレンと同成分を含む外用薬が販売されるようになり、多くの方が購入できるようになりました。

 

そのようななかで、「医療用のボルタレンと市販薬のボルタレンACゲルにはどのような違いがあるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、医療用と市販薬のボルタレンにどのような違いがあるのかについて解説します。ボルタレンの特徴や使用上の注意点なども紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター 岡本 妃香里

ボルタレンACゲルとは?

ボルタレンACゲルとは、有効成分としてジクロフェナクナトリウムを含む消炎鎮痛薬です。グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社から販売されています。

発売から10年以上経った今も、ボルタレンのシリーズは多くの人に選ばれている商品です。ボルタレンACゲルは、次のような症状に効果的があります。

• 関節痛
• 腰痛
• 肩こりに伴う肩の痛み
• 筋肉痛
• 腱鞘炎(手・手首の痛み)
• 肘の痛み(テニス肘など)
• 打撲
• 捻挫

ボルタレンACゲルにはメントールが配合されていないため、においが気にならないようになっています。もしも清涼感があるタイプのほうが好みだという人は、同メーカーから販売されているメントール配合のボルタレンEXゲルを選ぶとよいでしょう。

どんな人に向いている?

ボルタレンACゲルは、湿布薬とは違い塗って使うタイプの消炎鎮痛薬です。次のような人にボルタレンACゲルの使用が向いています。

効果が高い消炎鎮痛薬を探している人

ボルタレンACゲルの主成分であるジクロフェナクナトリウムは、市販の消炎鎮痛薬のなかではもっとも効果が高い成分です。そのため、痛みや腫れが強い人に向いています。できるだけ効果が高い市販薬がほしい人は、ボルタレンACゲルを選ぶとよいでしょう。

テープが貼りにくい部位に使用したい人

ボルタレンのシリーズには、湿布薬もあります。患部に有効成分がとどまるため長時間にわたって効果が持続することが特徴です。しかし、湿布薬は肘や膝などの関節部位には貼りづらいというデメリットがあります。

ボルタレンACゲルなら患部に塗るだけで良いので、使用する部位を選びません。そのため、湿布薬が剥がれやすい部位の痛みや腫れが気になる方に向いています。

患部に熱がこもっている人

湿布薬とは違い、ゲルには多量の水分が含まれています。この水分が患部にこもった熱を取り除いてくれるため、熱を取り除きたい人に有効です。冷感タイプのゲルではありませんが、湿布薬と比べると冷却効果が期待できます。

医療用のボルタレンゲル1%との違いは?

医療用のボルタレンゲル1%と、市販のボルタレンACゲルはどちらも同じ成分を同じ量だけ含んでいます。効能効果については記載の仕方に違いはあるものの、基本的に変わりません。

また、どちらもメントール無配合です。このことから、ボルタレンゲル1%とボルタレンACゲルはどちらもほとんど同じ用途で使用できると言えます。医療用のボルタレンゲル1%の代わりに市販のボルタレンACゲルを使用しても何の問題もありません。

ボルタレンACゲルはドラッグストアや薬局などで薬剤師の説明を受けることなく購入できるため、緊急で使用したいときには市販のものを利用すると便利でしょう。

製品名 ボルタレンゲル ボルタレン
有効成分 ジクロフェナクナトリウム ジクロフェナクナトリウム
成分量(1g中) 10mg 10mg
効能効果 変形性関節症、股関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎 (テニス肘等)、筋肉痛 (筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛 関節痛、腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫
用法用量 症状により、適量を1日数回患部に塗擦する。 1日3~4回、患部に塗布してください。

 

医療用のボルタレンゲル1%について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご参照ください。

有効成分ジクロフェナクナトリウムとは?

ジクロフェナクナトリウムは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる薬の仲間です。市販の消炎鎮痛薬のなかではとくに効果が高く、症状がつらい人に向いています。においも少ないので、使いやすい成分と言えるでしょう。

ただし、副作用で光線過敏症が報告されていることには注意しなければなりません。光線過敏症が起こる頻度は不明であり、頻繁に起こるものではありませんが、日光にあたる機会が多い人は注意しましょう。
ボルタレンACゲルを塗った部位が日光に直接当たらないよう、服で覆ったりサポーターをつけたりなどして保護するようにしてください。

使用時の注意点

ボルタレンACゲルは、次の注意点を守って使用しましょう。

すりこまない

すりこむと、せっかく塗ったボルタレンACゲルがポロポロと固まりになって剥がれてしまいます。十分な鎮痛効果が出なくなる恐れがあるので、強くすりこまないようにしましょう。軽くマッサージするように塗るようにしてください。

妊娠中の人は使用しない

ボルタレンACゲルは、妊娠している人や妊娠の可能性がある人は使用できません。胎児の動脈管収縮や閉鎖、徐脈、羊水過少などが起きる可能性があります。

妊娠後期に使用すると、胎児循環持続症や動脈管開存、新生児肺高血圧などが起こることも報告されているため、該当する人は絶対に使用しないでください。胎児や新生児の死亡例も報告されているので十分に注意しましょう。

塗布した部位を日光に当てない

頻度は不明ですが、ボルタレンACゲルの主成分であるジクロフェナクナトリウムは、光線過敏症を起こすことがあります。ボルタレンACゲルの添付文書に光線過敏症についての記載はとくにされていません。しかし、医療用のボルタレンゲル1%の添付文書には光線過敏症について注意書きがされています。高頻度で起こる副作用ではないものの、念のためボルタレンACゲルを塗布した部位は日光に直接当てないように注意してください。

15歳未満の人は使わない

ボルタレンACゲルが使用できるのは、15歳以上の人のみです。15歳未満の人は使用しないでください。15歳未満の人が使用する場合は、インドメタシン(11歳以上から使用可能)やサリチル酸メチルなどを使用した消炎鎮痛薬を使用するとよいでしょう。

まとめ

ボルタレンACゲルは、主成分としてジクロフェナクナトリウムを含む消炎鎮痛薬です。鎮痛効果が高いため、一つ持っておくと何かあったときに役立つでしょう。医療用のボルタレンゲル1%と同じ成分を同量含んでおり、効能効果もほとんど同じです。

そのため、医療用の代わりとして市販のボルタレンACゲルを使うこともできます。妊娠中の人や15歳未満の人は使えないなどの注意点もあるので、正しく使用するようにしましょう。

 

〈参考資料〉
ボルタレンゲル1%| 添付文書 (pmda.go.jp)
ボルタレンACゲル| 添付文書