虫除け選びで絶対押さえたい3つのポイントとは？薬剤師が解説

虫除け製品を選ぶ際のポイントを、このコラムでは以下の3つに絞ってお伝えします。

①使う人の年齢
②効果の持続時間
③避けたい虫の種類

それぞれについて詳しく解説いたします。

虫除けの成分によっては年齢や使用回数の制限があることをご存知でしょうか。
虫除けによく用いられている「ディート」という成分は、以下のような年齢・使用制限が設けられています。

・6ヶ月未満の乳児：使用しないこと
・6か月以上2歳未満：1日1回
・2歳以上12歳未満：1日1~3回

また、高濃度の製品（30％）のものになると、12歳未満の子どもは使用禁止とされています。
これは、海外において、目の周りの敏感な皮膚に使用した際のかぶれや、子どもが急速に成分を吸い込んだ場合に、痙攣発作が起きたことで、念のため注意が必要とされているからです。
ただ、ディートは日本で初めて承認された虫除け成分であり、日本においては、副作用の報告はありません。

そのため、年齢による使用制限をしっかり守り、顔などデリケートな部分への使用を控えていれば、過度に怖がる必要はないでしょう。
しかし、年齢による1日の使用回数制限を考えるのが面倒であったり、赤ちゃんや肌が敏感な方が使用したりする場合は、年齢や回数制限のない「イカリジン」配合の製品の使用をおすすめします。

一般的に虫除け成分の濃度が高くなるにつれて、効果の持続時間も長くなると言われています。

例えば、
ディートは10％以下だと3～4時間、12％は6時間、30％は8時間程度が持続時間の目安です。
イカリジン製品に関しても同様で、15％では約8時間、10％では約6時間が効果の目安時間とされています。

ディート製品、イカリジン製品に関わらず、数時間での塗り直しが困難な場合は、効果時間の長い高濃度の製品を用いる方が良いでしょう。
それに対し、近所の公園に1〜2時間など、短時間での活動が決まっている場合は、低濃度の製品でも十分ですよ。

虫除け製品には必ず「対象害虫」が記載されています。
「虫除け」と聞くと、万能で、どの虫にも効くとたまに勘違いもされますが、有効成分や濃度によって、製品ごとに効果のある虫が異なります。
使用シーンによって、何の害虫を避けたいかを想定し、製品の対象害虫に含まれているかを必ず確認しましょう。

特に、山林や草むらに生息し、時に命を奪う恐ろしい害虫「ツツガムシ」を避けたい場合や、水場に多く集団で生息し、大量に刺される危険のある「ヌカカ」を避けたい場合などは、製品ごとに対象害虫に含まれているかどうかが異なるため、要チェックです。

こちらでは、虫除けの使用が想定される場面ごとで、どのような虫除けが適しているかを解説します。

蚊以外にもマダニやブヨなど、危険度の高い虫に刺されるリスクがあります。
塗り直しを忘れたことで効果が薄まり、危険な害虫に刺されないように、効果時間の長いディート30％やイカリジン15％の製品を選ぶと良いでしょう。
行く場所によって、被害に遭う可能性のある害虫を想定し、対象害虫の確認も忘れずに。

《おすすめ製品２選》

有効成分ディートを市販の最大濃度３０％配合した製品で、長時間、幅広い虫に対する効果が期待できます。
ただ、12歳未満の子供には使用できないこと、また、皮膚刺激が強く、副作用のリスクもあることに注意しましょう。
・主成分：ディート30％
・年齢制限：12歳以上〜
・効果時間：約6〜8時間
・対象害虫：蚊、ブユ(ブヨ)、アブ、ノミ、イエダニ、マダニ、サシバエ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ツツガムシ

イカリジン15％含有の製品で、赤ちゃんにも使用可能です。
対象害虫も多いため、家族でアウトドアに行く際におすすめの製品です。
・主成分：イカリジン15％
・年齢制限：なし
・効果時間：最大8時間
・対象害虫：蚊成虫、ブユ、アブ、マダニ、イエダニ、トコジラミ、ノミ、ヌカカ、ヤマビル

子供の年齢に関係なく使用でき、塗り直し回数に制限のないイカリジン製品がおすすめです。
特に年齢の低い赤ちゃんや、肌が弱めの人であれば、無理に高濃度の製品を使わず、低濃度のものや、アルコールフリーのものを選ぶと良いでしょう。

《おすすめ製品２選》

アルコールフリーで、パッチテストやアレルギーテストも実施済みの製品です。
敏感肌の人や赤ちゃんも安心して使用できる設計でありながら、長時間の効果持続が期待できます。
・主成分：イカリジン15％
・年齢制限：なし
・効果時間：約8時間
・対象害虫：蚊成虫、ブユ、アブ、マダニ、イエダニ、トコジラミ、ノミ、ヌカカ、ヤマビル

イカリジン5％の低濃度配合で、対象害虫もそれほど多くはないですが、日常使いにはピッタリの製品です。
ヒアルロン酸Naを配合し、無香料、保存料無添加の低刺激処方のため、肌の弱い方でも安心して使えるでしょう。
・主成分：イカリジン5％
・年齢制限：なし
・効果時間：メーカー記載なし
・対象害虫：蚊成虫、ブユ、アブ、マダニ

容量が少ない携帯タイプのスプレーや、シートタイプの製品もおすすめです。
特に国際線の飛行機に乗る際は、100mlを超える製品は機内持ち込みの荷物として持参できません。
現地ですぐに使用したい場合などは、注意しましょう。

《おすすめ製品２選》

携帯に便利な小容量タイプの製品です。
メーカー独自のロングキープ処方により、約12時間の効果持続が期待できるため、塗り直しの手間がほぼありません。
・主成分：ディート10％
・年齢制限：6ヶ月〜
・効果時間：約12時間（ロングキープ処方）
・対象害虫：蚊、ブユ（ブヨ）、アブ、ノミ、イエダニ、マダニ、サシバエ、トコジラミ（ナンキンムシ）、ヤマビル

携帯に便利なシートタイプの製品です。
子供向けのパッケージにはなっていますが、効果時間も長く、対象害虫も多いことから、大人であっても使い勝手の良い製品と言えるでしょう。
・主成分：イカリジン15％
・年齢制限：なし
・効果時間：最大8時間
・対象害虫：蚊成虫、ブユ、アブ、マダニ、イエダニ、トコジラミ、ノミ、ヌカカ、ヤマビル

虫除け選びのポイントを3つに絞って解説し、さらに、そのポイントを踏まえ、シーンごとのおすすめ製品をご紹介させていただきました。

様々な種類が販売されている虫除け製品ですが、まずは「対象年齢」「効果時間」「対象害虫」3つのポイントに沿って、製品を絞ることをおすすめします。
それを踏まえ、自然豊かな場所でのアウトドアでの使用なのか、それとも日常使いなのか、など、どのようなシーンで使用するかを想定しながら、より適した製品を選ぶと良いでしょう。

あなたにピッタリの虫除け製品を見つけて、夏を目一杯楽しんでくださいね。
このコラムがそのお役に立てれば幸いです。