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更新日:2022/08/31
日焼け

気温が上がってくると共に気になるのが紫外線による日焼けですよね。

日焼けは肌が黒くなる、シミになるなど、美容を損ねるイメージが大きいと思いますが、 それだけでなく、皮膚に負担がかかることで肌荒れが起きたり、ひどい場合は皮膚癌などの病気に繋がったりする事もあります。

紫外線の量は年々増えていっていることが報告されているため1)、単なる日焼けと侮らず、しっかりと予防やケアをすることが大切です。

この記事では日焼けの基本的な情報から予防、ケアの方法まで幅広くお伝えさせていただきます。

監修薬剤師 ハラクロ
薬剤師ライター ひまわりうさぎ

日焼けとは?

そもそも日焼けとは、皮膚が紫外線を浴びることによって、炎症や色素沈着を起こしている状態を総称して指す言葉です。
ただ、実際は原因となる紫外線・症状により「サンバーン」「サンタン」という2種類に分けられるのをご存じでしょうか。

『サンバーン』と『サンタン』

紫外線は波長によってUV-A・UV-B・UV-Cと分けられ、地表まで届くのはUV-AとUV-Bの2種類です。
そのうち、UV-Bが原因で引き起こされる日焼けを「サンバーン」と呼びます。
UV-Bにより皮膚に炎症が起き、『軽度の火傷のような状態』になることで、日光を浴びた数時間後〜数日間に、皮膚が赤くヒリヒリしたり、ひどいときは水ぶくれができたりもします。

これに対し「サンタン」はUV-Aが原因で引き起こされます。
サンバーンによる赤みのある日焼けが終わってから現れる、肌が茶色や黒っぽくなってくる日焼けです。
UV-Aにより皮膚のメラニン色素が大量に生成されることで起こり、皮膚のターンオーバーと共に排出されますが、長ければ数ヶ月かかることもあります。
また、蓄積されたメラニン色素はシミやソバカスの原因となるとも言われています。

人種による日焼けの違い

白色人種など、色白の人はもともとメラニンの合成量が少なく、サンバーンのみで終わることもありますし、逆にサンタンのみが現れるのは、皮膚にダメージを受けにくい黒色人種など、色黒の人が多い傾向があります。
日本人のような黄色人種は、その中間でサンバーン、サンタンが両方起こることが多いですが、元々の肌の性質により、どちらか一方のみ強く現れやすいという人もいます。

日焼けの予防

サンバーンもサンタンも、皮膚にダメージを与えている状態です。
シミやソバカスの発生に繋がるだけでなく、皮膚癌などのリスクも高めてしまうことがわかっています。
そのため、まずは日焼けをしないための予防が大切で、紫外線を浴びないよう皮膚を保護する必要があります。
以下のような対策が推奨されるでしょう。

・日焼け止め(サンスクリーン)の使用
・日傘の使用
・長袖長ズボンなど衣服で肌の露出部を減らす

日焼け止めは、医薬部外品から化粧品に属するものまで幅広い製品が販売されています。
肌や、目的に合ったものを選び、しっかり規定量を守って塗るようにしましょう。
日焼け止めの選び方の詳細については、こちらのコラムもご参照ください。

また、日傘は頭上から刺す紫外線には効果がありますが、アスファルトなどから照り返してくる紫外線は防げないため注意が必要です。
上に挙げたような方法を複数組み合わせるとより良いでしょう。

日焼け後の治療

日焼け直後、サンバーンが起きている時は、皮膚に炎症が起こっている状態です。
そのため、以下のような対応で炎症の症状を緩和させる必要があります。

・患部を冷やす
濡れタオルや冷たい流水、またあれば保冷剤などを入れた氷のうで患部をよく冷やしましょう。
なるべく早く冷やすことで、炎症の広がりを抑えます。

・塗り薬の使用
炎症がひどい場合はステロイドや抗炎症作用のある塗り薬を使用することで炎症を抑えます。
市販でもこれらの塗り薬は購入することができますが、症状がなかなか改善しない場合や悪化する場合は医療機関を受診しましょう。

・医療機関を受診する
日焼けの範囲がかなり広範囲にわたる、水膨れができるほどの強い炎症が起こっている、また頭痛や嘔吐などの全身症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

市販の塗り薬による治療

サンバーンによる日焼けの治療には市販の塗り薬や飲み薬で対応することが可能です。
以下のような薬の使用が効果的でしょう。

・「日焼け」の効能・効果がある医薬品
殺菌・消毒成分に炎症を抑える成分などが配合されている塗り薬で見られる表示です。
ノンステロイドであるため安心です。

・「やけど」の効能・効果がある医薬品
サンバーンにより炎症が起きた皮膚は軽いやけどが起きている状態と同様であるともいえます。
そのため、やけどに対して効果がある医薬品の使用も効果的でしょう。
成分としては「日焼け」に対して効果・効能がある医薬品と同じく殺菌・消毒成分が主になります。

・「皮膚炎」の効能・効果がある医薬品
ステロイド成分を含む塗り薬で見られる表示です。
日焼けによる炎症は医学的には「日光皮膚炎」と呼ばれ、皮膚炎の一種に属します。
日焼けによる皮膚の炎症が強い場合におすすめです。

日焼け後の治療薬に関して、オススメの製品など、詳しくはこちらのコラムもご参照ください。

日焼け後の肌ケア

サンタンは紫外線に対する皮膚の防御反応として色素沈着が起こっているだけであるため、特に治療する必要はないと言われています。
しかしながら、そのまま放置していると肌荒れやシミ・ソバカスの生成に繋がるのは事実です。
そのため、治療ではなく、肌に対して「手当て」や「癒やす」という意味合いでケアを行うことが重要になるでしょう。
日焼け後の肌ケアに対し有効な市販薬には以下のようなものが挙げられます。

・ビタミンC、Lーシステインを含む飲み薬
ビタミンCはメラニンの生成を抑制する作用と、すでに蓄積したメラニンの色素を元に戻す(還元)する作用があり、日焼けの予防、また日焼け後の皮膚にとって良いとされています。
また、Lーシステインは必須アミノ酸の1つで、メラニンを作る酵素を阻害したり、皮膚の新陳代謝、ターンオーバーを促進したりすることで、メラニンの排出をサポートします。

・保湿剤の使用
日焼けした皮膚は角質から水分が奪われて、かなり乾燥した状態です。
保湿剤を使用してしっかり保湿することが、肌荒れを防ぐことにつながります。
しかし、日焼け後の皮膚はいつもより刺激に対して敏感になっているため、普段使用している化粧水やクリームが滲みたりすることもあります。
なるべくなら、敏感肌の人や子供に向けた保湿剤を使用した方が良いでしょう。

日焼け後の肌のケアについて、オススメの製品など詳細についてはこちらのコラムもご参照ください。

まとめ

日焼けの基礎知識や日焼けの予防から治療、ケアまで幅広くお伝えさせていただきました。
一括りに日焼けとまとめられていますが、軽度の火傷のような状態になる「サンバーン」と日焼け後に肌が茶色や黒っぽくなってくる「サンタン」の2種類に分けられ、原因や症状、また対処の方法も異なってきます。
どちらにしても日焼けは皮膚にとって負担がかかる状態であるため、可能な限り予防を心がけ、日焼けしてしまった後は適切な処置を行うようにしましょう。
この記事が日焼けでお困りのあなたにとって、お役に立てれば幸いです。

 

〈参考資料〉
1)紫外線の経年変化(気象庁)